東京ムカデ 第38話
第38話
まだ夏休みが続く大学の事務室。
仕事もそれほど忙しくなく、寄子やるり子、上司の富田は普段は時間がなくて出来ない資料作りや資料整理をしていた。
学生もほとんど事務室に訪れることもなく、るり子の合コンへ行ってきた話や富田のどこの激辛ラーメンが美味しかったとかいう話題で盛り上がり、和やかに時間がすぎていた。
育三郎はどうしているだろうか、、と寄子は時々考えたが、もうこの夏休み期間に色々あったこともだんだんフェードアウトしていった方が楽かな?とも思っていた。
午後、大量に資料のコピーを取りながら富田が『えりぃ〜〜〜ものぉ 春ぅは〜〜🎶〜』と少し声だかに口ずさんだところで、
「そういぇば もりぃく〜ん? 留学するんだっけ? こないだ食堂で会ったとき言ってたけど今日出発じゃない〜?」とるり子がつぶやいた。
「何ですって!?」
寄子がものすごい勢いで首をキッとるり子の方に振り、勢いでアズキルーペがまたずれた。
目が点になったまま固まる るり子と富田。
寄子はサッとカバンを手に持ち、事務室をダーッと飛び出して行った。
しばらく呆然とドアの方を見つめる、るり子と富田。
「え? 百足さんって 森井 新也君と顔見知りだったっけ? 4回の」
「さあ、、、。」
つづく
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