劇団四季『ゴースト&レディ』にのめり込んだ話③
こちらの続き。
ゴスレについてオタクが好き勝手に語っているだけの記事です。
では早速、「さあ、参りましょう」
という事で、フローの家に向かうため、2人は馬車に乗ります。
開幕直後から言われていた事ですが、この馬車の揺れ方が結構違くて面白い。
真瀬×金本ペアは結構荒い道でガタンガタン揺れてる、
谷原×萩原ペアはだいぶ整った道なので揺れ少なめ、
真瀬×萩原ペアも割と揺れる。
(谷原×金本ペアだけ未観)
なんてことない一瞬のシーンで、別にどちらであってもストーリーにはあまり関わらないんですが、こういう違いがまた面白いですよね。
そしてグレイの自己紹介的ソング♪俺は違う が始まります。
開幕当初から某テーマパークのホー👻テッドマ👻ショ👻みたいと言われていましたが、そう、おばけがたくさん出てくるんだけどなんか妙に楽しい曲。
この曲のすごいところは、物語を進める上で必要な「説明」を楽しく1曲で済ませてるってところなんですよ。
グレイのゴースト設定、他作品の魔法とかもそうですが、いわゆる実在しない空想のものって、それに付随する設定とかルールとかがそれぞれ自由に決められるんですが、
ちゃんとその物語内でのルールをある程度観客に伝えないといけないんですよね。
この作品内でのゴーストが何が出来て何が出来ない存在なのか。
それぞれの設定が必要なタイミング、例えば中盤や終盤で急にその都度出すと、なんか行き当たりばったりとか後出しで取ってつけたような印象になるし、
かと言って物語の最初に長々説明するのも興醒め。
この曲はそれを上手い具合に、
「この作品内でのゴーストってのはこういう設定でこういうルール(制約)を持ってるんだぜ、覚えておいてくれよな」っていうのを非常に自然に説明する役割を果たしてるんです。
しかも、「芝居好き」のゴーストという設定を活かして、有名な演劇等に出てくるゴーストたちと比較しながら。
出てくるゴーストたち、ビジュアルは結構本気のゴーストで、デフォルメとかはほとんどされていないので、たぶんこれが遊園地のお化け屋敷とかに居たら非常に怖いんですが、
この曲中だとなんだか可愛らしく愛着を持てるから不思議です。
顔や体型がめちゃくちゃ隠れるお衣装なので、それぞれどなたが演じているのか見分ける難易度トップレベル。
男性なのか女性なのかすらも難しいです。でも見分けたい…。
開幕後すぐに販売されていた第一版のパンフの稽古写真に稽古着姿のお写真が載っているのと、その前後の動線から推理するしかないです(フロー一家とアレックスは恐らくいない)。
ちなみに曲内で紹介されるのが『ハムレット』、ヴァンパイア、『クリスマスキャロル』。
きちんと歌詞だけ聞いておけば、それぞれの内容について詳しく知っている必要はないですが、
気になってそれぞれのあらすじなども調べました。
面白そう、機会があればきちんと鑑賞してみたい。
そして続いてセット転換の後、場面はフローの家に。
めちゃくちゃ余談ですが、私M3枠フロー父を演じる平良さんのファンなもので、このシーンだいっっ好き。
まあすれ違ってばかりでまだ1回しか拝見できていないんですが。
舞台版オリジナルキャラ、アレックスが登場して、フローにプロポーズする場面ですね。
大事な大事なサムシングフォーの伏線が張られます。
プロポーズを断るフローに激怒した家族のナンバーが♪看護婦なんて。
原作同様めちゃくちゃ怖い迫力のシーンですが、皆さん超クセ強なのでなんだかちょっと面白くもある、結構毎回楽しみなシーンです。
澁谷さん父は『美女と野獣』モリースをやられているだけあって、なんだかんだ一番最後には許してくれそうな気配がある感じ。元々のお声が柔らかいので、隠しきれない優しさが…。
一方平良さんはすごく芯のあるお声なので、もうめちゃくちゃ厳格。本当に絶対に許してくれない。
おふたりともグレイに麻痺させられた後の「まぁ、いいだろう」が個性的で面白いです。
フローの母はなんと今のところゆきみさん皆勤なのですが、いやもうめっちゃ怖い。
「無理、出来るわけない」が怖すぎて私なら心折れる。
フローの姉はほぼ持田お姉様で拝見しておりますが、麻痺後の「ワガママね〜」が全然全く全然棘抜けていなくて癖になります。
一度だけ拝見した菩提お姉様は歌の時にフローのスカートをバシッとたたきに来るのがめっちゃ怖い。ストレートに怖い。
そんな個性派揃いの癖強ナイチンゲール家の皆さま。好き。
フローの周りをくねくねと取り囲み歩きながら家族が口々に彼女を否定していくのが、前述のように生霊設定がカットされているにも関わらず原作さながらの恐ろしさを演出していきます。
「無理、出来るわけない」「またワガママだわ」の後、最近の谷原さんフローが結構強めに「いいえ!」と言い返しているんですが、
これって初期からでしたっけ?
少なくともサントラにはこの「いいえ」が入っていないので、サントラ聴き込み勢は劇場で「おお、言い返してる」とちょっと驚く。
ただ、このシーン、この時代の文化というか常識を教えてくれるのでさりげなく結構重要な役割を果たしています。
今、看護師、医療従事者というととても素晴らしい職業で、特にコロナ禍なんかは「医療従事者に感謝を」なんて各地で叫ばれていましたが、
この当時は「看護婦なんて貧乏人ばかり」「患者たちと寝る」「危険で不潔。まともな女はやらない」職業であり、
アレックスのセリフにあるように女性は家庭を守るべき、ひいてはそれがお国のためになる時代、なんですよね。
当時病院で医療を受けるってそれなりに裕福じゃないと出来ない事なのでは?(つまりある程度裕福な人を相手にする職業じゃない?)と思っていたのですが、
フロー父の「まともな家は医者を雇って自宅で療養する!」(セリフうろ覚えですみません)というのを聞いてなるほどな、と思いました。
まだまだ無知ですね。
さて、家族からの猛反対総攻撃を傍観者のグレイ。
父の「だったら修道院にでも行けばいい」のセリフに、「尼寺へ行け、オフィーリア!」と『ハムレット』の引用をしてひとりで大爆笑。
これがめちゃくちゃ大好きなんですけどね、
もう完全に舞台オタクの我らの姿じゃないですか!
何度も何度も観てセリフを暗記して、
実生活の中でドンピシャな場面でセリフを使えると超楽しい!って、すっごい身に覚えしかない。
グレイの舞台オタク歴、私達の比じゃないですからね。
そんな親近感のわくキャラクター性もグレイが愛される秘密なのかも?
というところで、今回はこの辺りで。続きます。