木の話6 日本書紀の木使い

ヨーロッパが石の文化と言われるのに対して、日本は木の文化と言われます。

世界的に言ってchina(チャイナ)、と言えば磁器のことですよね。

では、japan(ジャパン)と言えば?

答えは漆器です。漆(うるし)塗りのことです。
世界的にみても日本は木の文化なんですね。

どれぐらい木の文化かといいますと、日本書紀にさかのぼります。
日本書紀に、

「杉と橡樟の両樹は浮宝の、桧は瑞宮の、柀は奥津棄戸の用材とせよ。」

という言葉があります。

杉は今でもある杉ですね。
橡樟というのは樟(クスノキ)のことです。
浮宝というのは船のことです。

つまり「杉と橡樟の両樹は浮宝」というのは、杉とクスノキの二つの木は船につかいなさい、と言ってるわけです。

なぜ船かというと、杉とクスノキは水に強い木だからです。杉は特に、吉野杉の樽酒の樽の材料に使われたり、江戸時代に活躍した日本船は全部杉で作らていたと聞いたことがありますから水に強いんでしょうね。

「桧は瑞宮の」の瑞宮というのは建物のことのようです。

桧は建物に使え、ということですね。
桧は今でも建物の柱に使われています。

「柀は奥津棄戸」の柀はコウヤマキのことのようです。奥津棄戸はオキツスタエと読んで、いわゆる棺桶のようです。コウヤマキは棺桶に使えと。

日本書紀というのは物語の世界ですが、物語の世界ででも水に強い杉は船に使えとか、桧を建物にとか、ちゃんと理にかなったまさに適材適所の使い方をせよと言ってるんですね。

日本人は古代から木と付き合っていたんですね。

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