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BXデザイナーが振り返る、 グッドパッチIPOブランディングの舞台裏🌹

2017年の7月、私は組織崩壊真っ只中のグッドパッチに入社し、誰も上場を信じていなかった頃から今日まで、Goodpatchがたくさんのストーリーを作りながら成長する姿を、いち社員として内側から見てきました。

そして、2020年6月30日、Goodpatchはたくさんの方に支えられマザーズ上場。

上場の数ヶ月前、土屋さん直下でIPOブランディングの運営チームが結成され、私はBXデザイナーとしてPR/PXチームと一緒にその役割をいただきました。

3年前に入社した頃は、まさか自分かBXデザインという領域を担当していること自体まったく想像していませんでしたし、さらにこうしてグッドパッチ・コーポレートのブランド・エクスペリエンスに関わるなんて....。人生何があるか本当にわからないなとつくづく思います。笑

IPOを通して、世の中に伝えたいこと

IPOブランディングチームのキックオフは、年明けのまだコロナが世間を騒がす前のことでした。当時私は同じくBXデザイナーのKaiと一緒に、4月にリニューアルしたGoodpatchのコーポレートサイトのディレクションを担当していました。

当時、いち社員として「GoodpatchのIPO」に対して思うことは、実を言うとあまり実感はありませんでした。ただ、無関心とも違い、今改めて振り返るとそれは安心感だったのかもしれません。きっと、周りの環境が変化しても、グッドパッチの本質的なことは変わらないんだろう。何が起きても、今のメンバーなら何事も前向きにとらえ前進できるだろうと、当たり前に信じていたのだと思います。

IPOはこれまでGoodpatchを知らなかった人たちに知ってもらえる機会。
デザイン会社の上場ということで、話題性もそれなりにあるだろう。
上場を通して、これまで応援してくれた人に感謝と誠意を伝えたい。
そして、応援してくれる人がそれを誇りに思えるような、共感して一緒に前進できるようなメッセージを届けたい。(土屋さん)

この、IPOを通して、世の中に伝えたいこと、グッドパッチの等身大の姿勢をきちんと伝えられるよう、構造化して整理していたのが年始のことです。

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グッドパッチが証明する、デザインの力とは?

同時に走っていたコーポレートサイトのリニューアルでは、ちょうどこの時期にキービジュアルに使うメインのキャッチコピーが決まりました。

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Design to empower. 

デザインの可能性はとても大きく、領域もとても広い。しかし、広がれば広がるほど、その認識のズレは生まれやすくなります。それぞれが思う「デザインの力」があって、どれも尊重されるべきこと。Goodpatchにも本当にたくさんのデザイナーがいます。そんな中で、「デザインとはOOOである。」と定義してしまってよいのだろうか、キャッチのような強い言葉にした時に、解釈の余白を残した言葉になるのだろうかと、かなり試行錯誤したのを覚えています。

ブレイクスルーのきっかけは、やはり初心に立ち戻ること。自分たちが普段から大切にしている思想によりどころを見つけることでした。Goodpatchは「人に向き合う」会社です。だからこそ、「誰のためにデザインしているのか?」を問いかけると、自然と視界がひらけていきました。

パートナー、クライアント、デザイナー、社会、そして世界...、何か困難な課題や物事に対して立ち向かい、前向きに取り組む「すべての挑戦者に対してデザインの力を届け、エンパワーすること。」これがデザインの本質的な役割で、デザインの力はここにあるとし、キャッチに掲げました。

このキャッチを発表した2月の全社総会での、土屋さんのプレゼンテーションがとても、エンパワーされる内容になっているので是非見て欲しいです。


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↑ キャッチが決まったMTG。ガッツポーズ的なパッチポーズをするBXデザイナーのKai & yone


グッドパッチは、青いまま生きる

もうひとつ、とても素敵な言葉が生まれました。

コーポレートサイトリニューアルでもお手伝いいただき、他のプロジェクトでもいつも大変お世話になっているコピーライターの北野早苗さんに提案していただいた「グッドパッチは青いまま生きる」という言葉です。

上場によって新しいステージに入り、誰も見たことのない景色に突入する中、少なからず変わることの不安や怖さもあるはずです。しかし、どんなに景色が変わっても、「これまで大切にしてきたビジョン、ミッション、そしてデザインに対する想いは変わらない」という気持ちを素敵な言葉にしていただきました。これに「Stay blue」という英語をあて、上場にあたり土屋さんが記した「創業者の手紙」の表題として使わせていただきました。

「Design to empower.」は、これから新しく出会うたくさんの人へ、「Stay blue」は、これまで共に歩んできた仲間、応援してくれた人へのメッセージとして。


ブルーローズのシンボルデザイン

グッドパッチの上場は、青い薔薇でお祝いがしたい。

最初のキックオフで土屋さんから伝えられたこの想いは、数年前からこのタイミングまでずっと大事に温めていたアイデア。

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「青い薔薇のストーリーと、ビジネスの性質上難しいとされていたデザイン会社の上場を重ね、IPOを象徴するモチーフにする。」これは早い段階で決まっていました。

ここから、意匠化したのがこちらのブルーローズのシンボルデザインです。青い薔薇のストーリーと、グッドパッチのストーリーをつなぐ役割を担っています。モーションは弊社のデザイナーのNariちゃんがあててくれました。

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Design Concept
Goodpatchが大切にしている価値観である"Why"を表す円形をモチーフに、青い薔薇を表現しました。まだ小さなこの花を、さらに美しく強く咲かせるよう、私たちは前進し続けます。


ブルーローズ誕生小話

このシンボルが生まれたのは、青い薔薇をIPOの中でどのように象徴的に登場させるかを考えつつ、同時に進行していた目論見書で表紙のデザイン案を検討している時でした。

IPOのタイミングで出す、特別な一度きりの目論見書。表紙のデザインもそれに合わせ特別なものにしたいと、青い薔薇、Goodpatchらしいモチーフを組み合わせたデザインにできないかなと構想。

そこで、同じチームのKaiに「Whyの円を組みあわせて、青い薔薇を表現したい」と相談したところ、Kaiのほうでは個人的にグッドパッチのビジュアルコンセプトの実験を進めており、2人のアイデアがシンクロし、薔薇のシェイプの原型が誕生したのです。✨

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「Design to empower.」といえ、何かと普段から考えがシンクロして新しい発明が生まれる2人です。笑

薔薇のシェイプには黄金比を組み合わせています。Goodpatchが大切にしているWhyの価値観から着想した円のモチーフ、黄金比の組み合わせをベースに展開していくデザインコンセプトが生まれ、青い薔薇もそのビジュアル設計思想の展開の上に乗っていきました。

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コンセプトが決まってからは、色の使い方や形、意味にもこだわり、1日中ZOOMをつなぎながら2人でブラッシュアップ。右上向きに咲く薔薇は、未来への前進を表しています。

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↑検討中のデザイン。何パターンも一緒にプロトタイピングしていました。

そして、今だから言える話ですが、このデザインコンセプトが完成した時、コロナの影響でIPOが予定通り進まない可能性が大きくなっており、今まで見たことのないほど土屋さんが落ち込んでいました。しかしこれを見て少し元気になってくれましたのが嬉しかったです。🌹

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誰かをどんなに小さなことでもいいから勇気付けること。デザインの力にはそれができる。まさに「Design to enpower.」という言葉を感じた瞬間でもありましたし、デザインしたのは薔薇のシンボルですが、もっと温かい何かを一緒に届けられたような、そんな体験でした。✨


デザインの力を届ける目論見書

シンボルデザインを使い、IPOプロジェクトで最初にデザインされたのが、グッドパッチの成長可能性をたくさんに人に伝える目論見書

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本来、目論見書はあまり力を入れてデザインされる事例は少ないようですが、デザイン会社の目論見書ということで気合を入れて、たくさんのこだわりと遊び心を。

私自身、紙のデザイン経験はありましたが、さすがに目論見書は作ったことがなかったので、「どこまで自由にやっていいんだろう?」と作りながらドキドキしていました。それを「Goodpatchらしく好きにやっていいよ!」と、土屋さんはじめ、PR/PXグループ・経理・法務・管理部、みんながデザインに期待し、背中を押してくれたことが、とても心強かったです。職種を超えて、全社みんなでデザインを大切にするこの組織文化・環境は改めて本当に尊いなと思います。

ハートをあしらい、デザインコンセプトまで記載したものは、目論見書史上初のデザインなのではないかと思います。

SNSでの反響もとても大きく、欲しい!と言ってくださる方が殺到する、前代未聞の目論見書となり感慨深いです。デザインの文化が無かったところへデザインの力を届ける。この目論見書を通して、Goodpatchがいかにデザインを大切にし、投資する会社であることが姿勢として感じてもらえたら嬉しいです。


青い薔薇、青い想い

上場日にささやかに行われたパーティ、Pizzapatchで私とKaiはブルーローズのプレゼンテーションの時間をもらいました。

2人で決めたのは、シンボルをデザインした2人のデザイナーの発表ではなく、Goodpatchと青い薔薇のストーリーが主役で、私たちはこの美しいストーリーの語り手になるだけ。ということ。

モチーフが、シンボルに変わって行く過程をコーポレートサイトの「Why Design」で掲げているデザインの向き合い方に重ね合わせ、一つの物語となるように。EUメンバーにも伝わるよう英訳を付け、日本語を私が、英語をKaiが、本番までに何度も二人で練習しスライドを送るタイミングまでこだわりました。

↓以下は発表スライドの一部です。

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青い薔薇、青い想い
薔薇は青い色素を持たず、その昔、青くする事は難しいとされていたことから、青い薔薇の持つ花言葉は「不可能」でした。
その後、日本の研究者達の努力により世界初の青い薔薇が誕生し、花言葉は「不可能」から「夢叶う」になりました。
青い薔薇の研究者達と同じように、私たちが困難なこと、難しい課題に挑戦する時は、物事の本質をとらえ、どんなときもWhyから考えることを大切にしてきました。
本質を捉えるために、私たちは複雑な物事に向き合い、丁寧に整理し、価値の種を紡ぎ出します。こうして整理された物事は、新しい視点が生まれ、これまで見えていなかった価値につながります。
そして大切なのは、人の心を動かすのはロジックだけではなく、感情であるということ。私たちは、どんな時もチームや、パートナー、目の前の人に向き合います。
青い薔薇、青い想いが重なり、ひとつのストーリーが生まれます。
そして、私たちのミッションは、デザインの力をもっと多くの人に届け、その力を信じてもらうことです。
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これからも共に前進していく仲間たちへ

ブルーローズのシンボルは、これまで共に前進してきた仲間たちへ感謝の気持ちを込め、ノベルティとして展開。

アイシングクッキー、ステッカーシール、トートバック、青い薔薇、創業者の手紙のプレゼントにも、それぞれストーリーを込めて。

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メイキングギャラリー📸

心を込めて作成した、たくさんのアウトプットは、全て心を込めて運営チームのPR/PXグループと一緒に手作業で準備しています。

薔薇の箱にシールを貼ったり、自宅にいるメンバーへ届けるために箱詰めしたり、創業者の手紙のシーリングスタンプを一枚ずつ手作業で封蝋したり...

PR/PXのメンバーは、いつも裏方に回ってみんなのために惜しみなく愛を込めてくれる本当に素敵なメンバーです。尊敬はもちろん、このチームがいつもGoodpatchを内側からデザインしてくれていることを、とても誇りに思います💙✨

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↑こちらは、物撮り中の一コマ。Unsplash?と社内でも噂された青薔薇や手紙の写真は全て、社内でKaiが撮影。私は手モデルデビュー👏

「自分たちの想い」に向き合った数ヶ月

言うならば、IPOをデザインしたと言える今回の取り組み。だだ、どう見せたいか・どうパフォーマンスしたいかと考えていたわけではなく、ひたむきに「IPOを節目に自分たちが、Goodpatchがどうあるべきか」と内側の想い向き合う日々だったと思います。

「内側の想いに向き合うこと」これはまさに、私が普段クライアントワークでやっている、BXデザインの領域でとても重要な視点です。自分の所属する会社なので、客観と主観をコントロールする難しさはとてもありますが、土屋さんの想い、メンバーの想い、会社としてのメッセージ、応援してくれる人の想い、そして自分個人としての想いに向き合い、紡いでいく過程の大切さ、そしてストーリーは資産となり、組織を前進させる力になっていくことを実感しています。

IPOブランディングはこれにて終了となりますが、Goodpatchは休むことなく次のステージに前進しています。私個人としても、「これからどんな出来事が待っていてどう会社が成長していくんだろう、そして自分はこの会社で、どんなストーリーを作っていこうか。」と楽しみな気持ちでいっぱいです。まだまだやれること、やりたいことがたくさん。是非、これからも応援いただけると嬉しいです!

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BXデザインについて、ご興味・ご相談などあれば、ブログに資料のダウンロードリンクがございますので是非ご覧ください!

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