惑星ホタル 4
菊子は、黄色い色が好きだった。
名前に菊がつくからというわけではないが、職場なんかでも「黄色が似合う」と言われ、派遣期間がおわり職場を去るときなどは、黄色をベースにした花束をもらったり、黄色いハンドタオルをもらったりした。
黄色。 黄色は幸せの色なんだろうか??
幸せの黄色いハンカチっていうけれど!
黄色い色で思い出すのは母のことだった。母は、とにかく洋服が大好きで、鮮やかな花柄のワンピースドレスを買ってきたときには皆驚いた。
年よりもずーっと若く見えたし、またフェミニンな雰囲気の洋服が似合うのだ。
黄色いワンピースは、父の出版記念パーティーで初めてお披露目された。菊子の父は郷土史研究家であったので、度々本を出しては出版記念パーティを開いたりしていた。
親戚たちは皆、ねたみもあったのか 「いくつだと思っててるの」 「誰が着るの」と、辛辣な言葉を投げかけた。
菊子もそのときは若かったので、「ちょっと恥ずかしいからやめてよ!」と言ったりしたものだった。
しかし、今自分がだんだんと年を重ねてくると、(別に人に迷惑かけるわけじゃなし、好きなもの着てなにが悪いのか)と思えるようになっていた。
歳を重ねるというのは、皆表面的には若い肌や潤い、体力、物理的には失った失ったと言われる方が目立つけれど、その何倍も得るものが大きいのだと菊子は思ったのだった。
気に入っていただけましたらサポート、よろしくお願いします😃