〇 クロスカントリー:ソアリング2
皆様、お疲れ様です。
パラグライダーが趣味のよねけんです。
これからクロスカントリーフライトについて自分の考えを書いていきます。
今回はソアリング2の「低高度からの復活」です。
前回から読む クロスカントリー:ソアリング1の「高く更に高く」
題名がクロスカントリーから始まっている記事は自分と同じレベルのパラフライヤーを対象としており、マニアックでガチな内容です。
ご承知おきください。
低高度からの復活
日々の獅子吼高原でのフリーフライトで、朝のサーマルが弱いときにテイクオフし、北の東斜面にサーマルを探しに行くもヒットがなく、テイクオフ前に戻ってくることはよくあります。10分ぐらい遅れてテイクオフした知り合いパイロットから見ると、自分はかなり低高度を飛んでいて
「よねけんさん終了 ランディングだね (笑)」
と思ってみていて、しばらくソアリングして気が付いたら、僕の方が高い高度にいてびっくりしたと言われることがあります。
獅子吼のランディングは標高で150mぐらいなので、高度が400mぐらいになるとB級生はランディングのための高度処理に入るようにインストラクターさんから指示されます。しかし、パイロットになると、この高度でもバリオがステイ可能で軽い上昇があると示すときは、ランディングから離れずにソアリングを試みます。この時、B級生を含めランディングに向かうグライダーと交錯しないようには気を使っています。
そうして、徐々に高度を上げなおし、トップアウト出来た、更に高い高度に到達したということは、(自分の体感で)直近のフライトの30%ぐらいはあるのではないかと思います。もちろん上げなおしが可能な条件下という話ですが。(人間、良い記憶は誇張されるかもしれません・・・)
低高度からの上げなおしを意識する
最初は低高度からの上げなおしのスキルはなかったのですが、熊本の天草(※1)でのフライトをきっかけに意識するようになりました。天草は海に面した綺麗な場所で、石川県からも遠く旅費もそれなりに掛かります。また、インストラクターさん達も同行してくれているのですが、獅子吼からハイエースを運転してきていて(!) かなりの労力を掛けています。
最初のフライトは初見のエリアということもあり、無理にソアリングせずにランディングし、2本目が勝負です。しかし、2本目はサーマルに乗り切れずあっという間に高度が下がってしまいました。先ほどのパイロットの方も一緒に来ていたのですが、「よねけんさん終了」とこの時も思ったと言います。時間もコストも労力も掛けてきた天草で このまま帰るのはどうしてもいや!です。降りたら、みんなが降りてくるまでぼーっと上を見て待っていなくてはなりません(悪夢)。そのころ獅子吼エリアのフライトで時々やっていたタイトな旋回によるソアリングをトライしてみました。すると低高度からの上げなおしに成功しました。
これ以降、高度が低くなってもステイ可能で軽いリフトがあるのであれば諦めずソアリングをするようになりました。
( ✧Д✧) カッ!!
クロスカントリーにおける上げなおし
前回の投稿で書いた通り、出来るだけ高い高度で5km先を目指してグライド(基本はフルアクセルのグライド)したとします。無事に最初の目的のポイントに到達です。ここで必要なのがソアリングです。このポイントで1,000mまで高度が復活したら後はかなり余裕のあるフライトになります。到達高度が800mあればいいですが、実際には700m前後ということもあります。しかも、数回しか飛んでいないので、感覚的には初見のエリアです。サーマルを的確に予想するには情報と経験が足りず、それを補う経験から来る知識も判断力も足りません。サーマルを探して先に進むほど高度が徐々に下がっていきます。高度は600mを切ってしまいました・・・。ということは実際にクロスカントリーフライトで発生する事象です。
この場合の地形的な条件を考えると、稲刈りの終わった田んぼや農道などのランディングの対象を意識して、手取川が見える山の斜面に移動します。こんな状況で低高度から上げなおしできるかどうかが重要になります。上げなおしが出来なければ、そこで旅は終わってしまいます。
8の字旋回という飛び方
ソアリング1で書いた内容はトップアウトして順調にソアリングをしてグライドをするための話ですが、今回は地上近くをのたうち回っている状況です。できることは高度を下げないことです。山肌に小さなサーマルがあったらとりあえず高度を保ちます。保っている間は旅は終了しません。そして、この間にサーマルのありそうな地点がないか周囲を(必死にw)観察します。
ソアリングというとサーマル内を旋回してと思いがちですが、こういった状況でのサーマルはエリア(断面積)が小さく、旋回ではサーマルの中を入ったり出たりするので、良くて高度キープ、悪くて沈下が始まります。サーマルとリッジが混ざった場合だと山肌の一定区間、長細いエリアしか上昇風がない場合が多いので、幅100~300m程度で8の字旋回をします。落ちない、微小でも上昇するエリアを行ったり来たりするのです。そのうち、大きなサーマルを見つけて旋回でソアリングできるのであれば、大きくなくても強くて狭いサーマルを見つけてハイバンクで上がれればGoodです。
ハイバンクという飛び方
低高度からの上げ直しでは、強いけど狭いサーマルに出会うことがあります。サーマルは各エリアで発生し、山の上など高い高度に達するとまとまり大きなサーマルになることがあります。でも、言い換えると地面付近では狭いサーマルに出会う確率が高いということになります。パイロットの実技検定ではハイバンクが入っていますが、強いが狭いサーマルを捉えるためのスキルとも考えることができます。先の8の字旋回の目的は超低空での高度キープと上昇ですが、ハイバンクによるソアリングの目的は狭く細いでも強いサーマルを捉えて山の尾根まで一気に高度を取ることです。尾根上に上がれば更にサーマルを見つける確率が増える(※2)のでクロスカントリーフライトを続行できるようになります。
日頃から低高度からの上げなおしをフリーフライトで出来ているかが重要になります。獅子吼だとランディングからテイクオフにかけての斜面で上げ直しが実は重要な練習になります。
次もソアリングネタでソアリング3を書くつもりです。
まだまだパラグライダーな日々は続きます。
【注記】
※1:天草
Tインストラクター曰く「リーサイドの楽園」だそうです。獅子吼とは違う海に面したエリアですが、リッジというよりはサーマル、双方が混ざった感じでしょうか。また行きたいエリアです。
※2:尾根上に上がれば更にサーマルを見つける確率が増える
高度が上がればサーマルを探す時間とエリアが増えるので確率は上がりますが、尾根上の場合、各斜面から上がってきているサーマルが集まっている可能性があります。尾根上に上がりキープすることは日頃のフリーフライトでも意識したいことです。
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