米阪隆広 TANGO GRELIO

バンドネオン&ギターDuoタンゴ・グレリオのギタリスト。主にタンゴ・グレリオの活動についてやアルゼンチンタンゴについての話題を取り上げていきます。 http://tangogrelio.com

米阪隆広 TANGO GRELIO

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マガジン

  • アルゼンチンタンゴを聴こう!

    知っているようで詳しくは知らないアルゼンチンタンゴの世界。 タンゴはどういう音楽?その歴史は?聴きどころは? タンゴを知らない方でもその音楽のおもしろさ、楽しみ方がわかるnoteを書いていきます。

  • ピアソラ~あるタンゲーロの見た夢

    タンゴに情熱をそそぎ、時には厳しい批判にさらされながらも、ついに新しいスタイルの音楽を築き上げた鬼才アストル・パンタレオン・ピアソラ。 いまや20世紀最高の作曲家のひとりと評される彼は、どのように生き、何と闘おうとしていたのか? 巨匠の人生をたどりながらピアソラの真実の姿を考察します。

  • バンドネオン&ギター「タンゴ・グレリオ」動画

    バンドネオン&ギターDuo「タンゴ・グレリオ」の演奏動画特集。 タンゴ・グレリオは星野俊路(バンドネオン)、米阪隆広(ギター)によって2010年に結成された、日本では珍しい編成のアコースティック・デュオ。「グレリオ」というデュオ名は、ロベルト・グレラとウバルド・デ・リオという2人のタンゴギターの巨匠の名にちなんでおり、ギターを活かしたタンゴを追求していることを表しています。 古典タンゴをベースとしたノスタルジックで下町情緒あふれるサウンドに定評があり、関西を本拠地に各地でアルゼンチンタンゴの魅力を伝えるべく演奏活動を行っています。

最近の記事

タンゴ歌謡の魅力⑥~ジーラ・ジーラ

タンゴの発展はブエノスアイレスの発展の歴史にほぼ一致しています。 第一次世界大戦後の1920年代は農産物や食肉、皮革製品などの輸出が大きく伸び、アルゼンチンの経済は順調に成長していました。 ブエノスアイレスの街も美しく整備され「南米のパリ」とも言われる南米随一の都市へと発展していきました。 そしてカフェやキャバレー、映画館など生演奏が求められる場も増えて、タンゴは第1次黄金時代ともいうべき盛り上がりを見せていたのです。 しかしウォール街から始まった1929年の世界恐慌の影

    • キダ・タローさんとタンゴ

      数多くのテレビ・ラジオの音楽、CMソングを手がけ、戦後の音楽史に大きな足跡を残したキダ・タローさんが、先日93 歳で亡くなりました。 巨匠でありながら、その飄々としたとぼけたキャラクターからテレビでも愛され、「関西のおもろいおっちゃん」としてすっかり定着していましたね。 訃報のニュースで初めて知ったのですが、なんとキダさんの音楽活動はタンゴ・バンドから始まったとのこと。 病没されたお兄さんの遺したアコーディオンを演奏し、5人ほど仲間を集めてアマチュア・タンゴ楽団をやっていた

      • ピアソラとタンゴの関係は…

        今日はアストル・ピアソラの誕生日。 2024年で生誕103年となります。 ということで超久しぶりですが、noteを少し書いてみました。 タンゴ・グレリオとして活動する中でピアソラを弾く意義を常々考えていますが、「タンゴの中から見たピアソラ像を伝えていく」という事が自分たちの大切な役割だと考えています。 ピアソラの「タンゴ愛」 ピアソラは「タンゴの破壊者」という悪名や「タンゴにクラシックやジャズの要素を取り入れて新しい演奏形態を生みだした」という解説から「いかに従来のタン

        • リベルタンゴはタンゴの代表曲?

          先日、依頼演奏の打ち合わせでプログラムの選曲をしましたが、「何か皆さんが知っている有名なタンゴを」というオーダーに応えにくくて頭をかかえてしまいました。 これまでタンゴの代表曲とされていた曲と言えば、「ラ・クンパルシータ」「エル・チョクロ」「カミニート」など‥‥ ところがこういった曲のタイトルをあげてもピンとこない人が多数派になってきたのです。 タイトルは聴いたことがあるけど、どんな曲だっけ?という人が多いのではないでしょうか? 多くの人が知っている最も有名なタンゴがアス

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        • アルゼンチンタンゴを聴こう!
          18本
        • ピアソラ~あるタンゲーロの見た夢
          15本
        • バンドネオン&ギター「タンゴ・グレリオ」動画
          17本

        記事

          歌手ロベルト・杉浦とは何者か

          4月にタンゴ・グレリオと歌手のロベルト・杉浦氏とのライブを開催します。 とはいえ前回のライブから早4年… 『ロベルト・杉浦ってそもそも誰?』という方もいるのではないでしょうか? そこで今回はただ者ではない男、ロベルト・杉浦のここがすごい!というポイントをご紹介しましょう。 1.19歳でプロデビュー!いきなりアルゼンチンに渡る 昔から歌には並々ならぬ関心のある少年だったそうですが、10代にしてタンゴに出会い、他の音楽にはない強烈な個性に衝撃を受け、タンゴ歌手の道に進むこ

          歌手ロベルト・杉浦とは何者か

          クリスマスのタンゴ

          今日はクリスマスイヴ! ということでクリスマスにちなんだタンゴ名曲を紹介‥‥といきたいところですが、意外にもクリスマスに関連したタンゴはあまり知られていません。 アルゼンチンはキリスト教国であるにもかかわらずです。 これはちょっと不思議ですね。 クリスマスを歌ったタンゴもかつては作曲されていましたが、残念ながら多くの人が知るような時代を超えて演奏されるような名曲はあまり生まれなかったようです。 とはいえそれでは味気ないので、少しクリスマスのタンゴを紹介しましょう! N

          クリスマスのタンゴ

          CD発売記念MV『シルバンド』公開

          バンドネオン&ギターDuo・タンゴ・グレリオの新作CD『シルバンド~口笛を吹きながら』の発売を記念して、タイトル曲「シルバンド」のミュージックビデオを公開しました。 今回のCDのジャケット撮影のロケ地である河内長野・上堂本店を舞台にした美麗映像のスペシャルムービーをぜひご視聴ください。 -----------------------------------------------------------------------  演奏/タンゴ・グレリオ  バンドネオン・星野

          CD発売記念MV『シルバンド』公開

          タンゴ・グレリオの第3弾アルバムの発売が決定!

          バンドネオン&ギターDuoタンゴ・グレリオの第3弾アルバム【シルバンド~口笛を吹きながら】の発売日が9月25日に決まりました! 企画がスタートしたのが3月なので、約半年かけての完成となりました。 昨今は「CDが売れない」を言われて久しい現状のため、3枚目のCDを出すかどうかは悩みましたが、やはり自分たちの音楽やコンセプトを多くの皆様にお伝えするにはCDという形がふさわしいと思い、制作いたしました。 今回のCDは「1920~30年代のタンゴ」「ピアソラ作品」「映画音楽」を取

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          コンチネンタルタンゴって何なのさ

          今回は番外編のお話。 私たちタンゴ・グレリオが演奏しているアルゼンチンタンゴとは別に「コンチネンタルタンゴ」というジャンルがあります。 実はこのコンチネンタルタンゴ、アルゼンチンタンゴを演奏する人間にとってはちょっと扱いにくい一面があります。 往年のタンゴファンの間ではこのコンチネンタルタンゴが根強い人気で、たとえば「ジェラシー」「碧空」「奥様お手をどうぞ」「夜のタンゴ」「小さな喫茶店」などの人気曲をリクエストされることがあります。 またアルゼンチンタンゴとの違いなどもち

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          書とアルゼンチンタンゴの邂逅~オリジナル作品「空と海」

          もう先月になりますが、4月に甲子園ギャラリーアライで開催された酒匂溪香(さこうけいか)書展とのコラボレーション企画「Prepárese~準備はいいか」でバンドネオン&ギターDuo「タンゴ・グレリオ」が演奏、ありがたいことに大好評で終演しました。 書家の酒匂溪香さんが制作したアルゼンチンタンゴの雰囲気や私たちの演奏にインスパイアされた作品が多数展示される中、タンゴの名曲の数々を解説を交えながら演奏しました。 書展での演奏という事で、普段タンゴになじみのない方々にも大勢お越しい

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          「不在」暴力の理不尽と音楽

          アストル・ピアソラ作曲「アウセンシアス」は、フェルナンド・ソラナス監督の1985年の映画『ガルデルの亡命』のために作曲された作品です。 この映画は、アルゼンチンの軍事政権時代にフランスに亡命した芸術家たちの姿を描いた映画で、彼らが祖国への郷愁の想いを込めて上演しようとしている演劇のタイトルが『ガルデルの亡命』。 このアウセンシアスは劇中劇の音楽という位置づけで登場します。 アウセンシアス(Ausencias)とはスペイン語で「不在」という意味。 果たしていったい何が不在なの

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          タンゴ歌謡の魅力④~シルバンド

          カトゥロ・カスティージョ、セバスティアン・ピアナ作曲、ホセ・ゴンサレス・カスティージョ作詞による1925年の作品。 タンゴは3分程度の短い時間の中で、濃厚で演劇的な世界が描かれる歌詞が多いですが、この「シルバンド」はその最たるもの。 「口笛を吹きながら」という意味の楽しげなタイトルとは裏腹に、巧みな情景描写とともに血なまぐさい悲劇が描き出されます。 このようなけだるさを感じさせるような夏の夜のひと時、しかし愛憎のもつれから惨劇が起こります。 一つの影が忍び寄り、ナイフが

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          ピアソラ最大の大作「ブエノスアイレスのマリア」

          小オペラ「ブエノスアイレスのマリア」はアストル・ピアソラの最も規模が大きく、彼の人生においても重要な意味を持つ作品です。 しかしあまりにも特殊な内容のためか、なかなか上演される機会がなく、存在は知っていても通して聴いたことがない、あるいは劇中曲の「フーガと神秘」「受胎告知のミロンガ(私はマリア)」は知っていても、このオペラ自体は知らないという人も多いようです。 「ブエノスアイレスのマリア」の構想は、ピアソラが私生活の破綻から重度のスランプに陥っていた時に生まれました。 1

          ピアソラ最大の大作「ブエノスアイレスのマリア」

          MV「大阪クルーズ×アルゼンチンタンゴ」制作について

          遅ればせながら明けましておめでとうございます。 今年も不定期ですが少しずつnoteを書いていきますので、よろしくお願いいたします。 さて、今年のバンドネオン&ギター【タンゴ・グレリオ】の初動画は昨年秋に開催した≪大阪ナイトクルーズ&タンゴ・コンサート≫を元にした特別編。道頓堀から中之島へ至る水都・大阪の美しい夜景と、バンドネオン&ギターが奏でるタンゴの名曲Flores Negras(黒い花)をお送りします。 4Kにも対応した美麗映像をぜひご覧ください! 日本からはるか遠い

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          ピアソラの復刻CD~実は売れっ子だったピアソラ?

          アストル・ピアソラ生誕100年だった2021年は、これまで入手困難だったものも含む多くのアルバムが復刻発売されました。 ピアソラの権利関係はなかなか複雑で、本人の没後も多くの雑多な「ベスト版」が発売され、系統だって聴くことがかえって難しい状態でした。 そんな中、ピアソラが生前にリリースしたアルバムが当時の形で復刻されたことで、その時代ごとのピアソラの方向性や意図が捉えやすくなったの大変意義あることです。 80年代の『タンゴ・ゼロ・アワー』や『ラ・カモーラ』は確かに名盤で録

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          タンゴ歌謡の魅力③トロイロの〈スール〉、ピアソラの〈南に帰ろう〉

          トロイロの名曲「スール」「タンゴ歌謡の魅力」第3回。 まずはアニバル・トロイロの代表曲のひとつ「スール」を紹介しましょう。1948年作曲、オメロ・マンシ作詞の作品です。 「スール」とはスペイン語の一般的な名詞で「南」を意味しますが、ここではタンゴの生まれ故郷であるブエノスアイレス南部の下町を意味します。 トロイロがアルゼンチンタンゴの魂として描き続けた下町情緒が最も濃厚ににじみ出た作品といえるでしょう。 大きくうねるようなトロイロの独特の節回しはこの曲に何とも言えないノスタ

          タンゴ歌謡の魅力③トロイロの〈スール〉、ピアソラの〈南に帰ろう〉