東京ムカデ 第25話

第25話

育三郎は、今日食べたカルボナーラに感動していた。

絶妙なクリーミーさ、ベーコンとマッシュルームのハーモニー。本当に食べに来て良かった、と思った。

パッと寄子を見ると、パスタのあとのデザートを美味しそうに食べている。

自分も何か甘いものを食べたくなり、スイーツを頼んだ。

（百足さん、なんだか気を遣わず気楽にいれるな）

育三郎は、そんな風に思っていた。しかしそれが特別な感情だとか、そういうことは分からない。

ちょっと珍しい名字で、面白い話しやすい人。そんなふうに思っていた。

育三郎はマイペースな性格であったので、同年代の女の子からは、「何考えてるのかわからない！」などと急に怒り出されることもたまにあったのだが、今日は、心からリラックスして、楽しいひとときをすごせたのだ。

つづく