劇団四季『ゴースト&レディ』にのめり込んだ話⑥
さて、スクタリに着いたフロー達看護団。
前回の記事で書いているナンバー♪走る雲を追いかけて が終わった瞬間間髪いれずに重低音で戦争のような衝撃音と共に、
背景のセットが大きく動いて変わっていきます。この切替の巧みさ。
そしてここでグレイの皮肉120%の語り、
「待っていたのは熱狂的な大歓迎!」
すかさず軍医官4人が現れ「君たちを受け入れることはできない!」という拒絶。
敢えてビッグナンバーの余韻を残さず、文字通り出端を挫くスピード感。
メンジーズ軍医とその部下が登場し、♪助けはいらない を歌います。
このメンジーズ、余談ですが現在の東京公演は全ての役が2人ずつ担当の俳優さんがいらっしゃるんですが、メンジーズ配役の方はお2人共「拓也」さんなのがちょっと面白いところ。
白石の方の拓也さん、最近気になっている俳優さんでして、昨年の『ノートルダムの鐘』東京公演は3回観劇全て白石クロパン。通称白パンでした。
そのクロパンがやわらかく且つかたい、とてもしなやかな鞭のように美しくて惚れ惚れしてしまいまして。
劇中の影をもった真剣な眼差しと、カーテンコールの満面の笑みとのギャップがこれまたたまらず…。
その後今度は『美女と野獣』のルミエールでご出演。
これも似合わない訳がない!と急いで追いかけて観に行ったくらいです。
そんな白石さん、4回目?5回目?くらいのゴスレでようやく拝見できたんですが、その頃にはストーリーも覚えているのでメンジーズの動線も把握しているのはもちろんなんですが、お顔を見た瞬間白石さんだ!!!と。
でも話し始めるとクロパンやルミと全然違うドスのきいた太い声で驚きでした。振り幅すごい。
ストーリーに話は戻りますが、早速軍に拒絶された看護師たち。
フローサイドから見ると、なんて酷いことを、あなたたちよりはるかに仕事をこなせる人なのに、と思いがちですが、
恐らくメンジーズ達の歌う事もまたこの時代の事実ということなんでしょうね。
過去に妻たち、女性たちを手伝わせたが風紀が乱れて最悪だった、と。
もちろん看護師たちもはいそうですかと帰れる訳なく激昂、板挟みにあい自信を無くしかけたフロー、
後のあっぱれな主演大女優様一世一代の素晴らしい演技がなんとも面白いです。
軍の男性陣の「助けはいらない、手出しは不要」と全く同じメロディーにのせて、
「助けが必要、助けてください」と歌う女性看護師たちの対比が良き(拍手)
そして場面は病院へと転換。ここの演出がまた大好きなんです。
軍の行進を思わせるスネアのリズムと共に軍服を着た男性陣が入場。
そして剣や銃の衝撃音のような音と光で、1人ずつ軍服を着崩しながら倒れていき、あっという間に戦場で負傷した兵士たちに。
これ、例えば映画なら実際に切ったように見せて、怪我の特殊メイクやぼろぼろの衣装に着替えて負傷兵の姿に、っていくらでも編集で可能なんですが、
舞台上でその演出をするって難しいじゃないですか。
ある意味、場面転換で最初からもう病室で倒れ込んでる負傷兵たちのところからスタートしてもいいものを、
まず元気な(怪我をしていなかった)状態で登場して、そこで負傷して病院で苦しむ患者の姿に変わる流れを敢えて見せる、
そしてそれを難しいトリックではなくて音と光と衣装、あとは俳優さんの演技というシンプルな要素であれだけ見せるというのがすごい。
『ノートルダムの鐘』でも同様、衣装チェンジを敢えて舞台上で見せるっていうのが私すっごい好きです。
病室とは思えない酷い惨状で、ベッドは壊れているしほとんどの負傷兵が床で寝ている、いや、倒れ込んでいます。
先に到着しているラッセルに、負傷兵たちが口々に苦しみを訴えますが、
ここで「毛布が欲しい、寒くて眠れやしない」と訴える負傷兵、先程までハーバート戦時大臣を演じていたM1枠さん。
♪国は責任をとれ のソロで「毛布、薬、包帯、全部必要なものは送らせた」と歌っていたアンサーが皮肉にもココに。
そこへフローたちが到着。あたたかい葛湯を持って。
葛湯を貰ったボブの「あなたは天使ですか?」
フロー「いいえ、看護婦です」
グレイ「俺は、ゴースト」
の大スベリもめっちゃ大好き。
そして葛湯をあとでちゃっかり貰うラッセルも大好き。
さて、お次は私の大好きなナンバー、♪世界一効く薬は ですが、その前に一旦ここまで。