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事前対策:「生き直し」ゲームの実際(20)
前回「生き直し」ゲームの実際(19)「段取り八分」の続きです。
この事前対策の達人のところには、議員や役所の人がよく相談に来ていました。
町がこれからどうなっていくか、その時何をすればどうなるのか、それにはどれほどの予算がかかるのか、……そういったことをよく研究していて、説得力のある答えをすぐ言えたからです。
驚いたことに、それは当面の事や数年先の事にとどまらず、時には百年先、二百年先の話まで出てくるのでした。
この人のことで一番印象深いのは災害事前対策のことでした。
ある崖の近くにあった家の人に、「ここは土砂崩れの危険があるから、台風が来る前には必ず安全な所に避難しておいたほうがいい」と何度も言っていたのでした。
見ると大して急な崖でもなく、今まで何十年もなんでもなかったので、大丈夫としか思えなかったのですが、はたして台風が来たとき本当に崖崩れが起き、その家の人は命拾いしたのでした。
もう一つは、ある家に、「大きな地震が来たら、ここは地割れする危険があるから、新築するならこの辺りがいい」と勧めていて、評判を聞いていたその家の人はそれに従ったのですが、地震が本当に来たとき、言ったとおり前の家があった土地は2メートルの段差ができて、家屋はほぼ倒壊したのでした。
「おじさん、どうしてそれがわかったの?」と聞いてみると、
「簡単だヨ。地中の水の流れを考えれば、あそこで土砂崩れが起きる確率は非常に高かった。
活断層の地図があるんだ。活断層の上にあれば地震が来たらこうなるのはわかりきっていることだ」とあっさり答えたのでした。(続く)(極意塾投稿No.467)