10年後の未来
2021年現在、私は「デジタルシフト」とか「DX」というテーマで仕事をさせてもらっていますが、10年後の未来についてふと想像してみると、どちらの言葉も綺麗に消滅しているんだろうなと思います。
10年後、私は52歳。
子供は13歳になるのかぁ。。。
10年後はどんな世の中になっているだろうか?
↑
なんとなく頭の中に浮かんだキーワードを書き出してみました。
もう「デジタルが当たり前」になっているはずです。
欧米はかなり先に進んでいるので、既にこの世界観は実現しつつあると思います。5年後くらいにはこうなっているかもしれません。
それと比べると日本は10年後に本当にこうなっているか?はまだ微妙かもしれません。
それくらい日本人の(特に大企業の)思考や行動はまだまだDXしていないと、日々の仕事を通じて痛感しています。
日頃から大変尊敬している立教大学ビジネススクールの田中道昭先生が2021年6月に刊行された最新刊「世界最先端8社の大戦略」を拝読すると、改めてまざまざと世界と日本のギャップを感じます。
この本の中で紹介されている8社が見据えている未来、ありたい姿はより本質的で、そのミッションやビジョンを実現するためのデジタル活用がなされている。
①ウォルマート
顧客のショッピング体験を簡単でシームレスなものに変える。
→そのために非デジタルネイティブだった企業をトップ自らが文化ごと刷新。社名も「ウォルマートストア」から「ウォルマート」へ。※「店舗」主体のビジネスからの脱却を表明。
つまり「顧客体験を最大化するためのDX」を実現している。
②テスラ
「このままでは人類が滅びる」「人類を救済する」という強烈な使命感
→テスラは車の会社ではない。クリーンエネルギーを「創る、蓄える、使う」の三位一体事業こそが、テスラの実態。
つまり、「地球を救うためのDX」を実現している。
③アップル
「2030年までにカーボンニュートラル達成」を標榜し、「低炭素の製品デザイン」「エネルギー効率の拡大」「再生可能エネルギー」「工程と材料のイノベーション」「CO2の除去」の5つを掲げている。
→iPhoneでOS、アプリ、サービスといったエコシステム全体の覇権を握ったように、次世代自動車産業においてもプラットフォームであり、エコシステム全体の覇権を握ろうとしている。
つまり、「より高いレベルでの顧客の自己実現や利便性を追求しながらも世界や社会のより大きな課題も解決するためのDX」を実現している。
④セールスフォース
カスタマーサクセスをミッション・事業構造・収益構造のすべてに織り込み、BtoBである顧客のより大きい成果にコミットする。
→「イノベーションを起こすのは、いつもトレイルブレイザー(開拓者)である」と言う創業者のマーク・べニオフのもと、カスタマーサクセスが組織全体で推進されている。
つまり、「顧客の成功のためのDX」を実現している。
⑤マイクロソフト
「クラウドファースト」でリアルとバーチャルを融合。離れた場所の人々がストレスなしに、コミュニケーションできるようにする。
→より高度なMR(Mixed Reality・複合現実)技術によって、アンビエントコンピューティングの世界を実現する。
つまり、「人々がより良い暮らし・次の時代のテクノロジーと人間社会が融合した暮らしを実現するためのDX」を実現している。
⑥ペロトン
ソフトとハード両面において優れたUXを提供し、完璧を追求する(Pursuit for Perfection)
→フィットネスバイクというハードに音楽やメディア、コミュニティなどのソフトウェアを組み合わせて新たな顧客体験を提供する。
つまり、「withコロナ時代の新しい熱狂を提供するためのDX」を実現している。
⑦DBS銀行
DBS銀行では、「徹底した顧客中心主義」「データ・ドリブン」「リスクを取って実験に挑む」「アジャイル型」「学ぶ組織になる」と言う目標を掲げています。
→「もし、ジェフ・ベゾスが銀行をやるなら、何をする?」という大胆な問いのもとに自らを破壊し、デジタルバンクへと生まれ変わったDBS銀行。彼らがベンチマークしたのは競合する金融機関ではなく、アマゾンをはじめとする数々のテクノロジー企業だった。
つまり、「次世代の金融サービスとして顧客が本当に求めているものを追求するためのDX」を実現している。
⑧アマゾン
顧客の声に耳を傾け、それを実現するサービスを生み出すこと。また、画一的なサービスをよしとせず、顧客1人ひとりを誰よりも尊重して徹底的にパーソナライズされたサービスを提供すること。それがアマゾンにとっての顧客中心主義です。
→アマゾンの次なる打ち手は「製造業のDX」です。AWSの技術をベースに超格安のIoT製品群である「アマゾン・モニトロン」をリリース。日本のお家芸とされてきた製造領域に、全く違う戦い方で(≒プラットフォーマーとして)参入し始めている。
つまり、「あらゆる産業の顧客を宇宙の中心に据えたDX」を実現している。
一方の日本では、
・コロナ禍で売り上げが落ちたから慌てて「DXだ!」と言い出す。
・政府が「カーボンニュートラル」を宣言したから「DXだ!」と言い出す。
・GAFAに侵食され始めたから「DXだ!」と言い出す。
・「DX」と言っておかないと時流に乗れないから「DXだ!」と言い出す。
DXの取組みに対するホンネはこのような話が非常に多い!
全ての企業がそうではないと思いたいですが、歴史・外部環境・内部事情など色々な絡みがありますが、世界と日本のギャップを痛感します。
時代はデジタル×グリーン×エクイティへ
世界は待ってくれません。
日本がもたついている間に時代はデジタルだけではなく、その先にあるグリーン(環境対策)とエクイティ(多様性)との掛け合わせが企業に求められるようになっていきます。
その企業の、そしてあなた自身の(私自身の)存在意義の本質が問われる時代です。
後手後手に回る日本。
日本らしさとDXを掛け合わせて、どう世界でのプレゼンスを出していけるか?
日本企業の、日本の打開策は?
そのヒントが本書の巻末に「日本企業のための大胆なデジタルシフト戦略策定ワークショップ」として綴られています。
この中に登場するいくつかのフレームワークである「理想の世界観実現」ワークシートや「カスタマージャーニー×デジタルシフト」ワークシートなどは非常に有意義であり、私自身もこれらのワークを何度も何度も繰り返すことで、少しずつ事業の本質が磨かれていきます。
また、より具体的なデジタシフト戦略策定「12のポイント」も挙げられており、常にこれらに自社や自身の戦略を当てはめ、振り返り、反芻し、自問自答することが重要です。
改めて、自分の身の周りに起きるかもしれない10年後の未来を考える時、
世界最先端企業の動向と、
世界の潮流と、
日本とのギャップと、
これからの日本の打開策と、
自社と自分自身の本質的な存在意義とを、
同時に意識し続けることがまず大切で、
そのうえで、自分自身の内側から生まれる「ありたい姿」を常に想像し、
その解像度を上げていきたいと思います。
とにかく変化が激しい、エキサイティングな時代。
周りの環境を嘆くのではなく、
変化を恐れて挑戦しないのでもなく、
正解を求めて慎重になり過ぎるのでもなく、
常に思考し、変化し続け、何よりも楽しむ。
そして10年後の未来が今より圧倒的に素晴らしい世界になっているように、日々自分ができることをやっていきたいと思います。
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