東京ムカデ 第33話
第33話
温泉宿のくつろぎスペースで、育三郎らしき人物を見かけた寄子。
(いや〜 そんな、たまたまにしても同じ時期に同じ宿にいるなんて偶然あるわけない! ドラマじゃないんだから!)
ありとあらゆる妄想が寄子を襲う。
(はっ。 もしそうだったら誰と来てる? え? 1人でこんなところ来ないでしょ)
🎵チャチャチャ〜〜 チャチャチャ〜〜〜
ティラリラティラリラ ティラリラティラリラ ズンズンズンズン ズンズンズンズン チャチャ!🎵
再び、頭の中を火曜サスペンスのテーマが流れ始める。
そろりそろり と、もう一度育三郎らしき人物の方へ目をやる。
(はっ)
さっきまで座っていたはずなのに、急にその人物が忽然と消えていた。
ダッシュする寄子。
長い廊下の向こうで、その後ろ姿がサッと左へ曲がったのが見えた。売店やフロントなどがあるロビーの方だ。
猛ダッシュする寄子。
館内用スリッパが脱げそうだ。
角まで来て、壁沿いにそっと顔を半分だけ出して曲がった先の様子を伺う寄子。
家政婦は見た のワンシーンのようなシチュエーション。
箱根まで来て いったい自分は何をしているのだろうかと一瞬思う寄子だった。
つづく
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