✉️空への招待状

こちらの流れをお借りしています。

▼お借りしました!
カナリアさん宅:メイメイさん


 ジェンの首元に、メガストーンが装着されているのには彼を見た瞬間に気が付いていた。メイメイの髪にキーストーンがあることは前々から知っていたが、それが彼だったと知って胸が躍った。
 メガシンカはポケモンにもトレーナーにも負担がかかる、と知識で知ってはいたが、間近でそれを見たことがなかったし、内心少しだけ、淡い期待をしていたのは事実だ。
 しかし、実際は想像をはるかに超えていて、七色の光を纏うジェンに、そしてそれを扱うメイメイに、一瞬にして目を奪われてしまった。その存在感に思わず唾を飲み込んで、その高揚感に笑みを隠せなかった。最初から、隠すつもりはなかったけれど。
 それからはあっという間だった。メガシンカしたからといって臆することは全くなかったし、全力でぶつかったつもりだ。それでも、自分のフィールドである空を堂々と制され、敗北したのだ。

 最高に楽しかった。本当に嬉しかった。悔しい。とても、悔しい。
 バトルの後はいつも高ぶっている自覚はあるけれど、今日はいつにも増して冷める気配がない。

 メイメイは勝利したにも関わらず約束していた『いいもの』を持たせてくれ、真っすぐ目を見て感謝を告げてくれる。感謝をしたいのは、こちらの方だというのに。

「こちらこそ!誘ってもらえて、本当に嬉しかったです」

 彼女の笑顔はとても満足気で、それにはこちらもさらに嬉しくなる。でも、まだ自分は満足していない。それは敗北したからではなく、バトルが最高すぎたからだ。まだこんなにも、胸が高鳴っている。

「メイさん、この後は何か予定あるんですか?」
「え?まだ何も考えてないけど……」

 イゼットの問いに、メイメイは不思議そうに首を傾げている。最初に彼女から誘われた言葉をそのまま返しているようで、少し可笑しくなった。

「オレ、全然興奮治まんなくて!まだ飛びたいなって思って!」
「あはは!元気ね、イゼットくん」

 それには笑顔で肯定して返して、

「ナハトも悔しいだろうから、じっとしてられないと思うんすよね」

 ナハトはまじめで賢い。故に他の手持ちたちにバトルを横取りされても、大騒ぎしていても、大人しくイゼットの指示を待っているような子だ。その彼女があんな風にバトルをするのを、イゼット自身も久しぶりに見たのだ。
 きっと自分と同じ感情に違いない。

「もしよかったら、一緒にどうですか?」

 手を差し出して、もちろんポケモンたちを回復させてから、と最後に付け加える。

「メイさんの好きなとこ、どこでも行きますよ!」


 彼女にとっての素敵な休日を、もう少し共に過ごしたいと思うのは、我儘だろうか。

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