東京ムカデ 第5話
第5話
ある日の夕方、トイレから事務室に戻ってくると、るり子と育三郎が何やら楽しそうに会話している姿が目に飛び込んできた。
小声で「こんにちは」と軽く会釈して寄子は席に着いたが、2人の様子が気になって仕方なかった。
社交的で若さがあり、明るい雰囲気のるり子と会話している育三郎が楽しそうで、(やっぱりちょっとでもドキドキした私がバカだった)と寄子は先日のときめきを少し後悔した。
そのとき、るり子がいきなり、「そうだ百足さん!庭にムカデが出るって悩んでたじゃない? 森君にアドバイスもらったら?」と声をかけてきた。
「え?? まあそうなんだけど、いいですよ、、悪いから」
「あ、百足さん名字が百足でもやっぱりムカデ苦手なんですね!」
「カカカカ・・・」背後で富田の高笑いが聞こえて、寄子は顔が真っ赤に紅潮してしまった。
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