京急600形の歴史
(1) 京急600形の概要
京急600形は、1994年から1500形の後継形式として運転を開始した通勤電車です。1500形と同様に、老朽化した旧1000形を置き換える為に登場しました。
600形の一番の特徴は、ツイングルシートと呼ばれる特殊なクロスシートを採用したことです。ツイングルシートは、朝や夕方の混雑時において、2人掛けの座席が1人掛けの座席に切り替えできるという座席です。この様な座席は、京急線の直通先だけではなく全国的にみても特殊です。
床下機器には、三菱電機製と東洋電機製のGTO素子VVVFインバーターを搭載しています。1~3次車は1C8M制御、4次車は1C4M制御です。
(2) 京急600形のバリエーション
➀ 1次車
京急600形として、最初に登場したタイプです。8両編成2本(601Fと602F)が製造されました。仕様は、上記の通りです。
② 2次車
8両編成3本(603F、604F、605F)が製造されました。1次車から設計変更が行われています。
1次車では、快特で用いられることから2100形みたいに2ドアで運用することを考慮し、中間のドアを封鎖できる機能がありましたが、これは不評だったので廃止しました。
③ 3次車
8両編成2本(606F、607F)が製造されました。。
2次車と変化はないです。
④ 4次車
8両編成1本(608F)、4両編成6本(651F、652F、653F、654F、655F、656F)が製造されました。
4両・6両・8両編成に組み換えが出来るように機器構成が変更されました。特に、608編成に関しては浦賀方の4両が東洋電機製、品川方4両が三菱電機製のものを採用されました。
その他の特徴は、以下に記します。
・主制御器を三菱・東洋電機製1C8MVVVFインバーターから1C4Mのものに変更。
・MT比を3:1から1:1に変更。
・パンタグラフが菱形のものからシングルアーム式のものに変更。
・客室内の座席をツイングルシートではなく、普通のクロスシートを採用。
(3) 京急600形の座席交換工事
600形で採用されたツイングルシートという座席。最初は良かったです。しかし、この座席は、かなり特殊で扱いづらいためか、京急線の直通先から600形の座席について批判される様になりました。そして、600形は直通先からは、かなり敬遠される様になりました。
京急側もこの様な事態を深く受け止めて、京急600形の座席をロングシートに改造されました。
⑷ 京急600形の更新工事
2009年度からは、京急600形に対して車体更新工事が行われる様になりました。更新工事の内容は、以下の通りです。
・ワイパーカバーを2100形や新1000形と同様にスリット入りのものになった。
・車内案内表示器にLCDが搭載された。
・三菱電機製と東洋電機製のGTO素子VVVFインバータ―制御を混載した608編成に関しては、三菱電機製GTO素子VVVFインバーターを採用した651Fと床下機器をトレードした。これにより、608Fの制御装置は三菱電機製GTO素子VVVFインバーター制御装置に統一された。
⑸ 京急600形の運用
8両編成は、主に快特などの優等種別に充当され、浅草線や京成線、北総線に乗り入れています。停車駅予報装置が搭載していることから、成田スカイアクセス線の運用にも充当されています。
過去には、浅草線の直通運用の間合い運用として京成高砂~京成上野間の普通列車の運用にも充当されていました。
4両編成は、京急線内の普通列車や✈急行、優等種別の増結車として運用されています。最近では、1500形4両編成の廃車が進み大師線でも運用される様になりました。
⑹ 京急600形の特別塗装
606編成は、2005年から座席のロングシート化改造と同時に塗装変更が行われました。この際、606編成の車体塗装を青色に改められました。同時に、京急BLUE SKY TRAINという愛称がつけられました。
途中で、京急BLUE SKY TRAINのロゴが撤去される動きは有りましたが、今日も京急線や直通先を中心に幅広く活躍しています。