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自叙伝「#車いすの暴れん坊」#28 施設生活と自立生活、どっちがいいの?

今でも、収入がないから施設にいるという人が多い。しかし、その中には自分の身 の回りのことはほとんど自分でできるという人もいる。ただ、働く場がない。

そして、療護施設に入ると、利用者1人に付き毎月30万円から50万円が施設運営経費として、税金から施設側に支払われる。例えば、この利用者たちが一人暮らしをしたらどうだろう。

当然、年金だけでは8万円くらいしかないから、それでは生活ができない。生活保護をもらうと、7万円プラスされて15万円になる。15万円でアパートを借り、自分で生活をすれば最低限の生活はできる。

それに施設に入っていると最低でも30万円プラス年金が8万円、合計38万円かかっていたことが15万円で済むことになる。

こういう介助のいらない障害者が5人自立すれば、 24時間の介護が必要な人がひとり自立し、地域の中で暮らしていける。

施設の生活と生活保護での一人暮らしをするのと、どちが本人にとって幸せだろうか。中には施設できっちり生活を管理してもらった方がいいという人もいるだろう。

でも施設での共同生活は、食事をとる時間、食事のメニュー、お風呂に入る時間、寝る時間、すべてが管理されたものとなる。一人暮らしであれば、いつ食事をするか、いつ風呂に入るか、いつ寝るか、すべてが自由である。

仕事だってできるかも知れな い。作業所に行って月に1万円、2万円を稼ぐことだってできるだろう。親兄弟の反対は多いが、本当は施設にいるよりも、生活保護で自立生活を送った方が税金はかからないのだ。

しかし、こういうことを教えてくれる人は誰もいない。生活保護をもらうと言った途端に、
「そんな社会に迷惑をかけるようなことをして」
と、言われるが、施設での生活の方がよっぽど迷惑がかかっていることを知っている人は少ない。

なにより一番の問題は、どこで生活をするか、それを自分で選択できない、ということである。

だから俺たちが取り組んでいるピア・カウンセリングや自立生活プログラムでは、生活の場所や手段には、いろんな方法や選択肢があるということを教えている。

あるとき、呼吸器を着けた状態で一人暮らしをしたいという人に出会った。その人は、喀痰(かくたん)吸引が常に必要なため24時間の介護が必要で、行政との交渉を5年にわたり続けていた。

しかし、どうしても行政が、一人暮らしに必要な24時間の介護のOKを出してくれないという。そういうときに俺たちの団体と繋がりができた。

俺たちは行政との時間交渉に毎週一緒に通った。そして半年後、彼は24時間の介護時間を掴み、一人暮らしができるようになった。あれからもう9年くらい経つだろうか。彼は今も24時間の介護をつけて活き活きと一人暮らしを続けている。

*喀痰吸引:吸引装置を使用して痰を吸引、排痰を行うこと。

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ユニバーサル別府


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