JR東海キハ85系の歴史
(1) キハ85系の登場
キハ85系は、1989年に登場したJR東海の気動車特急です。当時、先代のキハ82系を置き換える為に登場しました。登場当初は、高山本線を走る特急ひだ号を中心に活躍していましたが、1992年からは紀勢本線を走る特急南紀号でも活躍する様になりました。
⑵ キハ85系の車体構造
車体は、ステンレスを採用しました。JR東海のコーポレートカラーであるオレンジ色の帯を巻いています。
本形式の最大の特徴は、海外製のディーゼルエンジンを採用している所です。カミンズ社製のエンジンを採用したため、ディーゼル特急電車でも時速120Kmで運転できます。これにより、特急電車と同じぐらいの性能を発揮できます。
(3) キハ85系の車両の種類
キハ85系には、キハ85、キハ84、キロハ84、キロ85の4種類があります。
➀ キハ85
Ⅰ 0番台
特急ひだ用として製造された、非貫通型の普通車先頭車両。先頭部は、大型の曲面ガラスとルーフウィンドウによって構成されています。
Ⅱ 100番台
特急ひだ用として製造された、貫通型の普通車先頭車両。貫通幌を付けることで、車両間の行き来が出来ます。キハ85-107は、落石事故により廃車され。代わりにキハ85-119が製造されました。2003年より、バリアフリー対策が施されて1100番台に改番されました。従って、現在は存在しません。
Ⅲ 200番台
特急南紀用として製造された、貫通型の普通車先頭車両。仕様は100番台と同一ですが、男子用小便器が設置されています。
Ⅳ 1100番台
100番台をバリアフリー対応にした形式です。
② キハ84形
Ⅰ 0番台
特急ひだ用に製造された普通車中間車。車内販売準備室、電話室、自販機が設置されています。
Ⅱ 200番台
特急南紀用に製造された普通車中間車。カウンター付の車内販売準備室を備えます。
Ⅲ 300番台
特急南紀用に製造された普通車中間車。車内販売準備室がありません。
③ キロハ84形
特急ひだ用に製造された、普通車とグリーン車を兼ね備えた中間車。
④ キロ85形
特急南紀用に製造された非貫通型のグリーン車先頭車。トイレ、公衆電話を兼ね備えています。
⑷ キハ85系の運用
1989年から特急ひだ号で運転開始したキハ85系。
1990年の改正で、全ての特急ひだで運用される様になりました。1991年の改正からは、名鉄から高山本線に乗り入れていた特急アルプス号が、キハ8500系による運用になりました。この時に、特急アルプス号と特急ひだ号の併結運転が始まりました。これは、2001年の特急アルプス号の廃止まで続きました。
⑸ キハ85系の引退
2017年に、JR東海は特急ひだ号・南紀号で使用されているキハ85系を置き換える為に、新型ハイブリッド型特急気動車のHC85系を導入することを発表されました。2022年に特急ひだ号はHC85系による運転になり、キハ85系は特急ひだ号から引退しました。特急南紀号に関しても2023年6月に運行を終了する予定です。
特急ひだ号の運用から撤退したキハ85系のうち、4両は京都丹後鉄道に譲渡されました(その内2両は、部品取り車)。
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