燃え広がる玉木雄一郎の不倫騒動 ー 女性の尊厳を傷つける政治家のナラティブと悪弊
衆院選後にマスコミの寵児となり、政局のキャスティングボートを握って飛ぶ鳥を落とす勢いだった玉木雄一郎に、突如として不倫醜聞が降って湧いた。11日月曜、FLASHが、玉木雄一郎と元グラドル女性が密会する現場写真をスクープ報道。当日は首班指名の特別国会が開かれた日だったが、早朝からこの醜聞で沸騰、マスコミは首班指名そっちのけでこの話題一色となった。玉木雄一郎は国会開会前の午前9時半に急遽釈明会見を開催、夜も有楽町街頭に出て党を挙げての謝罪演説を行い、沈静化に努めたが、今週(11/10-16)はこの騒動で世の関心が埋まり、激震は収まらず広がる一方だ。不倫相手の女性は39歳で高松市観光大使の小泉みゆき。香川県出身で、レースクイーンやイベントPR等の芸能活動経歴があり、テレビやCMの出演履歴もある。現時点でマスコミの前に姿を現していない。
一報が出て、すぐに小泉みゆきについてネット検索したが、Instagram やXのアカウントは事前に削除され、Facebook も閲覧不能状態で、本人を知る手掛かりは抹消されていた。が、少しずつ続報が漏れ出て素顔が見え始めている。驚愕したのは15日の週刊文春の記事で、何と、小泉みゆきが国会の憲法審査会に毎週傍聴に来ていたという事実が暴露された。服装からして、およそ政治に関心があるようには見えない風体の若い女性だが、あるいは意外な別の一面を持っていた可能性がある。興味深いのは、玉木雄一郎の地元の政治資金パーティや街頭集会にも小泉みゆきが頻繁に顔を出していて、夫人とも面識があるという点だ。いわば政治家玉木雄一郎の親衛隊の側近に位置する存在で、単に性欲処理だけを目的とする軽い遊び相手ではなく、もっと深い同志関係なのかもしれないという想像が浮かび上がってくる。
FLASHは、9月に高橋茉莉が自殺した件でも詳しい記事を書いている。東京15区補選で国民民主の公認候補になりながら、ラウンジ勤務が露呈して取消となった高橋茉莉が9月に自殺。FLASHの論調は、公認を取り消した玉木雄一郎の酷薄非情を厳しく糾弾するものとなっている。自殺する前、高橋茉莉は「体調不良を理由に辞退しろ」と党から指示を受けたとSNSで告発していた。辞退を強要したのも、白羽の矢を立てて公認したのも、玉木雄一郎だろう。記事には「玉木氏と高橋さんの間に深い繋がりがあったのは事実」とあり、何やら意味深なニュアンスが漂い、FLASHの記者が状況証拠の一端を掴んでいるのかもしれないという憶測に及ぶ。そもそも、どういう経緯で彼女を公認候補に抜擢したのだろう。美貌で努力家の27歳の才女が - 若者の人手不足に悩む日本で ー なぜ自殺に追い込まれたのか。
高橋茉莉の件と小泉みゆきの件は微妙に構図が似ていて、玉木雄一郎が弱い立場の若い女性を利用し、女性との問題で自分が窮地に立った途端、迷惑扱いして冷酷に切り捨て、女性に責任を押しつけ、自分に害が及ばないよう関係を切断して始末している点である。小泉みゆきのSNSアカウントの全削除も、玉木雄一郎の指示による証拠隠滅だろうし、マスコミから身を隠す潜伏も口封じのためだろう。いつまで雲隠れを続けられるか分からないが、玉木雄一郎としては、参院選の前に小泉みゆきがマスコミの取材を受けて証言するのは具合が悪いに違いない。FLASHは7月に、玉木雄一郎の弟の玉木秀樹の金銭トラブルと脅迫の事件についても報道している。この事件は、11/11 に神奈川県警が被害者の告訴状を受け取る推移となっていて、11/14 にその事実をFLASHが記事にした。FLASHが、玉木雄一郎に関する問題のすべてのタイミングを戦略的に計算し、効果的に発信している企図が窺われる。
玉木雄一郎とFLASHは、松本人志と週刊文春のような関係になり、世論と政局を見ながら追及と攻勢が続く展開となった。FLASHには頑張ってもらいたい。私が注目するのは、玉木夫人の存在と動向である。現在まで、マスコミの前で発言していない。彼女は今回の不倫問題をどう考え、高橋茉莉の事件をどう捉えていたのか。今のところ、恵理夫人の客観的立場は、玉木雄一郎に裏切られ、不倫女性に夫を盗まれた被害者である。また、「こんなときに何やってんだ」と夫を叱責し、「今回の騒動を挽回するため、全力で103万円の引き上げをやってこい」と叱咤激励した"賢妻”である。そう玉木雄一郎が語っていて、それが公式的事実として置かれている。だが、その話が真実かどうかは不明で、事実であったとしても彼女の本心かどうかは分からない。この説明からは、裏切りに耐え、なお夫を前向きに支えようとする従来型の政治家の妻の像が訴求され、従来型の不倫切り抜けの物語(悪弊)が再現されている。
脱力をもよおす旧弊型のパターンだ。この処理と演出に対して、上西充子らから反発が上がっている。この卑劣で不快な弁解の方式は、夫人の名誉と主体性を奪い踏みにじるもので、ジェンダーの観点から ー と大袈裟に振り翳さなくても、人権と人格の尊厳の視角から ー 容認できない屈辱と自己犠牲の押しつけだろう。人も羨む高学歴で優秀と囁かれる玉木夫人は立場がない。一体、先週末(11/8)から週初(11/10)にかけて、玉木家でどんな話し合いがあったか、玉木雄一郎と小泉みゆきとの間でどんな相談があったか、裏の真相が興味深い。不本意きわまる配役を引き受けた玉木夫人は、今後どのような面目で支持者の前に出るのだろう。が、しかし、私には今回の件で根本的な疑問があり、そもそも、夫人が地元で高い信頼と支持があり、才覚ある良妻賢母が留守を守っているから玉木雄一郎が票を得ているという物語(地元情報)は、果たしてどこまで真実なのだろうか。神話ではないのか。夫人は平素は東京で暮らしている。
FLASHの報道によれば、「地元関係者の一部で、以前から『玉木氏が不倫している』という噂が流れていました。イベントなどで一緒になる女性と、距離感がとても近いんです。それだけでなく、2人が高松市内のホテルに入って行く姿が、複数回目撃されていたからです」と、香川県の政界関係者が証言している。地元の一部では玉木雄一郎の不倫は噂になる状態だった。であれば、当然、その噂は夫人の耳に入っておかしくない。ところが当の不倫相手は、玉木雄一郎の政治活動現場に頻回に参加し寄り添う積極的支援者で、玉木夫人も面識があり、地元の玉木周辺界隈でよく知られた人物なのだ。ということは、大人の常識で考えれば、玉木夫人は小泉みゆきを愛人として公認していたという解釈になる。少なくともその疑念は生じる。この仮定は、玉木雄一郎の 11/11 の釈明内容と真っ向から矛盾する。果たしてどちらが本当なのだろう。その急所に踏み切んでいる媒体はないが、可能性は否定できず、もし事実であれば大変な事態だ。
週初の 11/11 に醜聞が出て玉木雄一郎の釈明があった翌日、11/12 のモーニングショーで菊間千乃がコメントし、「そうやって自分の欲望のためにいろんな人に嘘をついてやるような人なんだなというところは思った」と、厳しく突き放した感想を述べた。当を得た見方だと思うし、菊間千乃は玉木雄一郎の欺瞞を見抜いている。おそらく、高橋茉莉の事件も念頭にあり、それを含めての綜合的判断だったのだろう。女性からのこの問題の認識や玉木雄一郎の弁明への受け止めは、菊間千乃が代表していて、玉木雄一郎の資質を処断し失格の判定を下している。11/11 の会見での説明は、嘗ての、森喜朗のような淫堕放縦な政治家が醜聞報道されたとき、世間を丸め込む逃げ口上で使ったナラティブで、そこには基本的に女性の人格を蔑ろにし貶める性格の関係性が埋め込まれている。妻たる女性の尊厳と矜持の否定が前提されている。ジェンダーの時代となった今日、およそ一般社会に通用する釈明にはならない。11/11 に、玉木雄一郎は森喜朗になってしまった。
この問題と関連して、私が看過できないのは、11/11 の榛葉賀津也の妄言である。玉木雄一郎の代表続投を認めて推し、その場で「プライベートの問題はしっかりと家族で話し合って、けじめをつけてほしい」と発言している。「家族でけじめを」とはどういう意味だろうか。要するに、夫人が玉木雄一郎の不倫を了解して許容し 、今後の夫婦円満の持続を合意し納得すればよく、それで問題解決し、公人としての玉木雄一郎の責任は問われないという意味だ。裏返せば、夫人に対して、玉木雄一郎の不倫を勘弁して我慢してくれ、ここで火事が大きくなると国民民主党に迷惑がかかるから、黙って丸く収めてくれと威迫しているのと同じだ。これまた、ジェンダーの観点からは頗る女性を侮辱した言い草で、無神経な、一方的で不当な忍耐の強要だろう。政党を守る動機と目的で、玉木雄一郎の家族にすべての渋難を押しつけ、犠牲を甘受して夫と党を支えよと促している。女性への屈服の要求だ。
一週間テレビを見てきたが、男女の間で受け止め方が全く違っている。街の声もそうだし、番組コメンテーターもそうだ。女性の態度と見解は、菊間千乃的な反応が主流である。男性の側は、玉木雄一郎に宥和的で、問題を「プライベート」の範疇で矮小化する傾向が強く、玉木雄一郎の政界活動継続を容認する意見が多い。11/12 の報道1930がその典型だった。テーマは「玉木代表が生出演 ”重要政策と責任”を直接問う」で、コメンテーターは田崎史郎と中北浩爾。タイミング的に企画はドンピシャで、視聴率は高かっただろう。だが、玉木雄一郎への質問と追及は手ぬるく、視聴者が満足する中身と進行ではなかった。視聴者が期待したのは、やはり不倫問題についての事実関係と責任対処だったはずだ。そして、どう考えてもこの件はジェンダーと政治の問題であり、ゲストには浜田敬子とか菊間千乃が加わるべきだったと思う。女性の視点を代弁する論者が必要だった。番組は茶番で、特に玉木雄一郎の免責を後押しする中北浩爾の醜悪な弁護が際立っていた。
来夏の参院選の有権者の半分は女性だが、TBSの番組視聴者の半分も女性である。松原耕二にはその認識が欠如していたと言わざるを得ない。週刊文春の報道によって、小泉みゆきの政治活動家(親衛隊長)としての実像が明らかになり、最早「プライベート」を理由にして言い逃れする図は不可能になった。観光大使の就任と活動についても疑念が及ぶ。国民民主党は説明責任を果たさないといけない。そして、あらためて、日本におけるジェンダーと政治の本質的問題がこの機会に抉出され検討される必要があるだろう。最後に、玉木雄一郎には、①代表辞任すること、②頭を丸坊主にして反省を表すこと、②四国八十八か所遍路の旅に出ること、を勧めたい。FLASHには「天晴れ」の勲章を贈りたい。