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キングダム - “観ず嫌い”を面白がらせる作品の力

最初から映像的スケールが並の作品とは段違い。古代中国を再現したリアルな民家とその村の背景に映る広大な草原風景。後半に出てくる山の民のいる世界なんて山水画のような厳かな美しさ。
そして、8万軍勢の隊列のバカでかさ。見渡す限りを埋め尽くす桁違いな数の兵士たちは壮観としかいいようがない。舞台装置として申し分ない画が物語に説得力を与えている。

素早く剣と剣がぶつかり合う殺陣の迫力満点。ワイヤーアクションで異様に高いジャンプもあるけれど漫画チックにならない本物感。
戦乱の世に生きる武士たちの荒々しさ、山崎賢人演じる主人公・信の闘志むき出しキャラとしての動きが噛み合っているからだと思う。

最終戦闘の臨場感たるや大河ドラマとか日本時代劇の比じゃない。ありがちな実写化映画だと思って観るといい意味で裏切られること請け合い。

ストーリーも立場の交錯をうまく組み込み、起伏に富んだ展開は、抜群なテンポ感でだれることなく、クライマックスの奪還劇にワクワクしきり。
裏切りや騙し合いも複雑すぎず、それでいて現実の残酷さもきっちり描いてくる。

信は「友情・努力・勝利」そのもののキャラ設定ではあるものの一人で全部の敵を片付けるようなリアリティのないことにはせず、その無鉄砲さに呆れられたり、時には士気を高めることにもつながる集団内の野生児としてうまく描いているから好感持てる。

山崎賢人演じる信の怒りの感情むき出しで今にも瞬間的に斬りかかってきそうな手に負えない感じがすごい。
吉沢亮の重みのある表情も物語を嘘くさくなくしているし、橋本環奈もよくわからない感じのキャラを自然にこなしている。

演出・ストーリー・アクション。どれも大作映画としての基準を満たす時代アクション劇としてよくまとまっていて見応えある。観る人の年齢や嗜好を問わない感じ。

鑑賞年月日

2022年2月

評価点数

4.0

作品情報

『キングダム』(日本 2019年)
監督:佐藤信介

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沙月愛彩
どんどん観ていろいろ書いちゃいます。