愛が伝わるお庭
お寺が好きだ。
静かで、誰もいなくて、きれいに掃き清められた廊下や庭があるお寺が好き。
出先で近くにお寺があると一人でふらっと訪ねることがある。
今日のお寺は山間の小さなお寺。入り口からたくさんの可愛らしい表情のお地蔵さんが迎えてくれて、それは境内のいたるところにも見られた。その横には野花の名前が手書きで書かれた小さな木が立てられていた。時期的に咲いている花は少しだったが、見る人が花はいつ咲くのかな、と楽しみになる工夫だった。その数はざっと見ただけで数十種類。相当な数だ。
境内にはベンチやちょっとしたテーブルセットがいくつもあり、地域の人々に集ってほしい、野花やお地蔵さんを愛でながらゆっくりしていってほしい、という心遣いが感じられた。時間が合えばお接待もしてくれるらしい。
お庭を手入れされている方にお会いしたわけではないのに、愛を感じるつくりや工夫に心の糸が解けるようなそんな気持ちになった。
訪れる人を想って時間と手をかけて作り上げたであろうことが伝わる心地良い空間は、訪れた人の時間、ひいては人生さえも豊かにしうる。
きっとまた訪れるであろうこの小さなお寺との出会いは、私はこの人生でどんな愛を誰かに渡すことができるのかな、とキャリアについても想いを巡らせるきっかけとなった。