What a wonderful world


困難ってやつは誰にでも訪れる

けど、そいつが公平だった事は

一度だって無い

歴史に詳しい訳じゃない

けれど僕の短い歴史で

十分すぎるほど詳しくなった


泣いてる奴なら大勢いる

あちらこちらで溢れてる

泣くのに疲れた奴は

その辺りに転がってる

絶望の薬にはまって

毎日飛んでるやつも居る


そいつは過去の話だとか言うやつもいる

けど 聞こえすぎる僕の耳は良く分かる

隠すのは上手くなった

けど それだけだ

伊達メガネでインテリ気取るように

女が化粧で顔を隠すように

飢えと渇きを隠すのが

上手くなっただけだ


通り過ぎるやつが

イヤホンをしながら口ずさんでる

「What a wonderful world」

けど 歌いたいだけで

サッチモの声なんて聞いてない

なんせ、そいつは笑ってる

世界はやっぱり美しいって

笑ってるから

きっと間違いない


もしも 世界が美しかったら

こんな歌も生まれなくてすんだ

少なくとも

サッチモが美しいと思ってら

こんな曲は歌わなかった

耳が良すぎたんだ

こいつもきっと

耳が良すぎちまった


サッチモに詳しい訳じゃない

英語も良く知らない

けど、耳が良すぎるやつは

こいつの悲鳴がよく聞こえる

だから さっさと仕事をはじめるんだろう

泣いてるのがバレないように



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