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京急1500形の歴史⑷ (アルミ車:1700番台)
⑴ 1500形1700番台の概要
京急1500形1700番台は、京急1500形でも最後の方で製造されたグループです。1990年~1993年に製造されました。当時は、小田急1000形や東急2000形などVVVFインバーター制御装置を搭載した車両が主流になっていました。京急電鉄も、この流れに乗り当時、製造されていた1500形にVVVFインバーター制御装置を採用することになりました。そこで登場したのが1500形1700番台です。VVVFインバーターは、東洋電機製と三菱電機製のものを採用しました。次に、製造された年次ごとに各編成の説明していこうと思います。
(2) 1500形1700番台の各編成の説明
① 1990年度製造車
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1990年8月に、1701編成が製造されました。車両の付番は、付随車は1600番台車と同様に1900番台、電動車は1700番台としました。全車両が電動車6両、付随車2両の6M2Tで構成されています。1701編成は各種試運転が行われたのち、同年10月5日より営業運転を開始しました。電装品(VVVFインバーター制御装置)と主電源装置共に東洋製のものが採用されています。
② 1992年度製造車
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1992年2月に、1707編成と1713編成が製造されました。1707編成は、電装品と主電源装置共に東洋製のものが採用されています。1713編成に関しては、電装品に関しては1715号車と1716号車が三菱製が採用され、残りは東洋製のものが採用されています。主電源装置は、東洋製のものが採用されています。
③ 1993年度製造車
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1993年1月に1731編成、2月に1719編成と1725編成が製造されました。この年に製造された車両は、他の1700番台の編成と異なり付随車の1900番台が1600番台の編成から組み込まれたものとなっています。電装品と主電源装置は、1719編成と1725編成が東洋製、1731編成が三菱製のものが採用されています。
⑶ 1500形1700番台の更新工事
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2002年より、1500形アルミ車において更新工事が始まり1700番台も施工されることになりました。車体のみが更新されて、床下機器類の更新は見送られました。2009年までに、全編成に施工されています。行先表示器を白幕にして、行先も省略表記から正式な表記に改められました(例:新町→神奈川新町)。車内は、座席の袖仕切りを新1000形に類似したものへ交換、先頭車両には車いすスペースを設置、ドアの上にLED式の行先案内表示器が取り付けられました。床材も、グレーからベージュのものへ張り替えられました。
⑷ 1701編成の脱線事故
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2012年9月24日、京成高砂発三浦海岸ゆき2268H列車の運用に就いていた1701編成が、金沢八景~追浜間で大雨の影響で法面が崩壊し土砂崩れが起きていた場所に進入し、土砂を乗り上げて脱線事故を起こしました。復旧には3日程を要し、その間は横須賀線で振替輸送が行われました。当該編成の1701編成は、浦賀寄りの3両の損傷がかなり激しく修理は厳しいと判断し、事故の調査が終わった2013年10月に廃車されました。但し、品川寄り先頭車の1706号車は、訓練車両として現在も活用されています。これに伴い、新1000形8両編成1本(1161編成)を追加で製造しました。
⑸ 1533編成の脱線事故
1997年4月7日、浦賀発神奈川新町行き1449列車の運用に就いていた1533編成が、京急田浦~安針塚間で発生したがけ崩れに巻き込まれて脱線事故を起こしました。当該編成のうち、1536号車に関しては損傷が激しかった為、再利用できる部品を移植して代替新造しました。
⑹ 行先表示器のLED化
2016年1月より、1500形や1600形、新1000形アルミ車の一部編成に対して前面行先表示器を幕式のものからLED式のものに交換されました。同時に、SR無線の設置も行われています。そして、現在に至ります。