ガラス
ただ繰り返す日々と端で
倒れている奴がいた
雪解けの下に露わになった
少女が死んだ季節になった
あれか数年が立った
今じゃもう夢に出なくなった
人が死ぬのにも慣れてきた
頭の使い方も覚えた
言葉の操りかたも覚えた
けど、古典文学を読み込んで
覚えた言葉は「クソッタレ」だ
太宰を燃やして
芥川を燃やして
クソみたいなニュースを流すテレビを壊して
知った風に世界を語る評論家を
二度と画面に映さなくした
泥の様な場所で
輝く人の心は
ガラスの様なものだ
誰もが手をさしのばせば
助かるはずだったけれど
誰一人だって手は延ばさずに
ダイヤモンドの輝きに夢中で
みんな自分で必死だとか
マックを食いながら言う奴を
僕は殴りそうだった
泥の中にあったガラスを
拾い上げるのに必死だった
泥にまみれてばかりの
汚い仕事だけれど
そんな苦労をしたって
拾い上げても
拾い上げても
踏みつぶされたガラスばかりで
まともな方が少なかった
だから僕は
テロリストを批判する気になれなくて
いつも同情ばかりしてる
哀れな奴だと思ってる
僕だって、一歩間違えばあそこに居たかもしれない
泥の中で割れたガラスを見た事があるやつは
いつだって怯えてる
こうしていても
消えない怒りと悲しみで
自分を見失わないか
恐ろしくて
両肩を抱いているよ