
Y:92 「うーん」の新しさ:過程と曖昧な態度(判断留保)の表明
2023.12.9
ついついYahoo!ニュースを目的もなく見てしまうことがあるのだけど、それはニュースそのものというより、そこに寄せられるコメントだったり、リアクションを見るのが、面白かったりするからだ。みんな(全然、みんなじゃないだろうが)、こういうふうに考えているのかと。
そのリアクションボタンのデザインが最近変わった。タイトル画像のように。関連する記事はこちら↓
これまでの親指で表現した「👍そう思う・👎そう思わない」から“表情と言語”で表現した「共感した・なるほど・うーん」に変わった。
意図としては
親指で表現した2種類の「そう思う・そう思わない」のボタンは、賛否を問う形式のためユーザーの感情が二極化され極端に捉えられてしまうという課題があったということだ。
Yahoo!ニュースに限らず、SNS上のリアクションボタンは、この10年くらいでいろいろ変更されてきた記憶がある。以前がどうだったか、既に忘れてしまったが、扇状的にならないように、特にネガティブな態度の表明をコントロールするような傾向にあるのかと思う。
私は基本的には、この方向性に賛成ではあるのだけど、例えばYoutubeを見る時に、👎の数が表示されないのが、不便に感じる時がある。特に自分がよく知らないことについて、情報を見る時に、その信憑性を👍と👎の数を参考に判断の材料にすることがあったからだ。
さて、話は戻って、新しいリアクションボタンについてだけど、これはすごく新しいなと思った。私が注目したのは「🤔うーん」の存在だ。
記事には「共感した」「なるほど」についてはその意図が書かれている。
賛否を問う形式よりも「共感」や「学び」を表現するボタンが支持されたという。また、「共感」や「学び」の要素を取り入れることでコメント欄がより「多様な意見が受け入れられる場である」と評価されることもわかった
つまり「共感」は「共感した」で「学び」は「なるほど」だと思う。他の記事も探してみたのだけど「うーん」の意図について言及されていたものが見当たらなかった。
私が「うーん」に注目したのは、他のリアクションと比べかなり性質が違うと思えたからだ。
それは、「うーん」の持つ時間軸と曖昧さ(留保の表明)だ。
まず、時間軸。自分が使っているSNSにあるリアクションボタンを見てみるといいね、スキ、大切だね、ウケるね、すごいね、悲しいね、ひどいねなどがある。
これらはポジティブ・ネガティブの違いはあれど、総じて受け手の反応(リアクション)の“結果”を表している。当然と言えば当然なのだけど「私はこう感じました」の表明が、リアクションということだ。
その観点から考えると「うーん」というのは、絵文字からもわかるように、結果と言い切れない、考え中的な要素も含んでいて、むしろ反応の”過程”を表している。こういうリアクションは今までなかったんじゃないかと思う。
次に、曖昧さ。従来、リアクションボタンを押すことは、強制的に意見や態度の固定化を要求されていた。それは、0か1かみたいなことであったり、二極化につながる要因とも言える。
Yahoo!ニュースにコメントしないサイレント・マジョリティと言われる人たちの一部は、「そう思う・そう思わない」というような即座の固定的な意見表明に違和感がある人たちじゃないかと思う。
実際、私たちは生活していて即座に意見・態度を表明できないことも多い。
“あの服、素敵だから買いたいんだけど、ちょっと値段が高いからね〜、どうしようかな〜”みたいなことがあると思う。
それを誰かに「買うの、買わないのどっちなの?」と聞かれたら、その間を行ったり来たりしている「うーん🤔」なのだと思う。
「🤔うーん」ボタンの画期的なのは、
・反応の結果ではなく過程を表現できる
・0か1のどちらでもない0.1~0.9(この間を動いている)を表現できる
ことなんじゃないかと考えた。
つまり、「一言では表せないよね」「単純じゃないよね」「どっちもあるよね」と思っている、をリアクションとして表現できる。
これまでのリアクションとはずいぶん異なる“曖昧な態度(判断の留保)”の表明が可能になることだと思う。
と、「うーん」について書いてきましたが、この記事については「共感した」「なるほど」の方がうれしかったりする(笑)
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