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沖縄に来た本当の理由⑥

それから私たちはいくつもガマを廻った。
メリーさんは「この頃少し体調が良くない」と道中、話してくれた。
少し厄介な状況なようだった。確かに出会った時から全体的に顔色が芳しくない気もする。
私はメリーさんに心から優しく接した。
出会った次の日に、こんなミッションを共にしてくれるメリーさんとの出会い。
偶然なのか。私がメリーさんを見つけたのか。
メリーさんが私を見つけたのか。

しかし、いくつか候補のガマを廻ったものの、「ここだ!」とはならない。全く、ならない。
こんなに心強いエキスパートがいるのになぁ、やっぱりあれは夢だったのかもしれないじゃないか?これから触れる人生の出来事の予知夢だったとか。有り得る、有り得る。
いや?じゃあメリーさんが私に何かを感じて追いかけて来たのは何故?
それはそれで話がおかしくなるしなぁ。
なんて、メリーさんと話しながら色んな考えを反芻していた。
そもそも、メリーさんに初めて会った気はもうしない。昔から知ってる親類みたいな感覚もある。

メリーさんが休憩したい、と言ったので、自動販売機の横に駐車し、よく冷えたペットボトルのさんぴん茶を渡す。
「ありがとうね〜」と言って、メリーさんはお茶をゴクゴクと飲んだ。
さっきよりも顔色はいい気がしたが、汗がすごい。なんだかメリーさんの体調がとても少し心配になってきた私は、「もういいですよ、帰りましょう」と言おうとした。
それを遮るかのようにメリーさんが「もう1回詳しく教えて。」と言った。
だから私は「ガマの中には川みたいなものが流れてた」と付け加えて、伝えた。
メリーさんは演歌歌手の最後の節の歌い終わりの様な目で遠くを見つめた。
この人は時にどこか異世界にトンでる感じがする。私もそういう瞬間があるので、あまり気にはならなかったが、この時の表情を未だに脳内再生出来る。印象的なシーンだった。

それから彼女は私が付け加えたキーワードに少し笑って、「はぁ〜」と笑顔のまま一息ついて「なんでそれを早く言わんかね、やしが私もも〜わかったさ。さ、早く行きましょうね、日が暮れる。」
と言って私にナビ設定をするように指示した。

目的地の名前は

「轟ガマ」

だった。

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