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自叙伝「#車いすの暴れん坊」#33 求められるユニバーサルデザイン住宅

うちの事務所と住居が入っているユニバーサルマンションは、俺が建設会社にプレゼンして造ってもらった。造りたいと思って10年かかった。

まだ、バリアフリーという言葉さえ社会に浸透していなかった頃だ。会う人毎に、ユニバーサルマンションの素晴らしさを伝え、これからの超高齢化社会では必要だと訴え続けた。

何度かいいところまで進むのだが、建築主と建築会社と俺の中で食い違いが出てくる。一度は図面までできて、建築主がゴーサインを出すだけという状態までいったのだが、周りの人に障害者を相手に金儲けをしていると思われることを恐れられ、実現できなかった。

ところがある日、紹介していただいた建設会社の社長と出会ったことで事態は急展開する。当時、駐車場として使っていた土地に、ユニバーサルマンションを造ってもいいという話になったのだ。

俺がコーディネートを引き受け、1階を屋根付き駐車場、2階を事務所、2階から5階を2DK6室、6階7階で1DK6室。エレベーターもストレッチャーの乗れるサイズで、車いすでも押しやすい位置にボタンがある。

入り口のドアはスライド式で電子錠付き、入口や室内はオールフラット。トイレと浴室も車いすで使える十分な広さ。台所の流しや洗面所も、車いすでも足の入る構造にした。

画期的だったこともあり、NHKをはじめ多くのテレビや新聞などのマスコミに取り上げられた。

しかし、就労している障害者でないとなかなかユニバーサルマンションの家賃を払うのは難しい。どうしても一般のマンションよりも造るコストが高くなるため、家賃も高くなる。

そこで考えたのがユニバーサルデザインのシェアハウス、お風呂と台所など共有スペースをシェアすることで家賃を下げることだ。各個人の部屋はひとつずつあって、そこにトイレと洗面所と生活できる部屋をつくる。台所、応接間などはシェアする。お風呂もシェアする。

例えば、コストを下げようと思えば、二階建てのアパート形式にして、1階を障害者、2階を学生などの健常者が入れるようにするという方法もあるだろう。

こうすることで家賃を抑え、また、施設や親元から出たばかりのまだ完全に一人暮らしをする自信がない障害者が、そこで生活し、何年か経過してから一人暮らしのアパートを借りるということも可能になると思う。

こういったユニバーサルマンション、これはどんどん造っていってほしいと思う。ユニバーサルアパートでもいい。なぜなら、超高齢化社会を目前に控えた今、そうい う住宅がどんどん求められているからだ。

しかし、県営住宅にしても市営住宅にして も、1階の一部だけがそういう住宅になっているものばかりで、全体がユニバーサル デザインになっているところはほとんどない。

以前、団地と呼ばれるエレベーターの ない4階建ての建物がいくつも造られたが、今どういう状況だろう。ほとんどがゴー ストタウン化している。それは若いときはよくても、高齢者になって足腰が弱くなり、杖をつく、さらには車いすになったりすれば、2階から上の部屋には住めなくなるか らだ。1階でも階段があればもう住めない。そういう団地はまだ多い。

今、建設されているマンションにしても、先々トイレを広げることもできなければ、風呂を広げることもできない。若いときに買ったマンションが60歳、70歳になっても使えるだろうか。

もし使えなくなると考えた場合、そのマンションは改造すれば車いすでも使えるようになるだろうか。迫りくる高齢化の現実は、やがてそのときが来るまでは皆、他人事なのかも知れない。

したがって、そこまで考えてマンションを購入している人はそんなにはいないだろう。しかし、医療の進歩と共に寿命も延び、そして、最低5か月から長ければ10年、寝たきりになる可能性があるという。

さらに、寝たきりになる前は、当然、車いすを使う場面もあるわけだ。若いとき、マンションを買うときから老後のことを考えて、しっかりとしたユニバーサルマンションを買うべきなのだ。

これからは賃貸、分譲、それぞれにユニバーサルデザインを考慮したものを建てていかなければ、老後の預貯金や僅かばかりの年金では乗り越えられない大きな出費が待っている。

生涯住宅というのが一時期流行った。生涯住める家だ。なにも難しいことはなく、初めからユニバーサルデザインで造っておけばよいことだ。家の前に階段など付けず、フラットで通すか、スロープを付ける。

お風呂やトイレのスペースを広く確保してお き、入口はスライドドア。引き戸でも今は自動ドアや軽く使えるものも出ている。そ して通路を広くとる。要はこれだけでユニバーサルデザインの生涯住宅ができあがる わけだ。

ただ、どうしても日本は土地が狭い。価格も高い。トイレや風呂にそういう大きなスペースを取りたくないという人もいる。そういう人は、狭く造っておいて、いざとなったら壁がぶち抜ける構造にしておくべきだ。

普通のトイレの広さで、隣を物置きかなにかにしておいて、必要になったときにその壁を取り外して広くすればいいわけだ。お風呂はそういうわけにはいかないだろうが、広い風呂というのは家族と一緒に入れたり、とても気持ちいいものだ。このぐらいは狭いお風呂ではなく、少し贅沢してもいいのではないだろうか。

大手住宅メーカーと共同で、こういう住宅を作ってみたい。

もちろんユニバーサルマンションやシェアハウスも一緒だ。建設するノウハウは住宅メーカーが持っているであろうから、俺や自立支援センターおおいたは、どういう構造にすれば高齢者や障害者が使いやすいか、その部分を設計士と一緒に考えてコーディネートしていくわけだ、

若干コーディネート料が高くなったとしても、それは将来のことを考えればずっと得なのである。

今はまだ障害者だから、高齢者だから、なにかあると危ないからと、アパートを貸さない、マンションを貸さないという人も多いかも知れない。

だが、これだけ高齢者が多くなるとそういうことを言っていては、賃貸業はままならないだろう。

であれば、安全に使えるユニバーサルアパートやユニバーサルマンションを作って、他の住宅メーカーより一歩先に出ることが必要だと考える。

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ユニバーサル別府


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