劇団四季『ゴースト&レディ』にのめり込んだ話11
さて、1幕も終盤にかかりまして、まだまだ好き勝手に語り散らかして行きます。
場面変わってまずはジョン・ホールの執務室から。
ここのジョン・ホール役御二方の演じ分け、私が1番好きなポイントです。
兵隊たちは「じゃがいものスープしか」口に出来ていない、もっというとフローたちが来るまでは負傷兵たちは「毎日生煮えの肉しか出ない」「あったかいもん口にするのは何日ぶりだろう」という状況だったにも関わらず、
ジョンホ氏はキャビアだのワインだの優雅な暮らしを送られております。
で、この「ワインを飲みすぎた」というセリフ。
お2人全然違くて、面白いです。ある意味1番面白いキャストの演じ分けポイントかも。
まず万寿夫さんはもうめちゃくちゃ酔っ払い。
だいぶお酒が効いてます。水を飲んだ後の仕草も完全に潰れかけてる人そのもの。明日の朝しんどそう。
一方瀧山さんは、「飲みすぎた」ってめっちゃ言ってるだけ。ザルもいいところ。
この後3本は余裕で開けられるし、なんならワインは水だし。
余談ですが、私職業柄色んな酔っ払いを日々見てるんですが、どっちのタイプも超あるあるだし、それぞれのアプローチの違いが面白すぎるし、お2人の酔っ払いの解釈解像度高すぎます笑
果たしてご本人たちはどんな酔い方をされるのか、ちょっと気になります。
本題に戻ると、ここで邪魔なフローを追い出そうと企てるジョン・ホールとフィッツジェラルドのデュエット♪これが戦争なのだ(リプライズ)
サントラには入っていない短いリプなんですが、この2人のユニゾン、それぞれどの俳優さんの組み合わせでもめちゃくちゃ綺麗に声が重なってて、実は非道ソングにはもったいないレベルに綺麗な歌だったりします。
声の相性がとっても良いんですよね。
声質の相性ってある程度どうしようもないもので、どんなにお互いが歌ウマでも、一切外さずピッタリ歌っても、相性がよくないとぶつかって聞こえてしまう事があるんですが、このユニゾンはどの組み合わせでもピタッとお互いの声に吸い付きあってまるで一本の糸のよう。
なのに内容としては、アイツ邪魔だから出ていくように襲っちゃえ⭐︎な非道ソングなのがもったいない(2回目)。
しかしまあ、上官命令とはいえフィッツジェラルド、ここでは一緒になって結構酷いことを歌ってるんですよね。
最後には「戦争さえなければ!」と、さも某国の大臣側近イアーゴさんの「ちょっと悪い上司に当たっただけ〜」みたいな言い逃れをしていますが、あなたも充分罪を重ねていらっしゃるわよフィッツくん…と思うこの頃。
さて、場面変わって今度はフローの部屋。
薄暗く、質素なベッドと机、恐らく仕事関連の資料ばかりの本棚だけの部屋。
ジョン・ホールの部屋との対比がすごい。
部屋でも休まず要人への手紙の執筆と仕事を続けるフローにグレイが持ってきたキーアイテム。ランプ。
ほんのり明かりが灯ると共にあたたかくなるここの雰囲気が大好きです。
ここのグレイ役お2人それぞれの好きポイントがあって、萩原さんグレイは「疲れているな?」と言いながらフローの後ろを通る時、上半身をぐっと後ろに反って覗き込みながら歩くんですが、それがまるで原作の宙に浮いているグレイのようで!
浮いた状態で横になってるポーズそのままじゃないですか?重力どうなってるんですか?と思うほど。
泰潤さんグレイは、ここのシーンに限らずですがイスに座ると常に足を組んだ状態で両足を浮かせていて、それもまた原作グレイの浮遊感。
もちろん彼らは生身の人間なので、浮いたりは出来ない、人間の動きを超えたものは出来ないんですが、その上で霊体のような動きを表現するお2人の細かいこだわりが!好きすぎる!
そして、グレイとフローがゆったりと作中には珍しく穏やかに会話を紡ぐんですが、この時の、いつもこうしてほんの一時会話をしているんだろうな、という2人の空気。
きっと忙しいフローの事だから、実際グレイとこうして話している時間はそうそう長くは取れないのでしょうけれど、毎日ほんの少しのささやかな会話を重ね、それが固く閉ざされていたグレイの心を開いたのだろうと思います。
芝居をかいてみたいというささやかな夢を語るグレイ。
萩原さんグレイは特にこの「芝居だ」と言うまでの間が良くて、ずっと閉ざしていた心の扉を、フローが開けにいくのではなくて、グレイ自身がフローを信じてみようと決めて開けにいく、そんな心境が感じられます。
それを聞いて、ようやくグレイの役に立てる事を見つけた!と子どものような誇らしい表情で「口述筆記!」と言う真瀬さんフローの愛らしさももうめちゃくちゃ大好きでした。
「俺はお前に、取り憑いてんだよ!」「そうでした!」で笑い合ってから不意に訪れる静寂、取り繕うようにバタバタと立ち上がるフロー。
この作中には意外と数少ない少女漫画〜な雰囲気も、良いんですが、グレイの「ランプ、持っていけよ」の言葉がとても好きで。
少しあとでもう一度「ランプ、忘れんなよ」というセリフがあるんですが、これはきっとグレイなりの「行ってらっしゃい」なんだろうなと思うんです。
フローは別行動する際にグレイに「いってらっしゃい」と声をかけるシーンが何度かあり、サラッと流して言うのではなく割と重みを持たせて言うんですが、きっとグレイはその生い立ちから今までいってらっしゃいと言われたことがなくて、初めてフローに言われたその言葉がとても嬉しくて、
そんな風に重みをもって聞こえたし、強調して自分の物語の中でも書いたんだろうなと私は思うんです。
でも自分が言うのはなんだか照れ臭くて、そんなグレイなりの「いってらっしゃい」を込めた言葉がこの「ランプ、持っていけよ/忘れんなよ」なんだろうなと。
もう、愛ですね。ハイ。
と、いうことで、次はいよいよ一幕ラスト。
配信終了からもうすぐ2週間ほど。薄れないうちにと筆を早めたいところですが。
ロス、しんどすぎ!!!