「ぷよぷよ」の主人公が女の子だったわけ
コンパイルの社長だった仁井谷さんの記事を読んだ。
「ぷよぷよ」の生みの親は誰なのか、については、「ぷよぷよの生みの親は誰だ」という詳細なテキストを書いたのでそちらを参考にしてほしい。
今回は、それ以外の部分で、一箇所だけツッコミたいところがあったので、突っ込んでおく。とはいえ、これは、基本的に米光一成の視点からのツッコミで、どちらが正しいどちらが間違っているということではない。
開発現場で企画監督をやっていた米光一成と、会社の社長でプロデュースをしていた仁井谷正充とでは、違う視点から観ているということでしかない。
なのだが、
って言われると、えええーって驚きはする。
主人公が女の子なのは「ギャルが好きだからギャルを出したい」ではない。っていうか「ギャル」って。
このへん仁井谷さんは基本的にフェアで、自分が考えたとか自分が作ったとは言わない。ちゃんと「ああいう世界観というのを許容したのが自分だ」と正確に語る。
あの世界観は、米光や、開発のメンバーで作り出した。社長はちゃんと許容してくれた。
この「作り手であるゲームオタクの男の子、女の子たちは」っていうのが、米光であったり、開発メンバーのことなんだろうけど、まあ、外側からは、そう見えたんだろうなーと微笑ましく受け止めよう。だが、少なくとも、米光や「ぷよぷよ」の開発メンバーは、そういう単純な好みで設定を決めていない。
「ぷよぷよ」のキャラクターは、その前に作った「魔導物語」というRPGのキャラクターを使っている。「ぷよぷよ」の主人公の女の子「アルル・ナジャ」も、「魔導物語」の主人公だ。
「魔導物語」は、当時のRPGのアンチテーゼとして作った作品だ。当時のRPGは、マップの大きさや、モンスターの数を競っていた。「モンスター120体以上!」とか「ダンジョン70フロアー以上」とか数が多いことをウリ文句にしていて、それのアンチテーゼだったので、マップが狭いとか、モンスターが少ないとか、そういったことを自慢した。でも、小さいけれど美しい結晶みたいなキレイでこだわりのあるRPGを作ろうというのがコンセプトだった。(その反動で、三部作にまとめた「魔導物語1-2-3」を出すときのキャッチコピーは「人類はこのゲームを遊ぶために38億年かけて進化してきた」と大仰にした)
主人公も、当時のRPGが「勇者」であり「男の子」であり、目的が「世界を救う」っていうものばかりだったことのアンチテーゼとして、主人公は「女の子」であり「魔導師の卵」で、「世界を救う」なんてことは微塵も考えてなくて、迷子になったり、しもやけ薬を探したり、日常的な冒険をするという作品にしたのだ。
というわけなので、
ではないんだよーー!
以下、2009.07.23 に書いた「『魔導物語』20周年記念メモ」のちょっと改稿版。(2023/08/28追記)
ここから先は
¥ 100
サポートいただいたら、記事に還元できることに使います。表現道場マガジンをよろしく! また、記事単体で購入できますが、月額800円「表現道場マガジン」がお得です。