💉決意の手
こちらの流れをお借りしています。
▼お借りしました!
とわさん宅:ユニちゃん
「……わたしに、ポケモンバトルを教えて」
彼女のその言葉に、また心臓が高鳴った。思わずピクリ、と体を震わせてしまう。彼女は、ユニは、何かを決意したような目で、こちらを覗いた。
その小さな小さな手で、テオの手を握っていた。
「……さっき、酷いこと言ってごめんなさい」
それは彼女にとっての、前進の言葉だって、分かった。
テオはタブンネであるフェイのように、相手の気持ちを正確に読み取ったりはできない。それにきちんと応えることも、きっと。
それでも、それがユニの精一杯だと、感じることが出来た。だから。
「……実践……を、することは出来ない」
ふ、と顔を上げたユニは悲しそうで、寂しそうで、少しだけ傷付いたような、そんな表情で、そんな彼女の頭にぽんと優しく手を添えた。
「でも……ポケモンのこと、バトルの仕方……その知識を、伝えることはできる。君のパートナーたちの得意なことや苦手なことも、一緒に探すことは出来るよ」
彼女は驚いたような、期待に満ちたような目で、テオを見上げた。テオは少しだけ困ったように笑うと、それでいいかな、と続ける。
「テオくん……わたし、」
彼女の言葉を、自らが立ち上がることで遮って、でも、手は離さないままオスカーへと視線を向けた。
彼は納得いってないのか、ふん、と少しだけ不機嫌そうに鼻を鳴らして、それでも顔をテオに擦りつけてからユニにも同じことを繰り返した。
どうやら小さなもう一人の"妹"を、相当気に入ったらしい。
「……帰ろうか。きっとみんな心配してるよ」
その手を引いて、歩き出す。
その間もずっと、オスカーはユニの隣に寄り添っていた。