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浜田省吾さん『花火』の歌詞について考えてみました(歌詞意味解釈)

こんにちは。先日、浜田省吾さんの『花火』という曲を聴きました。アルバム『MY FIRST LOVE』(2005年発売)に入っている曲です。

すごく切なくて、とても好きな曲です。

この曲は歌詞が意味深で、ネットでも様々な解釈があります。
歌詞はコチラ

「不倫の曲」や「ある日、突然家族を捨てて蒸発した男性の曲」というご意見が結構あります。私は少し違うように解釈しました。

結論からいうと「交通事故で亡くなった旦那さんが家族のことを想う歌詞」だと思います。そう思った理由を書いてみますね。

アクセルを踏み込んだ意味は?

あの日 すぐに帰るつもりで車を車庫から出して アクセルを踏み込んだ

曲の1番と2番で、同じ歌詞が繰り返されています。
他の女性との顛末があるなら、2番はもう少し進んだ描写があるはずですし、「アクセルを踏み込んだ」で終わらないはずです。

しかし、まったく同じ歌詞が繰り返され、その後の描写もないことから、旦那さんの時間は「アクセルを踏み込んだ時点」で止まってしまっているのではないでしょうか。

「稼ぎはすべて送った」が過去形の理由

そして、2番の冒頭に次のような描写があります。

暮らしには困らぬように稼ぎはすべて送った

ここは「別れた妻に毎月の給料を送っている」とも読めますが、それだと不思議な点があります。
まず、「稼ぎはすべて送った」とあります。「送っている」ではなく「送った」と過去形になっているので、お金を送ったのは最初の一回のみです。

育ち盛りの子どもが二人いる家族で「暮らしには困らない額」ということは、少なくとも何千万円単位です。
つまり、これは「本来稼いでいただろうであろうお金(生命保険)」なのだと思います。

「オレの物語」の意味

次に、以下の歌詞があります。

これがオレの物語

ここで「オレの物語」という表現が出てきます。「物語」は現在進行形で使うことは少なく、すでに「完結したもの」を扱います。
旦那さんはすでに「幽霊」となって、自分の人生を物語として語っているのでしょう。

「君の心 失っても」に秘められた切ない感情

そして、以下の歌詞が続きます。

君の心 失っても 隠せない

「君の心 失っても」というのは、旦那さん視点だと思います。
幽霊として地上にいられる時間が限られており、いずれ「心(家族との思い出)」も消えてしまう。

「隠せない」は、運命に対する悔しさを表しているのではないでしょうか。
自分は消えてしまっても、「家族の絆は残っているので(運命が邪魔をしようとも)隠せない」のです。

追記(2019年5月15日):
改めて聴いた所、「君の心 失っても 隠せない」は、「現世にいる奥さんが他の男性と付き合うかもしれない可能性」=「自分への気持ちが消えてしまうかもしれない。それでも気持ちを隠せずに伝えておきたいこと」を示唆しているのではないかと考えました。

大サビの解釈

そして、最後の大サビにつながります。

二人 河のほとりを歩く 人波に押されて
はぐれないように強く指と指からませて
見上げれば 涙で滲んだ夏の夜空に花火
夏の夜空に花火

「花火」は、「お盆の時期」に行われるものであり、「儚さ」の象徴でもあります。旦那さんは、お盆の花火大会の時期にだけ奥さんに会いに来れるのでしょう。そして、奥さんも毎年(旦那さんとの思い出であった)花火大会に来ています。

※補足…夏の風物詩・花火は、そもそもは送り盆の時期に、魂の鎮魂のために打ち上げられたものだといわれています

「はぐれないように」は、永遠の別れを惜しむ気持ちだと思います。でも、実際には触れ合うことができない。その無念さや悔しさが涙になるのだと解釈しました。

皆さんはどんな風に思いますか?
宜しければ、ぜひ皆さんの解釈も教えてくださいね!

歌詞引用部分は、『MY FIRST LOVE』収録曲『花火』(作詞作曲:浜田省吾、SME Records、2005年)より引用

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