東京ムカデ 第13話
第13話
肉じゃがを作り終えると、それからもう一度掃除機をかけて、寄子はそわそわしながら香り付きのファブリーズを意味もなく玄関やカーテンにあちこちふりまくり、その匂いに酔って自ら気分が悪くなってしまう始末であった。
それから化粧をいつもより丁寧にして、ずっと閉まってあったヘアアイロンを引っ張りだし、定番になっているショートボブの毛先を、少し内巻きしようと悪戦苦闘していたところ、
「あちっ」
動揺していたのか、高温のコテが一瞬、寄子のほっぺたに触れてしまった。
「もう〜何やってるの」
とイライラしながら、慌てて氷で冷やし、
「はぁ、、、」と大きなため息をついた。
なんというバタバタ忙しい朝なのか。
程なく待ち合わせの時間も近付いてきたので、気を取り直して家を出て駅に向かった。
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