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劇団四季『ゴースト&レディ』にのめり込んだ話10

ついに10記事目到達しました。まだ1幕終わってません笑
そしてついに千秋楽を迎えてしまいましたが、
もちろん配信両日とも購入、時間の許す限り塾観(熟読的な)しながら、引き続き好き勝手に語ります。

さて、少し時間が流れ、また傷病兵がたくさん送り込まれるという知らせがフロー達の元へ。
新しく病棟を、半分はタイムズ読者からの寄付、半分はフロー自費でと告げた時のメンジーズの「自費!?」が、
塚田さんはお前何言ってるのか分かってるのか?な呆れ気味〜という感じなのですが、白石さんは「ジヒッ!?!?」ってもう完全カタカナ発音になっててすっごい細かいですがここ好きポイント。
♪世界一効く薬は のクリスマスあたりからメンジーズ部下くん達とは上手くやっていっている様子ですが、メンジーズとは未だ関係があまり良くなさそうで(いや、フローは別に嫌ってる訳ではないんでしょうけど)。
このやりとりを聞いていたラッセルは「すぐに記事にしますよ」と少しでも寄付が増えるよう自分の仕事に励むんですが、このラッセルとても良いですよね。
直接看護活動をするのではなくても、彼は彼の仕事で、彼にしか出来ないやり方でフローにとって強力な助けとなっているのがすごく良いなと思います。

そんなやりとりを見ていたエイミーのソロ♪あなたが遠くて 
舞台版オリジナルキャラクターのエイミーとアレックス、噛み砕くのに少し時間がかかって、この曲も最初はそんなに好きにはなれませんでした。
ゴスレの世界に限らず、何かに飛び抜けて秀でた人って時々居て、平凡な人からすれば確かに眩しくて途方もなく遠く感じるんだけど、でも大抵の場合その人も物凄い努力をしてトップに立ち続けている訳で、
それを「あなたってすごいよね、私じゃ全然追いつかないわー」って簡単に線を引いてしまうのって実はとても失礼で残酷で。
っていう話を何かの作品で見たことがある気がして、何だったか全然思い出せないんですが、
フローもまさにそう、誰よりも懸命に必死にもがいているのに、それを「あなたが遠くて辛くなるのです」って距離をとられたら悲しいよなぁって。
まあでも、エイミーの上手くいかないもどかしい悔しさも、とてもよくわかるんですが。
そんなエイミーをフローが優しく諭す曲間、「背中を押してくれた方がいるの」「感謝しているの。心から」のあまりにもあたたかい響きは本当に毎回胸が熱くなるシーンだし、この会話中の伴奏、とっても好きでCD版だとカットされてるのがすごく悔しいくらいです。セリフなしでここの伴奏聴いていたい…!

フローがシスターに呼ばれて部屋を出て行った後も続くエイミーのソロ。
この演出がとてつもなく好きです。
舞台中央で細くスポットライトを浴びるエイミーの後ろで、薄暗い中看護師たちが日々の仕事をしているんですが、同じ舞台上に立っているけどこの時の流れの違う感じ、ザ・ミュージカルっていう感じの演出。
(美女と野獣の♪Human Again も)
看護師たちはまるでスローモーションで踊っているかのように仕事をしているのですが、これもすごく分かるなと思う表現で、実際動き回るような仕事で無駄なく立ち回れる人って、まるで踊っているかのように見える時ないですか?
私も以前職場がとても忙しく動き回るようなところだった時、その中でも無駄なく素早く動いて気付けば全てを終わらせているような仕事の出来る人を見てまるで踊っているようだなと思ったことがあって。
反対に自分もドタバタ忙しなくするのではなく、効率的に綺麗に動けているとそのように感じたり。
ダンスというよりは舞に近いイメージかな。そんな風に思ったことが観劇よりも随分前に経験があったので、これを見てとてもミュージカル的表現だけど、リアルな表現でもあるなと思いました。
その中に歌いながら飛び込んでいくエイミーは、でもどうしても舞うようには動けていなくて、行く先々で一歩遅くてもう用が済んでる。
こんな苦い経験もわかってしまうのが辛い。

そして、下手側のベッドで倒れていく傷病兵、看護師たちと同じくスローモーションでベッドに横になっていくのですが、もしかしてこれは何の装置もなく自らの腹筋だけで?凄すぎます。
でもこの傷病兵、手を伸ばしながらベッドに倒れ込んでいくのですが、その手に応えようとしたエイミーは間に合わず。亡くなってしまったことの比喩なんでしょうか。
苦しい、助けて、と伸ばした手に追いつけず、そうやって何人も何人も見送る。
もちろんエイミーのせいじゃない、どれだけ優れた医者看護師でも救えない病状だったとしても、目の前で自分の手が届かず助けられなかった患者。
そしてその前に上手側から恐らく足を負傷して出てくる負傷兵は、一度はその場に蹲るけれどエイミーが駆け付ける前に立ち上がり歩き始め、
これもまた、たまたま回復が一歩進んだ瞬間がエイミーの行くほんの少し前だっただけかもしれませんが、それでもやっぱり私が一歩遅かった、と。
そんな出来事ひとつひとつが、じわじわと彼女の心を消耗させていくのかな、と思うと辛くて仕方がない。

歌い終わりは「ひび割れた夢 抱きしめて」。
彼女が抱いていた夢にひとつ、またひとつとヒビが入っていくのに、それでも抱きしめてまだ頑張ろうとしているのが本当に切ないですね…。

さて、そんなところで1幕もようやくラストスパート。今回はこの辺で。

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