東京ムカデ 第21話
第21話
友人のみさおに、育三郎とのランチについての話題を話し始めた寄子。
「いいじゃない!どこの人?仕事は?」
目をらんらんと輝かせて、寄子の小さな事件に興味をしめすみさお。
「デートじゃないの! なんか、成り行きで、ノリでというか、ごはん行くことになっただけなのよ!しかも、10...何個も年下の。だからそういうのじゃないのよ!」
みさおは、黙って聞いていたが、元来頭の回転が速く、また色々な事にすぐピンとくる感性の持ち主だったので、なんとなく(ああ、なるほど)と、寄子の様子をみて少なくとも彼女にとっては重大なイベントなのだなと悟ってしまったのであった。
「別に、どうしたいとかないのよ!思い出に。まあ、色々な世代の人と関わるのって大事でしょ!」
と話す寄子に、みさおはとくに何も突っ込まず
「まだ、食事は明日なんだから行く前から思い出にってないでしょ(笑)まあほら、ちょうど年齢的にもとか収入的にもとか、無難だからとか、親が喜ぶとかだけで誰かにうまいこと惹かれるわけでもないでしょ、人生。」とみさおは言った。
「でも、私がもうちょっと若かったら・・とか、色々思うのよ!」
と、結局みさおにはつい本音をもらしている自分にハッと気づく寄子であった。
つづく
気に入っていただけましたらサポート、よろしくお願いします😃