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統一教会との癒着を断てない岸田自民党 - 戦慄の内容だったTBS報道特集

21日に毎日新聞の世論調査が出て、予想どおり内閣支持率が急落した。前回よりも16ポイント下降して36%となり、週明けのネット議論はこの話題で持ち切りとなった。来週(8/18)は朝日新聞の世論調査が出る。前回は57%。おそらく、こちらも40%を切る厳しい結果になるだろう。今週は、統一教会問題に加えてコロナ感染爆発による全国の医療崩壊が大きな問題になるはずで、政府に対して辛辣な批判が向けられるに違いない。岸田文雄が夏休みで旅行とゴルフを楽しんで、そこで感染した問題は小さくない。(上の写真は毎日新聞

国民に対しては感染対策に注意するように言い、医療現場に負担をかけないよう促しながら、責任ある立場の自らは不覚をとった。おそらく、高級旅館での会食中に無症状者からうつされたのだろう。失態だ。今週、例の全数把握の問題をどうするかという重要な政治課題への対処があり、会議が開かれるはずで、首相が意思決定する場面がある。決定後に会見して説明する予定も組まれているだろう。どうするのか不明だが、オンライン会見となると何とも締まりのない絵になる。医療関係者からの怨嗟と失望の声は特に峻烈なものになるに違いない。

28日に朝日新聞の世論調査があり、その次は9月4日にJNNの世論調査が控えている(前回は57.5%)。TBSはテレ朝と違って統一教会問題で厳しい報道姿勢で臨んでいるため、こちらも40%を切るだろう。2学期始業によるコロナ感染拡大が影響することが予想され、支持率低下はさらに幅が大きくなるはずだ。その次は9月12日にNHKの世論調査の発表がある。この頃になると、安倍国葬問題が佳境に入っていて、NHKでも国葬反対の世論が大差で多数となるのは確実と見込まれる。NHKの前回の内閣支持率は46%。来月は35%を切っておかしくない。

9月に入ると、小売価格の値上げが次々とある。家電製品が値上げされ、パナソニックは17品目につき最大33%値上げすると発表している。パスタやレギュラーコーヒーなど食料品も再び値上げの波があり、国民の家計を直撃する展開になる。加谷珪一など経済評論家の説明では、この秋冬から来年にかけてが日本のインフレ爆発の本番で、企業物価が高騰した分を消費者物価に転嫁する時期だと恐い予告を発していた。物価上昇による庶民の生活苦の悲鳴は、当然、岸田政権への世論にストレートに反映するだろう。30%台に下がった支持率がさらに低迷する事態が想定される。

前回の記事での指摘と重複するが、岸田文雄には安倍晋三のアベノミクスのようなマジックがない。大衆を幻惑して利益で釣るペテンの技がない。安倍晋三の「アベノミクス」や小泉純一郎の「構造改革」のような、看板の経済政策がなく、大衆をイデオロギーを超えて惹き付けるフライフィッシングの疑似餌がない。安倍晋三と小泉純一郎の政権が長持ちした理由として、支持率を底堅く下支えするベースロードの政治要素があり、すなわち、経済の領域で大衆を騙す山師の詐術を駆使できていた点があった。岸田文雄にはその持ち合わせがなく、国民は岸田文雄に幻想を持つことができない。

もう一点言うと、岸田文雄には岩盤右翼の支持がない。安倍晋三にはそれがあった。長く続いた小泉政権の時代にマスコミとアカデミーの右傾化が固められ、極右の人脈が業界を広く支配するようになる。その財産と基盤を安倍晋三がそのまま引き継ぎ、ヨリ右翼的人脈の濃度と純度を高め、後戻りできないほど右翼の積層と系列をぶ厚くし、右翼以外は人にあらずの世界を形作ってしまった。政界も、経済界も、マスコミも、安保外交方面も、学界も、文化界も、学校も、職場も。安倍晋三が小泉内閣の官房副長官になって20年が経っている。安倍晋三にコミットする右翼しか人事で出世していない。公共空間での発言権がない。日本は安倍思想の地上になった。

そうしたグロテスクな経緯があり、嘗ての経世会や宏池会のようなマイルドな保守の存在がない。加藤紘一や野中広務のような政治家がおらず、その政治思想を応援するマスコミ論者がいない。古賀誠村上誠一郎がシーラカンスのように生きているだけだ。鳩山由紀夫や小沢一郎は排斥され、存在が完全に抹殺された。安倍晋三は死んだが、政界もマスコミ界も学界も、安倍思想のリトマス試験紙でパスしてポストを得た者だけが昇進していて、すなわち安倍レジームのセメント構造が頑然としてある。そこには、純粋な宏池会的信念を保持する者はいない。彼らは、ヨリ右翼的で獰猛なネオリベのリーダーを歓迎する。

安倍晋三の場合は、何か失敗したり抵抗を受けたりして支持率が落ちても、必ずそれを回復させる右翼合唱団の声援があり、右翼がマスコミやネットで後押しして空気を変えた。支持率を元に戻す装置と岩盤があった。岸田文雄の場合はその資産と前提がない。自らが安倍晋三のような右翼ネオリベの引率者になるしか、安倍レジームのセメント方面から風を受ける条件がない。実際、政権の維持運営のために、総裁選出馬時の公約を撤回し、右へ右へ旋回してきたのがこの9か月で、国民一般が期待した脱安倍の宏池会カラーは反故にされている。安倍レジームの右翼たちは、河野太郎に変えたいのが本音であり、それが岸田文雄の脅迫材料になっている。

岸田文雄が支持率を挽回するためには、意を決して統一教会との関係を切り、その決断と指導力を国民から評価してもらうしかない。あるいは、北朝鮮が核実験を強行するとか、米軍が台湾海峡航行で再び中国を挑発する緊張の情勢が生じ、マスコミの空気が入れ替わった隙に、統一教会への関心を背後に追いやるしかない。前者は容易ではないだろう。本来なら、今頃は萩生田光一を更迭していなければいけないときだ。それを断行すれば、支持率下落に歯止めをかけ、国民の期待を取り戻すことが可能である。それができないのは、統一教会と無関係な有力議員の後釜が党内にいないからであり、岸田文雄に勇気がないからである。

昨日(8/22)のミヤネ屋では、山際大志郎のネパール訪問問題が槍玉に上げられていた。UPF(天宙平和連合)が2016年7月にカトマンズで開催した国際指導者会議に、山際大志郎が出席し講演しているのだが、どうやら、この海外出張に疑惑があり、本人は前年2015年のネパール地震の復興視察を口実にしていた気配なのだ。このとき、山際大志郎は衆院経済産業委筆頭理事の地位にあり、国会議員の視察として公費で渡航した可能性がある。「マザームーン」の山本朋広が同行し、やはりUPFの会議にも参加していた。通常、統一教会がこうした国際会議に議員を呼ぶ際は、アゴアシ付きで謝礼も出るらしい。

ということは、山際大志郎と山本朋広は、復興視察を名目にネパールでの統一教会の会議に顔を出し、国会から経費(税金)をせしめ、さらに統一教会から旅費・謝礼金を受け取って二重取りしていた疑いがある。また、現在判明した参加者は山際と山本の2名だが、他にも同行議員団がいて、UPFの会議に出ていた疑いがある。これまで、山際大志郎本人はネパール出張について口を割ってない。質問に答えず逃げている。先週は萩生田光一が十字砲火を浴びたが、今週は山際大志郎が標的になるかもしれない。統一教会の疑惑は底がなく、次から次へと新しい醜聞が発掘されて浮上する。

ここで注目したいのは、山際大志郎は安倍派ではない事実だ。麻生派であり、甘利明の直参子分だと紹介されている。岸田内閣で経済財政担当相に抜擢され、甘利明の名代入閣だと騒がれて当時興味を集めた。経歴を見ても安倍派とは関係ない。だが、鈴木エイトが最も要注意としてマークしていた壺閣僚だった。山本朋広に目をやると、やはり安倍派プロパーではなく菅Gである。京都2区で落選して浪人していた境遇を、菅義偉が拾って神奈川4区(鎌倉・逗子)を与えている。菅義偉の子分の右翼小僧だ。今、壺議員は安倍派という観念が定着しているけれど、実態は必ずしもそうではない内情が窺える。

53歳の山際大志郎は、麻生太郎が強力に推した中堅で、将来の麻生派の幹部に据えようと思惑した男だろう。麻生太郎は81歳。「奉行衆」を揃えて組織を固めておかないと、嫌悪している59歳の河野太郎に派を横取りされてしまう。が、その山際大志郎はバリバリの統一教会直系だった。47歳の山本朋広は、5年前に防衛副大臣の要職に就いていて、菅義偉の秘蔵っ子だったと推定される。佐藤正久と常に行動を共にしていて、いずれは防衛外交族の大物として栄達していた若手だ。山際大志郎や山本朋広の例を見ると、自民党の中で安倍派だけが統一教会系だとは言えない。他の派閥にもいるし、出世株の右翼ほど壺議員である場合が多い。

麻生派も、菅Gも、中身を掘り返せば壺議員だらけで、だから岸田文雄は統一教会排除を断行できないのである。麻生太郎と菅義偉の統一教会との関係は未だ表面化していない(先に岸田文雄との闇を文春がスッパ抜いた)。だが、この反共右翼の二人が無関係とは考えにくく、必ずどこかに接点があり、証拠を残しているだろう。20日のTBS報道特集は、いかに統一教会が自民党政治に食い込み、中央も地方も、統一教会の思いのままに政策を操っているかを示していた。視聴した誰もが、恐怖で背筋が寒くなる感覚を覚えたに違いない。驚愕の内容だった。渾身の力作だった。TBSの底力が伝わる報道番組だった。取材し制作したスタッフの鋭意と努力に拍手を送りたい。

政治家もバカになり、マスコミも有権者もバカになり、すべてが無規律に痴呆化し、粗暴化し、政治と呼べる政治はこの国から消えたものと思っていたら、何と、反社カルト集団の統一教会が緊張感を維持して抜け目なく行動していた。誰もがお笑いテレビに脳を漬け込まれ、知性も理性も思考力も失いきったこの国で、統一教会は自己の思い描く「理想」の実現をめざして手を抜かず、構想と計画を立て、着々と地方に足を伸ばして勢力を拡大していた。国会議員が私欲まみれの愚物だらけになり、カネが欲しい、票集めのボランティアが欲しい、議員の身分で遊んで威張りたいというだけの醜悪な餓鬼・畜生になり下がった中で、統一教会は黙々と日本の政治支配を進めていた。

戦慄させられる。これまでは、紀藤正樹の説くような、フランス的な「反セクト法」の制定に対して私は反対で、日本は、新規の立法整備に動くのではなく、憲法を重視して、既存の刑事諸法の解釈と運用で統一教会を押さえ込むべしという考え方だった。けれども、先週のTBS報道特集を見て、とてもそれでは間に合わないことを確信させられ、今や眦を決して、国民が統一教会と戦う覚悟を決めないといけないと痛感させられた。信じられない事態になっている。このままでは統一教会の国家になってしまう。危機感を持たないといけない。


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