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ヨンゴトナキオク39 2021.8.14

「ひぐらしは何処に」夏休み合併号(よんのばいすう8.12)

大雨続きの毎日。お盆休みもあったものじゃないですよね。「帰省は諦めてください」とどこかの都知事は言いましたが(笑)、交通がマヒしてこれじゃ帰れるわけもありませんから、期待通りになったとさぞやご満悦なことでしょう。それどころか、線状降水帯の嵐が日本国内を吹き荒れ、もはや災害級、いや災害です。夫は言いました。「いじわるかもしれないが、これがオリンピックの最中に起こってくれてたらな」。神様はそこまでいじわるではなかったのかもしれません。しかし、今、日本に起きていることは、オリンピックがあろうがなかろうが現実なのです。日本だけではなく、地球温暖化によって全世界が気象の異変に苦しめられていることをもっと真剣に受け止めるべきですね。と言いながら、エアコンをつけっぱなしておくことが夏の生存には不可欠で、結局SDGSの主張ともまったく矛盾しているのですが。

さて、二十四節気によると、8月12日は「立秋」の次候、七十二候では「寒蝉鳴(かんせん なく)」となっています。寒蝉とは、蜩(ひぐらし)のことです。朝夕に甲高い声で鳴き、夏の終わりを告げる蜩。秋の気配を感じさせるといいますが、とてもそんな感じがしませんよね。まして、梅雨の終わりのようなこの大雨ですから、季節感は残念ながら完全に狂ってしまっています。それでも、「ああ、立秋なのか」と少し立ち止まれるだけ幸せなのかもしれません。

そして8月14日というと、お盆の中にあって、翌15日の終戦記念日の前日という、何かとても意味深い日であったりします。記念日としては15日ですけれど、ポツダム宣言受諾に関する勅旨を国民に宣布した文書「終戦の詔書」が交付されたのは、76年前の8月14日。国民は知らなかったけれど、本当の終戦は8月14日だったのですね。でも、そんなことも知らず、いつ終わるともしれない恐怖や飢えの中で人々は懸命に生活を営んでいたのです。明日のことはわからない。もしかしてみんな、コロナ禍の今と同じような思いを抱いていたのではないでしょうか。本当に大事なことは知らされぬまま…。

激烈な猛暑の中、アスリートも熱中症に苦しんだ東京オリンピック。終わってもなお、どこかの市長のメダルかじり事件など、どこまでもケチがついています。おまけにパラリンピックがどうなるのかさえもあやふやなままです。気象庁の記録によると、76年前の8月は冷夏だったとか。8月15日の正午、ラジオの玉音放送によって国民は日本の終戦、いや敗戦を知らされました。ドラマではもっぱら蝉しぐれの中で人々は汗を拭き拭きというような描かれ方をしますが、意外にも暑さはそれほどではなかったというのが本当のようです。軍国主義に別れを告げ、手のひらを返したように民主主義が謳われた夏でした。

さて、令和3年。この大雨の中、蜩たちはいったいどこで雨宿りしているのでしょう。今度太陽が再びギラギラと照りだしたら、思い出したようにちゃんと鳴いてくれるでしょうか。どうかそれまでは生き延びていてほしいと願わずにはいられません。

いつもご紹介しているRobinさんのピアノのための二十四節気ですが、「立秋」は2020年版にいたしました。強い雨音の中で繰り返し聴いています。


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