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自叙伝「#車いすの暴れん坊」#40 電動車いす

愛車のことも話しておこう。愛車と言っても車のことではない。もちろん車も特別仕様のトヨタのハイエースはあるが、ここでの話は俺の車いすのことだ。俺の電動車いすの価格は200万円を超えている。

リクライニング機能、チルト機能、座席の上下などが付いている外国製の電動車いすだ。すべてのコントロールが手元のパネルやジョイステックでできるようになっている。

障害に加齢が加わり残存機能が徐々に奪われて行くと、一般の車いすでは具合が悪くなる。身体を無理に合わせようとすると、必ずどこかが悲鳴をあげ取り返しのつかない状況におちいってしまう。

最初は一般の 車いすで対応できていたが、電動アシストが付いた車いすになり、電動車いすへと変 わって行った。手と動力で漕いでいた状態から、すべてを動力にしてしまうわけだ。

使わない手の筋力低下も著しいが、そのことよりも電動車いすの速さがすごい。行動 範囲が格段と広がる。少々の距離であれば、タクシーやバスを使う人も電動車いすで 自走できる。別府という町は坂も多く、車いすで生活するのは結構大変だったりする。

日本人は一般的に電動車いすに乗ることは恥ずかしいと思っている人が多い。ところが、アメリカなどの外国ではどうだろう。例えば、杖で歩けるような人、両手がバリバリ使えて、車いすマラソンに出るような人でも電動車いすを使ったりする。

それは電動車いすの方が疲れずに移動できるからだ。そして、身体を鍛えるとき、スポーツをするときは普通の車いすに乗る。これがすごく合理的だと思う。

健常者でもそうではないだろうか。例えば、歩いて行くことができるとしたら、そこにもっと楽に移動できる自転車を使い、坂道でも楽に登れる電動アシストの自転車を使ったりする。

障害者も手動車いすだけでなく、電動車いすで楽に移動する方法があってもいいと思う。

ただ、電動車いすはとても高価だ。例えば日本製の一般の車いすでも40 ~50万円はする。

ではなぜ、外国でそういう電動車いすを使うことができるか。それは行政による補助があるからだ。外国、アメリカやヨーロッパの考え方は、とても理に適っている。例えば、車の改造にしても、日本であれば、手動装置と言って、手だけで運転できる車に改造するのに10数万円の助成しかない。

ところがアメリカなどは、例えば、200万円の車にジョイスティックで運転できるように、電動車いすが乗れる電動スロープを付ける。ジョイスティックで運転できる車の改造には800万かかる。

この 1000万円を助成してくれる。一般的に考えれば、そんなに税金を使ってもったいないと思うかも知れないが、公共のバスを考えてみてほしい。

新しくバスをつくるときには、ユニバーサルデザインにしなさいと言われ、低床式やワンステップバス、昇降機のついたリフトバスなどをつくっている。しかし、道路の改造ができていないから、運転手が配置できないと言って、いまだに使っていない車両が何台もある。その予算に毎年数千万円、たぶん全国でいえば何十億と使われずに眠っているに違いない。

そして実際は路線の時刻表にも載らず、リフトを使っていない車も相当あると聞く。そうであれば個人に助成して自分でできるようにした方がとてもいい制度になると思う。

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ユニバーサル別府


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