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Y:56 好きな人から学べる世界

Zoomを使うようになってしばらく経った。慣れてくると、いろいろ試してみたくなるもので、自分の顔にいろいろなフィルターをかけて変えられるというのを試した。

上の記事にもあるのだけど、性別が変わるフィルターというのがある。男性が使うと顔が女性に変わるというものだ。早速、好奇心で試してみたのだけど、これがとてもよくできている。

男性がいかにも女装しましたという感じではなく、どこかにいそうな自分っぽい女性が画面に映っていた(笑)おそらく、髪が長くなり、メイクが施され、肌はきれいめに修正され、ひげなどを取り除いていると思うのだが、どことなくオリジナルの顔の面影を残しながら、見事に女性になっている。

知っている人に見てもらうと、「かわいい」「きれい」と評判がいい。実生活で「かっこいい」「素敵な顔立ち」等を言われない私としては自己肯定感がアガル、アガル⤴、顔を褒められると、なんともうれしい気分になった(笑) 

誰に頼まれたわけでもなく、小首をかしげて女性っぽいしぐさを探してみたり、"これ、初見の人なら声さえ発しなければ、女性で通せるかもな”とわけのわからない用途に思いをはせてしまったり。ちなみに髪をなびかせようと顔を左右に振ってしまうとフィルターのトラッキングがはずれ、急に素の男が出てきてしまうので要注意。

ひとしきり、女性になり、ふとこんな考えが頭をもたげた。
"これで、授業をしたら学生が喜ぶのではないか?”
というのも以前、授業でVRのことについて話をした時のことを思い出した。

この時は、こういったVRの使い方の是非について考えてもらった。多くの学生が否定的な印象だったので、カウンターとして、「もし、ワンピースのナミが教えてくれたらうれしいでしょ?」「もっと、勉強したくなりますよ」と言ったら、学生たちは大笑いして、「確かに」という反応をした。それもあって、遠隔授業で私が例のフィルターを使って出たらどうだろうというのを思いついた。

おそらく、ぎりぎりアウトになると思う(笑)
こちらでは現実場面で、異性の教員が教えることは少ないのでいかにVirtualといえども、教員が女性として表れたら不快に思う人もいるだろう。だからダメだ。

そこから、さらに想像を進めて、こんなことを思った。
将来的には教員(送り手)の方で容姿を変えるのではなく、学生(受け手)が好きなように教員の見え方を変えてしまえばいいじゃないかと。

そうすれば、学生は意欲的にPCやスマホのスクリーン(将来的にはVR)に向かい合えるのでは。そうはいっても、中身が変わるわけではないので、性格は元の先生のままだけど、好きな人に「宿題忘れないでね」と言われるのと、いつもの人に「宿題忘れないでね」と言われるのでは、前者の方がポジティブな影響を与えそうだ。

と、ここまで書いて、読んで、そういうのってどうなの?ありなの?って違和感を持つ人も多い気がする。私自身、学習者が意欲的に学習に取り組めるのなら、好きなようにすればよいと思うと同時に、言語化できないのだけど、何かやってはいけないようなことのようにも感じる。

その何かを一部、言語化してくれているのは深津さんの記事だと思う。

引用すると

あなたは嫌いな上司がいる。あなたは嫌いな上司の外見を、ARで「たぬきの置物」として上書きすることができる。自分だけこっそり見ているので、誰にもバレない。ささやかなストレス解消法である。

これは、ぎりぎりOKかもしれないと。ただ、話がもっと進んで、次の例は許容できるのかと問題提起している。

もし誰かが、自分の視覚において社員全員をARで美少女に置き換えたら…それは、なにかの自由や権利を侵害するのだろうか? もっと推し進めて、首から下をヌードデータと差し替えたら? それは規制の対象となるのだろうか。
直感的には、非常に倫理的に問題があるように思える。だが現代の世界観では、これもパーソナルな視界である限り、思想・内心の自由の一種として保証されてしまうように思える。

教育現場に限って言えば、この辺りは技術的にコントロールはかけることは可能な気もするけど、私が意図しない(望まない)姿で授業をしているのを学生が見ているとしたら、気持ち悪さがありそうだ。

一方で、なかなか面白そうでもある。ビデオゲームのように徐々に使えるキャラクターが増える(unlock)ように、先生の見え方フィルターが、授業への参加度に応じて増えるような仕組みがあったら、学生はもっと授業を楽しめるかもしれない。

教師としては、授業内容そのもので学生をひきつけることは必要だとは思うが、技術的(外部的)にひきつけられるなら、それも積極的に使うのはよいのではないかと最近は思うようになった。

自分が学生だったら、先生をどんなふうに変えちゃいますか?

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駄々こね太/ Essayist
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