人生は2分の1の確率で上手くいくという話
学生時代、僕の知り合いにMさんという先輩がいました。Mさんは根っからのギャンブル狂で、パチ屋には高確率で現れ、暇さえあればメンツを集めて麻雀を打ち、電車の中で競馬の馬券をオンライン購入しながら中継を動画で見ているような人でした。
割とオラオラ系の人で、周りの後輩からは疎まれていましたが、僕はその先輩が好きでした。やはり、どこかネジの外れた人に自分はどうやら惹かれるようです。数年前、そんなMさんが僕と麻雀を打ってるときにこんな話をしてくれました。
「なあ、誠羽よ。お前、この局あがれそうか?」
Mさんは僕の顔を覗き込んでニタニタしながら不要牌を捨てます。僕は目を合わせられると泳いでしまい嘘がつけません。Mさんはそれを知っていました。だから素直に言いました。
「十中八九、あがれないですね」
すると、十中八九、という言葉にMさんは顔をしかめました。そして、大きなため息をついたあとにこう言ったのです。
「いいか。どんなギャンブルも50%で勝てる。今だってそうだ、あがるか、あがられるかの二択なんだから。どんなときも、うまくいくか、うまくいかないか、それしかねえんだわ」
言ってることはめちゃくちゃです。そんなこと言ったら、宝くじだって50%で当たるし、じゃんけんも50%で勝つ。理論上、そんなことはありえないのです。と、いう言葉を頭に思い浮かべていたら、それが顔に出ていたのか、Mさんは笑いながら言いました。
「確率論の話じゃない、気持ちの問題だ。2分の1が勝ち取れないなら、取れる時に取れば言い。50%なんだから」
そんな会話をしながら麻雀を打って、結局その日は僕はぼろ負けでした。
僕はしばらくは、ああ、この人やっぱバカなんだなくらいにしか思ってなかったのですが、この迷言は今となっては自分自身が人生をポジティブに考えていくための糧になっています。
人生は選択の連続です。その選択も、突き詰めれば、Aという行為を「する」or「しない」の二択なのです。そして、その結果がプラスに働くか、マイナスに働くかというシンプルな話でもあります。
つまり、生きているといろんなことに迷ってしまいがちですが、究極はやるか、やらないかの二択であり、しかもその二択のうち片方はうまくいくというわけです。
さらに、その二択で失敗をしたとしても、次の二択さえ当てれば大丈夫。2分の1なので連続で失敗し続けることは途中で止まるはずです。具体的には、五回連続失敗するのは、約3%、十回連続失敗するのは約0.09%。どこかで必ず何かしらうまくいくようにできています。
しかし、Mさんが言ってたように、これは気の持ちようです。統計学の話ではありません。このような2分の1理論を心のなかでふと思い出すと、優柔不断でなくなります。自分が正しいと思ったことを、次々と実践するマインドがこれによって培われます。
もし、この記事を読んでる人のなかに、今何かやろうとして、あるいはやめようとして迷っている人がいれば、この話を思い出してもらえると嬉しいです。それで失敗したと感じても、また正しいと思う選択肢をどんどん選んでいってください。それがきっと、後悔のない人生を歩むことに繋がります。