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【社会人インタビュー#2】重工業メーカー勤務OBの"キャリア”

学生運営メンバーの椙杜です。社会人インタビューやキャリアに役立つコラム記事などを発信する「世の中理解塾note」。今回は、経済学部卒、川崎重工業株式会社にてガスタービンコージェネレーションシステムの販売業務に従事されているOB、近藤勇真さんにインタビューを行いました。 

近藤勇真(こんどうゆうま)さん

1992年生まれ。 2015年 中央大学卒業後、住友商事パワー&モビリティ株式会社にて東南アジアの発電所建設プロジェクトの契約履行業務(プロジェクト受注後~引き渡し)に従事。2018年12月 川崎重工業株式会社に転職。現在は、国内市場(東日本エリア)へのガスタービンコージェネレーションシステムの販売業務に従事。


【目次】
1.商社マンから重工業メーカー勤務へ
2.重工業メーカーとは
3.働く上での "やりがい”と "大変なこと”
4.社会で生きる上での「選択の軸」
5.10年後のキャリア像
6.キャリアに悩める中大生へメッセージ

商社マンから重工業メーカー勤務へ

川崎重工業 東京本社(東京都港区)前の竹芝桟橋にて

-この記事を読んでいる中大生に自己紹介をお願いします。

近藤さん)2015年に経済学部経済学科を卒業した近藤と申します。新卒で商社の「住友商事パワー&モビリティ株式会社」に入社し、海外の発電所関係の仕事をしていました。2018年12月に「川崎重工業株式会社」に転職しまして、現在はガスタービンという都市ガスなどを用いて電気や蒸気を生み出すエネルギー製品の国内向け営業を行っています。

-1社目は商社に就職されたということですが、商社を選ばれた理由は何ですか。

近藤さん)就職活動を始めた大学3年生の頃に、小学生の時にアメリカに住んでいたこともあり、海外で仕事をしたいという想いを持ちました。そのような中で、海外で働けるチャンスが大きい商社を選択しました。また、商社はメーカーのように ”モノ” を持っておらず「人(=社員)」が最大の財産なので、人への投資を惜しまない特徴や、お会いした商社マンの方々のお話が面白かったことも商社就職を決意した理由の1つです。

-幼い頃の海外での経験や商社の特徴がきっかけになったということなのですね。

近藤さん)仰る通りです。

-その後、入社から約3年後に現在の勤務先である「川崎重工業株式会社」に転職されたきっかけは何ですか。

近藤さん)商社時代は、数百億円規模の発電所の建設プロジェクトに従事していましたが、メーカーのように仕事で具体的な”モノ”が目に見えることが少なく、少々リアリティに欠けると次第に感じるようになりました。そんな中、自分で"モノ”を持って営業をしていきたいという想いを持つようになりました。というのも、家電に代表されるように、世界での日本のメーカーの競争力が弱くなってきている状況で、「日本の技術力はまだまだ戦えるんだぞ」ということを自分自身が証明していきたいと考えました。メーカーに入って海外で営業をやろうと決意し、現在の会社に入りました。

-個人的に「実体のないものを扱う」という商社の仕事に驚きました。もちろんサービス業などもそうなのですが。

近藤さん)そうなんですよね。新卒で就活していた時に、早い段階で商社に絞っていたのでそこは少し反省点かな、もうちょっと広く業界を見ておけばよかったなと思っています。そうすれば商社の特殊性などをしっかり理解したうえでキャリアの選択ができたはずなので。

-難しい点ですよね。近藤さんはどのようにしてキャリアの選択の「視野」を広げていくべきだとお思いですか。

近藤さん)前々から「どうしてもこれがやりたい!」というものがあれば、それに向かっていけば良いと思います。一方でそうではない学生さんは、世の中にある会社を沢山知ったり、いろんな業界で働かれている方のお話を聞いたりして、「働くイメージ」を持つことが大切なのではないでしょうか。そうすれば、「これは違うな」とか「これやってみたい」などの新しい気づきがあるはずです。

重工業メーカーとは

ある日のお客様とのWEB会議の様子

-重工業メーカーとは何か、そして「川崎重工業株式会社」とはどのような特徴を持つ企業なのかを教えていただきたいです。

近藤さん)重工業メーカーは、船舶や旅客機、鉄道車両、更には防衛・宇宙産業品など幅広いモノを手掛けている業界です。その中で「川崎重工業株式会社」は、創業は造船からスタートし、現在では産業用ロボット、航空機、ガスタービンなど陸海空問わずに製造しています。弊社の大きな特徴としては、バイクなどのBtoCの製品も扱っているということです。業界全体ではBtoBの製品がほとんどですが、バイクのおかげで「カワサキ」を認知していただけることも多く、それが国内外問わずビジネスをする上で大いに役立っています。

-事前に調べさせていただいたのですが、宇宙産業にも進出しているという点に非常に驚きました。

近藤さん)JAXA種子島宇宙センターの液化水素貯蔵タンクなどがその例ですね。

-規模の大きい事業ができるというのが重工業メーカーの強みの1つですね。

近藤さん)仰る通りです。

働く上での “やりがい” と “大変なこと”。


-働いている中で、やりがいを感じる瞬間はどのような場面なのでしょうか。

近藤さん)製紙、食品、化学メーカー等の工場にガスタービンを導入してもらうという営業をしているのですが、お客さんから信頼され、心を開いてくれて、初対面ではなかなか教えてくれないような情報を教えてくれるくらい親密な関係を築けたときにやりがいを感じます。あとは、社内外の多くの関係者を上手くまとめて仕事をやり遂げた時ですかね。社内の設計担当にはお客さんの元に同行してもらって、製品の技術的な説明をしてもらったりするんですよ。ある意味、重工業メーカーの営業担当者は「オーケストラの指揮者」のような存在だと思っています。これらが私がやりがいを感じる瞬間です。

-人を巻き込んで仕事ができる点が近藤さんの今のお仕事の良いところなのかなと感じました

近藤さん)そうですね。そこは商社での経験が活かせているなと思っています。商社も関係者が国内外多いので、いろんな人を巻き込んで1つの目標に進んでいくというところが重工業メーカーの営業と似ている点ですね。

-ファーストキャリアがセカンドキャリアに活きた瞬間ですね。一方で、大変だなと思うことはありますか。

近藤さん)新規の顧客獲得をするときです。割合としてはそれほど多くはありませんが、企業のHPで電話番号を調べて、まったくツテがない状況で、飛び込み的な営業をすることもあるんです。私はこれは嫌いではないですが、やはり最初の頃は大変でしたね。断られた時、結構傷つきました(笑)。

-大変な瞬間に直面した時、どのように乗り越えられましたか。

近藤さん)私が扱っている商品は、お金に余裕のある企業が省エネ、省CO2などを目的に興味を持って下さる製品なんです。なので、「興味のない企業は仕方がない」「事前リサーチで需要が見込める顧客を絞り込んでいるので、それでニーズがなければそれまで」とすぐに気持ちを切り替えることを心掛けています。何等かの理由でニーズがなかったというのも、貴重な調査結果のデータであると考えるようにしています。

-"切り替える”というマインドが営業職には必要になってくるんですね。

近藤さん)仰る通りです。

社会で生きる上での「選択の軸」

ある日のお客様向け 提案資料作成中の様子

-近藤さんがご経験された転職活動のように、社会人になれば様々な選択の場が増えると思います。そのような時に大切にしている「選択の軸」はありますか。

近藤さん)自分と向き合って、「自分がどうしたいか」を考えることでしょうか。自分の人生の主役は自分しかいないので。例えば、就活中に超有名企業に入った人がいるとします。その人にとってはこの結果は良いかもしれないけれども、自分にとっては必ずしもこれが良いこととは限らないと思うんです。人それぞれ価値観は違いますからね。いかに自分の中で重視したいことに向き合って掘り下げていくかが大切かなと感じます。

-就職活動中は、「あの人は大手の○○に内定したけど自分は…」というように人と比べてしまう方が多いのかなと思います。

近藤さん)自分の人生の主役は自分だけだからこそ、「自分がどうしたいか」を自問自答することは就職活動でも、社会に出た時も大事になってくると思います。

10年後のキャリア像

-10年後、近藤さんはどのようなキャリアを歩んでいたいとお考えですか。

近藤さん)10年後は40歳くらいですね。重工業メーカーは、受注に至るまで2, 3年以上かかるので、ようやく来年度か再来年度に受注できるかどうかというのが見えてきた形です。なので、まずは国内で受注して、2~3年後に海外営業活動をする部署に異動したいです。そして35歳くらいで一度海外に駐在して経験を積みたいなと考えています。

-海外への想いが自身のキャリアの成長の燃料になっているということですね。

近藤さん)そうですね。

キャリアに悩める中大生へメッセージ

-質問は以上になります。最後に、今自身のキャリアについて悩んでいる中大生へメッセージをお願いします。

近藤さん)就活中は、学歴などは気にせずに自分が進みたい方向を目指すべきだなと感じますね。あとは、たくさん興味関心を持って、まずは色んな人から色んな話を聞くことが大事かと思います。OBOG訪問などはとても緊張すると思いますが、そこを乗り越えて一歩踏み出してアクションを起こしてみよう!という意識を持っていただきたいです。応援しています!


-素敵なメッセージありがとうございます。以上でインタビューを終了させていただきます。本日はお忙しい中、取材を快諾していただきましてありがとうございました。

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