劇団四季『ゴースト&レディ』にのめり込んだ話12
前回の記事はこちら⤴︎今までも場面ごとに長々まとまりなく散文しておりますので、お目汚ししても構わないという天使のようなお方はぜひご覧ください。
さて、いよいよ第一幕終盤。
フローが日課の患者の見回りに行くと、ジョン・ホールから雇われた男たちが襲ってくる。そんなピンチをちょうど到着したばかりのアレックスが助けます。
原作でも同じくフローが襲われるシーンはあって、予期していたグレイが事前に護身法を教えていたおかげで助かる、という直接的ではないにしてもグレイのおかげで助かったともとれる展開となるんですが、
舞台版はその辺はカットでただただフローが襲われた現場に居合わせられず、守る役目をアレックスにとられるという非常にグレイの悔しさを強調したシーンとなっております。
こう言ってはグレイに死ぬほどキレられそうですが、「なんでこいつが…」はめちゃくちゃ美味しい展開ですね。
そして再会したアレックスによる♪サムシング・フォー(リプライズ)
フローの家でプロポーズをした時は女性が守るべきは家庭だ!とゴリゴリの当時の典型的結婚観でしたが、フローの活躍を毎日のように見聞きして、彼女の生き方を尊重するように心境が変化したようです。
アレックスに関しても自分の中で噛み砕いて解釈するのに少し時間はかかりましたが、彼なりに理解し歩み寄ろうとしてくれている、いい人なのだと思います。
仕事を辞めて家庭に入れとは言わない、ただここはあまりにも危険だから、どうか自分が守ってあげられる場所にいてほしい、そんな彼なりの優しさのシーン。
そしてここで荒れたフローの手を優しくとりながら「この手に初めて触れた日を覚えてる 舞踏会の夜 ダンスしたね」と歌うアレックス。
ここでSNSで拝見した他の方の気づきをおかりしますが、家でのプロポーズの際に彼が用意したサムシング・フォーのひとつ、レースの手袋を選んでいれば(つまりアレックスとの結婚を選んでいれば)、今の荒れた手にはならずレースを美しく保つような生活が送れていた、という繋がりがあるのだそうです。
なるほど。レースの手袋がこんなところで効いてくる。
そして、舞踏会で初めて手に触れ踊ったと歌うアレックスを、離れたところから見るしかできないグレイ。
そう、グレイもクリスマスの日、フローとダンスを踊っているのですが、2人は触れ合う事が出来ず。
ここの歌詞をふまえて2回目以降の観劇に臨むと、そんな対比がクリスマスのダンスシーンでクリティカルに効いてくる。
この「この手に初めて触れた日を覚えてる 舞踏会の夜 ダンスしたね」というフレーズ、アレックスがあまりに優しく愛おしく歌うので、
幼い頃の2人のこの初めてのダンスの思い出が鮮明に思い浮かびます。
推定6〜8歳くらいかな。舞踏会でおめかしした2人が周りの大人の真似をして、気取って恭しく踊る様子。
少し辿々しいんだけど、でも優雅に、おすまし顔にほんの少しだけ、まだ慣れないステップを追い、足を踏まないようにと必死な表情が見え隠れして。
でも次第に慣れてくると、ちゃんと踊れたね、楽しいね、と笑い合う2人。全て私の妄想ですが。
残念なことに絵が描けないのでイラスト化する術がなく…。
私も素晴らしい絵師さんたちのように絵が描けたらなあ。アイディアは全部、ここに詰まってる。
ということで口述筆記、いや、口述描写してくださる方大募集。
話が外れましたが、ひとりになったフローがいよいよ歌う♪不思議な絆
もうこれは、好きなところ、いいところは全てです!とひとつひとつ語っていたら日が暮れるどころか年も明けてしまいそうなくらい全てが詰まった名曲。
形式上はデュエットですが、いわゆる曲の1番、2番は1人ずつが歌い、最後3番を一緒に歌う、ラプンツェルの♪I See the Light などと同じ形式。
しかも♪Whole New World などのように相手に向けて愛を語らうデュエットではなく、あくまで1人ずつがそれぞれ自分の心を歌っている独り言のような歌。
それが重なり合って美しいデュエットになっているというのがもう最高に素敵です。
フローの「そばに居て欲しいのは 前に進む勇気くれる人よ」
グレイの「唇を噛み締めがんばる その姿に諦めてた願いが蘇る」
その歌詞を聴くたび、あぁ、自分も頑張ろうって気持ちに奮い立たせられます。
そして、出会いからここまで「絶望」というキーワードで繋ぎ止められてきた2人が、「そばに居ると 希望湧いてくる」と明確に言い切って、からの大サビ。
最高すぎます。
この曲の演出もとても素敵で、2つの階段でそれぞれ歌うグレイとフロー。
その階段が曲に合わせて、人の手でゆっくりと動かされていくのも、高度なメカニックとはまた違ったあたたかみがあるし、中盤ライトが2人の影を後ろに映し出すんですが、それがまた美しくて。
もちろん目の前に俳優さんがいらっしゃるので、その表情を見たいのは山々なんですが、ここに関しては美しいその影だけを見ていたい気持ちもあり、いつもどちらを見るかの葛藤があります。
今回のグッズではほとんどがメインビジュアルモチーフのデザインでしたが、ぜひ次の新グッズではこの夜空に映し出される2人のシルエットデザインのグッズも出していただけるといいなと、財布の紐を緩めまくって待っております。
そしてこの階段、まるでそれぞれの人生を表しているようで、最初にそれぞれが歌っている時は別々の場所でそれぞれが動いている階段は、
お互いが出会う前、生きる時代さえも違う2人それぞれの今まで歩んできた別々の人生。
それがある時不思議な絆で出会った2人の人生、階段は、2本の糸を撚り合わせるように円を描き、引きつけ合い、
そして最後にはぴったりと隣り合ってひとつの道に。
そうしてひとつになった道、階段を同じ方に向かって進む2人ですが、手を取り合ったり見つめあったりせず2人ともまっすぐ前を見据えて。
歩くテンポも一緒ではなくて、でも向かう方は同じ。
そんなそれぞれの人生がここでひとつに重なるという表現を任った階段の演出。
そして最後に満を辞して、階段からデオン様の登場!
美しい愛のデュエットに感激していたところに急な登場からの高笑いで暗転、そして20分間の休憩。
初見はもう面食らう演出です。
名乗りもしないので時に原作未読勢は「え、なに誰!?」と大混乱でしょう。
原作勢からしても、まさかのここで!?という第一幕幕引き。
ここで終わらせようと思った人誰ですか?スコットさんですか?天才すぎる。
ということで、今回の記事はここまで。
引き続き激アツな第二幕もお付き合い頂けますと幸いです。