京急新1000形の歴史(2) ステンレス車(銀千)
⑴ 京急新1000形(ステンレス車(銀千))の概要
京急新1000形は2002年に登場した通勤電車ですが、2007年に製造された6次車からは、車体の材質をアルミからステンレスに変更しました。これに伴い、車体の外観が大きく変わりました。このステンレス車は、車体の塗装の仕方で銀千(通常塗装)、ラッピング車、全塗装車の3つに分類できます。今回は、銀千について説明していきます。
車内の座席に関しても、乗務員室付近に設置されていたクロスシートを廃止しました。これにより、車内の座席は全てクロスシートになりました。
乗務員室に関しては、踏切事故対策として運転席の位置を高くした高運転台構造を採用しました。ワイパーカバーを廃止しました。
主電動機は、今までは海外製のものを採用していましたが、コストダウンを図り日本製のものを採用することになりました。
この様に、ステンレス車はアルミ車と比べて異なる部分が多く、もはや別形式にした方が良いのではないかと思われます。
また、ステンレス車からは800形を置き換える為に6両編成が登場しました。
4両編成は1400番台でアルミ車の続番、6両編成は1300番台、8両編成は1000番台の続番となりました。
⑵ 京急新1000形(ステンレス車(銀千))のバリエーション
➀ 6次車
2007年3月に、京急初のステンレス車両として8両編成1本(1073F)が落成しました。車両の仕様は、上記の通りです。
② 7次車
2008年1~2月に、8両編成2本(1081F、1089F)が落成しました。基本的には、6次車と変化はないです。ドアに関しては、黄色のマスキングテープが貼られています。
③ 8次車
2008年9~12月に、8両編成3本(1097F、1105F、1113F)と4両編成2本(1449F、1453F)が落成しました。
ステンレス車では、初めて4両編成が登場しました。4両編成は、全車電動車(4M0T)で付随車を2両組み込むことで6両編成を組成できる様になっています。
内装は、6・7次車と同じですがスタンションポール(握り棒)に黄色い塗装と滑り止めが設けられました。
④ 9次車
2009年度に4両編成8本(1457F、1461F、1465F、1469F、1473F、1477F、1481F、1485F)が落成しました。仕様は、8次車と同じです。
⑤ 10次車
2010年度は、7月に成田スカイアクセス線が開業する為、これに対応する車両として8両編成3本(1121F、1129F、1137F)と4両編成1本(1489F)が落成しました。
10次車からは、600形の更新車で採用したLCD(液晶モニター)を客室内車内案内表示器として採用しました。2画面用意され、左は広告用として右は乗換案内を表示することになっています。
また、成田スカイアクセス線で用いられる600形と同様に、車上情報管理装置(運行情報や停車予告装置を搭載)を搭載しました。
⑥ 11次車
2011年度は、8両編成1本(1145F)と6両編成(1301F、1307F、1313F)が落成しました。基本的な構造は10次車に準じています。
11次車の最大の特徴は、京急新1000形では初めて6両編成が登場したことです。6両編成は、電気連結器は備えていませんが8両編成もしくは4両編成に変更可能な構造になっています。
⑦ 12次車
2012年度は、8両編成1本(1153F)と6両編成2本(1319F、1325F)が落成しました。全車、客室内にLEDを採用しています。
⑧ 13次車
2013年度は、8両編成1本(1161F)と6両編成2本(1331F、1337F)が落成しました。
本来は、8両編成は製造する予定が無かったですが、同年に1500形1700番台の1701編成が脱線事故により廃車された為、1本製造されました。
座席間にあった仕切り板を廃止、客室ドア上部にあった2画面の液晶モニター(LCD)を1画面に変更しました。
後に、10~12次車に関しても1画面に改造されました。
⑨ 14次車
2014年度には、8両編成1本(1169F)と6両編成3本(1343F、1349F、1355F)が落成しました。
⑩ 15次車(1800番台を除く)
2015年度には、6両編成2本(1361F、1367F)と4両編成2本(1801F、1805F)が落成しました。4両編成2本の1800番台に関しては、次回で説明します。
6両編成では、1367編成が試験的にPMSMを採用しており床下機器の音が異なっています。
⑶ 京急新1000形の事故廃車
京急新1000形ステンレス車のうち、1137編成は2019年に発生した神奈川新町駅付近で踏切事故に巻き込まれました。トラックと衝突したことで損傷も激しく、火事も発生しました。
2020年に廃車されました。