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短編小説|マッチングおやじ|第2話|貼り紙

 私の事を少しだけ話しておこう。年齢は四十五歳、職業はイベント関連の小さな小さな会社を経営している一人親方なる立場だ。

 

 見た目も同世代の冴えないオジさんというわけでは決して無い。年齢も実年齢よりもかなり若く見られるし、体系もキープし髪の毛も若い頃と変わりない分平均点以上だと思う。

 嘘だ。


いや嘘と言うか・・・それは自分がそう思っているだけで現実は身長が低く(162cm程度)平均点以下だろう。女性にとって身長はかなり重要なポイントになるようだ。

 

 清潔感と一見陽気な性格は良く褒められたが、他に褒める部分が見当たらないだけでポイントには繋がらない。

 

 女性を前にして会話で楽しませる事も出来たがそれでポイントになるのは二十代までだろう。結婚を意識する女性の目線はそんな事のはるか上を見ていてシビアなのだ。

 

 一応肩書きは社長だが、その辺のサラリーマンの方がよっぽど稼いでいるのではないだろうか?ようは人に使われるのが嫌でサラリーマンにも成れないだけの男である。女性からしたら、いつ沈むかもわからない船に魅力はわかないだろう。

 

 30代半ば迄は夢追い人をしていたので、自分ではそれが婚期が遅れた原因だと分析している。勿論、人並みに恋愛はしてきたので、同棲し結婚を考えた女性もいたのだが・・兎に角お金が無かった。まぁ~それを理由にするのもサムイ話だが・・30代は子供が出来る等のきっかけが無ければ到底結婚という選択に頭が周らなかったのだ。未婚の理由をこんな風にアプリで繋がった女性に話すと大抵はもう他の男との次を考えていた。

 

 40代に突入して経済的にある程度の余裕が出来ても本気で焦ることは無かった。結婚よりも先ずは彼女が欲しい程度の考えでいたし、遅くに社会人になった自負があった分、早く同世代に追いつかねばと、今までの遅れを取り戻す為に無心に仕事に専念していた。

まだまだ自分は若いと勘違いしていたのだ。

普通の人が二十代で経験する社会勉強を四十近くで猛スピードで吸収していた分そういう考えになったのかも・・いやいや根本的に馬鹿なんだろう。これじゃあどの女性からも相手にされないか(笑)。平均点以下以下以下だろう。

 

 こうやって自分で自分の事を改めて客観的に見ると四十五歳独身になるべくしてなった感が否めない。一体どこに自分の武器があるのだろうか?

 

 出てきた結論は武器はない。百歩譲ってあるとしたら諦めが悪い所くらいだろう。

奇跡を信じてバットを振り続けるしかないのだ。たまぁ~に内見もせずに賃貸物件を決めたりする人もいる。婚活に疲れてもうどれでもいいやと安易に決める女性もいるかもしれない。そんな女性と運よく上手く行く可能性も0ではない筈だ。夢は諦めなければ必ず叶うの安っすい言葉を今は信じて私は突き進むしかないのだ。

 

そんな私だが・・・

一応そんな私でも・・

誰でもいい訳ではないのだ・・・

この辺がこじらせている原因なのだが・・

それはわかっているんだが・・

自宅の壁に貼り付けた

「今年中に結婚する」

「夢は諦めなければ必ず叶う」

「ネバーギブアップ」

の3枚の貼り紙を私は今日も眺めてる。

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