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バイオレンスアクション - 橋本環奈主演 実写版の足りない"何か"

原作の持つハードボイルドな世界観を薄めてしまっていて、“安全な映画”にできあがっていた。
橋本環奈演じるケイは、素早くしなやかな身のこなしと卓越した銃さばきで多人数の標的を次々仕留めていくが、頭を撃ち抜いたり、ナイフで首を切り裂くといったシーンは、ややソフトな表現に抑えられている。

冒頭のお仕事アクションも“人質救出”だったり。
さらに偶然の出会いから始まるケイの淡い恋心といった映画版独自のウェットな要素を差し込んでくる。

それじゃないんだよなあ。
ケイの非情な殺し屋性が揺らいでしまう。

ヤクザがバスに乗るか?。テラノ役の杉野遥亮は顔も雰囲気も綺麗すぎて裏社会の人間には全く見えないぞ。

ハード要素が薄まったこの映画は、テーマ性が削がれたという意味で普通のバトルアクション映画(+ヤクザ抗争と男の友情付き)に見えてしまわなくもない。

それで橋本環奈はどうだったかというと、アクション面では、ジャンプや回し蹴りを多用するアクロバティックでスピーディーかつ激しい動作は、身体の柔らかさを活かしながら、ケイらしさが映像的に再現されていた。

ただ、「あまりに動きが速すぎて残像が見える」超現実的な演出はやりすぎで残念。

それからアクション以外の演技は、超絶既視感のある標準的な子設定っぽくて、それが役作りの結果か演出側が求めたのかは知らないけど、まだまだ不完全燃焼な気がした。

そのせいかテラノ対峙シーンでは、展開のユニークさがあまり伝わってこなくて非常にもったいない。

原作の世界観を希釈されたのは腑に落ちないけど、深夜ドラマのつもりで気楽に観ればまあ損はないかなあと思う。

鑑賞年月日

2022年8月

評価点数

3.0

作品情報

『バイオレンスアクション』(日本 2022年)
監督:瑠東東一郎

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どんどん観ていろいろ書いちゃいます。