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監査法人の就活で考えたこと、その答え合わせ

はじめに
今回は「監査法人の就活で考えていたこととその答え合わせ」という内容で記載していきます。8月論文受験後という時期を踏まえたテーマになります。なお、おぼろげな記憶とわずかなメモを頼りに記載しているという点と、あくまで一個人の考えであることを念頭にお読みいただければと思います。

簡単な自己紹介
・会計士(公開時点準会員)
・監査法人:約3年勤務。
・FAS:監査法人→FAS

構成は下記になります。大枠から徐々に絞るという構成にしています。



1. なぜ就職するのか

(当初の思い)
会計士試験合格後は、例えば留学をしたり大学院に進学したりなどの選択も取りうる中でなぜ就職するのかを考えていました。正直に言えば「勉強はしばらくいいや、さっさと働きたい!」という思いでしたが、あえて理由をつけるのであれば、働くことで新たな考えや視点を得たいというものだと思います。

(答え合わせ)
この考えは正しかったと思います。それまで社会人として働いたことのなかった自分は「定時関係なくばりばり働くぞー」と意気込んでいましたが、実際に働いてみると「ああ、労働はやりすぎると体に悪いな」と考えを改めました。このように人生の中で大きな割合を占める労働に対する考えを持つことができたのはいいことだったと思います(ただその考えを持つのはいつでもできるので、留学してもよかったとは思いますが)。


2. なぜ監査法人か

(当初の思い)
会計士試験合格者が就職する先としては監査法人が代表格ですが、その選択肢はいろいろあると思います。会計士試験合格者の定期採用を実施している税理士法人やFAS、また通常の就活を行えば選択肢は無限に広がります。

当時私は「果たして監査法人に入社するべきだろうか」と考えていました。そこで定期採用を実施しているFASや、コンサルティング会社の話を聞きに行ったり、通常の就活合同説明会にも参加したりしました。

そこで感じたのは「世の中には優秀(そう)な人がいっぱいいるな」という思いと、「会計士試験に合格しただけでは駆逐されて終わりそうだな」という思いでした。

また、そもそもなぜ会計士試験を受験しようと考えたのかと初心に帰って考えてみると、「将来食いっぱぐれないようになりたい」という思いからでしたので、会計士の独占業務である監査業務を経験することが食いっぱぐれないことにつながるのではないかと考えました。

以上2点から、FASやコンサルティング会社ではなく、監査法人への入社を選択しました。


(答え合わせ)
最近FASに入社してみて、その考えは正しかったのではないかと思っています。FASのスピード感の中で社会人人生を始めていたら、ついていけずに脱落していたと思います。監査法人に入社して、社会人としての基礎を身に着けたり、様々な会社の資料を業務の過程で拝見できたことが、なんとかFAS業務でのベースとなり干されずに過ごせている最大の要因だと思います。

(もちろん新卒でFASに入社するという判断も尊重されるものだと思います。ただ、少なくとも私の能力ではファーストキャリアとして監査法人を選択してよかったということです)

「食いっぱぐれない」についてはわかりません。30年後に振り返ります。


3. なぜBig4か

私は結果としてBig4に就職しましたが、そこまで大きなこだわりはありませんでした。そもそもの会計士取得の理由は監査をやりたいというものではなく、(失礼ながら)3-5年程度監査法人に勤務した後に次の環境へ進むだろうと想像していたので、その限られた時間でなるべく多くのものを学ぶことのできる環境へと進みたいと考えていました。

その前提において、Big4と中小監査法人の相違点の中で(私にとって)重要な点は2点だと認識していました。

① 監査以外の業務を経験できること
② 昇進スピード(職階というより、インチャージを経験させてもらえるまでの年数)


①「監査以外の業務」
(当初の思い)
 Big4では基本的に監査業務に集中して取り組むことができ、(ネクストキャリア等を踏まえつつ、)グループ単位で考えれば幅広い業務を経験できる機会がある一方、中小監査法人では(法人にもよるが)監査業務以外にも並行してアドバイザリー業務を行うことができるという特徴があると認識していました。

どちらを選択するかは好みの問題だと考え、私はなるべく一つに集中したいタイプの人間でしたので、Big4で一定期間監査業務に集中する方が適していると考えました。

(答え合わせ)
(中小監査法人は分かりませんが、少なくともBig4については)認識はある程度正しかったと思います。

ただBig4であっても閑散期にアドバイザリー業務を行うことは不可能ではなく、交渉次第でアドバイザリー業務も並行して経験できる可能性がありそうです。

「私はなるべく一つに集中したいタイプの人間でした」の部分については、監査業務以外の業務を並行して実施したほうが、監査業務とアドバイザリー業務の相互作用を働かせて、より良いサービスを提供できたかもしれないと認識を改めました。

監査業務だけをやっていると意識が向きづらい点が、アドバイザリー業務を並行して行うことで意識も変わり、より多くのものを吸収できたかもしれないと考えているためです。

様々な会社の素晴らしい資料や内部統制に触れることのできる監査業務を生かし切れていなかったな…とFASに転職して反省しています(まあ当時は目の前の監査業務に一杯一杯だったのでしょうがないと思いますが)。


②「インチャージを経験する年数」
(当初の想定)
Big4では法人・事業部にもよるものの3-4年、中小監査法人では(法人にもよるが)3年程度と認識していました。

既述のとおり、「限られた時間でなるべく多くのものを学ぶことのできる環境へと進みたい」との思いからは中小監査法人の方が適していると考えていました。

ただ一方で上記の年数は標準的な年数であり、詳しく話を聞いてみると法人や事業部によってはBig4であっても2-3年目でインチャージを経験している方がいらっしゃることが分かり、機会としては0ではないと判断しました。

そのうえで標準的に早めに任せてもらえる中小監査法人と、結果を出せば早めにインチャージを経験できるBig4とでは、どちらの方が頑張れるかと考えた結果、Big4の方が自らを追い込んで頑張れるのではないかと考え、Big4を選択しました。


(答え合わせ)
入社して2年目でインチャージを任せてもらえたので結果としてはうまくいきました。

ただ、私の場合
1.たまたま前任のインチャージが会社を外れたがっていたこと
2.マネージャーが私の働きぶりをたまたま見てくださっており、たまたまそのマネージャーが2年目の私をインチャージにねじ込める発言力があったこと
3.監査クライアントがたまたま難易度の高くないクライアントだったこと

という運があってのことでしたので、本当に運がよかったなという点と、再現性はあまりないという点だけ強調しておきたいと思います。


4.なぜその監査法人か

前提としてBig4であれば正直どこに行っても大きな差はないと思っています。ただその中でもどのように考えて最終的に一つの法人を選んだのかという点は意思決定上でも面接でも重要な点だと考え下記3点の理由から一つの監査法人を選択するに至りました。


1.組織文化として自分がのびのびと働けるところ
(当初の思い)
組織文化を重視したのは、業務以外の部分で無駄な精神的コストを払わない環境の方がより一層、成長が早いと考えたためです。(あとは単純に楽。)

私が組織文化の面で前職の監査法人がいいなと思った決め手は、スタッフ一人一人がそれぞれ違う考えを持っており、パートナーの考えを聞いた後でも「私の考えは違って~」と会話が進んでいるところを見たことでした。

まず一人一人がそれぞれの考えを持っている点と、パートナーにもその考えをあっさり伝えている組織風土が魅力的に映りました。

(答え合わせ)
概ね想定通りでした。ただ業務の話でパートナーと対等に考えをぶつけ合えるのは相当後かなという程度です(あたりまえ)。


2.IPO業務に携われること
(当初の思い)

 監査法人ではなにか「これ」という属性や武器を身につけたいと考えていました。例えばIPO、会計アドバイザリー、IFRS、USGAAP、などでしょうか。その中で自身の性格や志向を踏まえると、IPOという軸が最も適していると判断して最終的には就活の軸に据えていました。

なので、IPOを経験できる事業部を選択し、直近のIPO件数を調べ、潜在的な件数と関与できる可能性についてパートナーや各リクルーターに聞いたうえで選択肢を絞っていきました。

(答え合わせ)
結果としてIPO業務に関与することができ、年間の約半分はIPO関係に時間を使っていたと思います。

ただ、「IPO監査って思ったより普通の監査の範疇だな」というのは入社前後の期待ギャップだったと思います。入社前に担当リクルーターの方から「IPOっていっても監査だからそんなに変わらないよ」と言われており、ある程度精神的な準備が済んでいてよかったです(なお、理由を深く記載すると本筋からずれてしまうので言及はしませんが、クライアントへの関与程度が通常の監査とは全く違うという点でIPOを経験出来てよかったです。)


3.非監査業務比率、グローバルでの存在感、出向先の選択肢
 一旦、国内の監査業務に集中することを想定していたため、私は重視していませんでしたが、将来の異動も含めて想定すると非監査業務の強いグループや海外での存在感が強いグループ、出向先の選択肢を含めて選択するのもありだと思います。

 ただ、非監査業務比率についてはそこまで気にする必要はないかもしれません。周りの話を聞いていると、Big4監査法人から他のBig4への転職はカジュアルに行われているので、転職を含めた選択であれば、意思決定に影響はないと思われます。


おわりに

 本noteは整理・読みやすさのため、意思決定の流れ(就職するか→業界は?→Big4?中小?→どの法人?)に従って記載しましたが、当時はそれぞれがごちゃごちゃと頭の中で巡っていたというのが実際のところです。

 当時はいろいろと迷っていましたが、このように整理してみると悩むポイントは「IPO」の部分くらいな気がしてきました。将来のことはずっと悩み続けているので、将来的な自分の意思決定にも役立つかもしれません。

 最後に就活生の皆さんに向けてですが、コロナ禍における就活となると特に雰囲気が分からず、いろいろと難易度の上がる就活になるとは思います。ただそれでも限られた情報の中で意思決定を下さなければならないので、なるべく後悔のないよう頑張ってほしいと思います。本noteが少しでもその一助となれば幸いです。

 私が思う監査法人のメリットについては下記にまとめていますので、何かの参考にしていただければと思います。


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