人生の物語りに意味はない
ライフストーリー、人生の物語りに興味をもっていた。
人が自分の人生に付与する意味を知りたいと思い、
時には破綻に向かう物語りの解釈を
変更する手伝いをしてきた。
でも、人が幸せに生きるのに、
人生の物語りはいらないんじゃないかって、
むしろ重荷になるのじゃないかって
思うようになってきた。
人生を物語ることは、自分を今ではない時、
今ではない場所へと連れていく。
もちろん再解釈によって、これからの人生を生きる元気が湧いてくることもあるのだけれど、
でも、たぶん、過去のことなんて考えない方が
ずっとずっと幸せに「存在」できる。
終わってしまった日々は、もう蓋をしてみないこと、
まだ来ていない未来は、幻と思い気にしないこと。
生きてきた人生が長くなるほど、人は過去を語るけど、
必要なのは過去の清算なんかじゃなくて、
いまこの瞬間を生きること。
過去を振り返るほどに、未来を心配するほどに、
生命力は身体から染み出していってしまう。
だから、もう物語らなくていいんじゃないのかなと、
自分の人生をいつでもフルセットで持ち歩かなくても
いいんじゃないのかと、
まるでいま生きはじめた人であるかのように、
新鮮に生きていいんじゃないかと、
そんな風に思うんだ。