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東京ムカデ 第17話

第17話

ある日の事務室、1人で留守番をしていた寄子。
誰もいないのをいいことに、ちょっと離れた棚までファイルをしまうのに横着して、オフィスチェアーに座ったまま床を蹴り、キャスターをシャーーッと滑らせ、華麗なる滑りで棚まで直行しようとしていたところ、途中床の電源プラグか何かにキャスターが引っかかり、寄子はそのまま椅子ごと勢いよくドタっとひっくり返ってしまった。


「漫画やないの‼︎」

と呟いてやれやれやれ、と立ち上がろうとした時、「んっ」カウンターに人影があることにハッと気づき、同時にもう可笑しくて仕方がないというような笑い声が飛び込んできた。「クスクスクス・・」

森育三郎だった。

☆☆☆


育三郎は、この日寄子のいる事務室には用事はなかったが、別の事務室に立ち寄った帰りに寄子のいる事務室の前を通りがかると、ガラス戸ごしに何かが右から左へシャーッと結構なスピードで滑っていく物体が目に入ったのだ。「⁇  何いまの?」と不思議に思い、
中に入っていくと、今まさに寄子を乗せたオフィスチェアーがシャーッと音をたて滑っている途中何かに突っかかり、ドタっとひっくり返った瞬間だったのだ。

「ブーッ」と思わず吹き出す育三郎。

(こけちゃって大丈夫かな?)と思う一方、目の前で起きた何かのコントでしか見ないような出来事が可笑しくてたまらず、笑いをこらえきれなかったのだ。

つづく

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