東京ムカデ 第6話
第6話
当時寄子は、築20年ほどの古いアパートに住んでいた。小さな庭が付いていたが、そこでよくムカデに遭遇していた。虫が大嫌いだったし、とにかく怖かった。じめっとした梅雨の時期などは、ハッと気づくと畳にちっちゃなヤスデを見つけ、飛び上がることもあった。
(いくら名字が百足でもね、怖いもんは怖いのよ!)などと考えていると
るり子が外線に出て、2人になった。寄子の口から思わぬ言葉が飛び出した。
「ほんとに、怖くて、、その〜、今度うちまで見にきてもらえませんか?」
一瞬しまった!と思ったが、手遅れだった。
と、次の瞬間、一瞬驚いた表情をした育三郎だったが、「あ、いいですよ。」と答えた。
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