「露出狂(笑)。出したら、何かが起こる」 人気YouTuberねこあやの素顔と哲学。
『中3で親に捨てられて黒ギャルになりクソ金持ちの婚約者に死なれて鬱になったワイがYouTuberになって年収8000万の今だ』
(ねこあや著、扶桑社刊)
スペイン生まれ。本当の父親は知らない。実の母親とは1歳3カ月で死別。母親の姉に引き取られ、3歳で義父が住む日本へ。しかし、義父がビジネスで失敗すると極貧生活を送ることになり、9歳のときには義母から自殺を強要されるなど、家族からのDVはどんどん激しくなった。
中学3年生の卒業式前日に義母が「結婚したから出ていく」と5000円だけを置いて家を去り、自由の身に。そのお金で髪の毛にブリーチをかけて憧れていた黒ギャルに武装すると、渋谷を経て18歳にして港区に進出。経営者や芸能人、ミュージシャンらと飲み歩き、石油王との合コンに参加することも。
そんなある時、31歳の経営者と知り合い、意気投合。そして相手から10億入った通帳とハリー・ウィンストンの指輪を渡されてプロポーズを受け、承諾した。自分自身の仕事も投げて、人間関係も整理し、いよいよ入籍というところで婚約者が事故死してしまう。
現実を見つめられず気が塞いだまま2年。鬱のリハビリとしてYouTuberになることを勧められる。持ち前の自己プロデュース能力、マーケティングセンスを活かして、わずか3ヶ月ほどで登録者数10万人を突破。さらに2018年の年収は4000万円。一躍インターネット界のスターダムにのし上がり、2019年の年収は8000万円以上を見込む。
この世界には、こんな25歳がいるのだ。名前はかねこあや。本名は金子じゃねん。
華やかに見えるYouTuberの世界でもその名を轟かせ、美脚トレーニング動画は再生回数なんと約591万回(12月2日現在)。壮絶な人生から“生きざま系YouTuber”とも言われる。
■自分をさらけ出したほうがコンプレックスを乗り越えられる
そんなねこあやさんによる初のフォトエッセイが『中3で親に捨てられて黒ギャルになりクソ金持ちの婚約者に死なれて鬱になったワイがYouTuberになって年収8000万の今だ』(扶桑社刊)だ。
本書には一人の人間としてのねこあやさんの考え方や素直な思いがつづられている。
前述のように、何度もどん底から這い上がる経験をしてきたねこあやさんは「失う恐怖は何もない」という境地に達している。
自身の複雑で壮絶な生い立ちは、かつてはコンプレックスだったという。しかし、その生い立ちを「雑誌やブログで全国、全世界に発信した」ことで踏ん切りがつき、隠してきたコンプレックスを価値に変えることができたのだ。
どこまでもさらけ出す自分について「露出狂(笑)。出したら、何かが起こるじゃない?」と言うねこあやさん。その裏には、「ありのままの自分をさらけ出せない不自由さのほうがいやだ」という思いと、さらけ出した後に何かが起こる人生へのワクワク感があるという。
どん底を経験しているから、下がる恐怖はない。失敗上等、うまくいくまで絶対にやめない。こうした考え方を持つねこあやさんは無敵だ。
■YouTube成功の背景にあったのは「ビジネス的戦略」
婚約者の事故死のあと、鬱で苦しんでいた時期にYouTuberへの転身をすすめたのは、盟友であるモデル・YouTuberのてんちむさんだった。
始める前は「ギャンブルだ」と言われることもあったが、本人は自信しかなかったと言う。事業計画を練り、自分の強みが最も活きる市場を分析した。てんちむさんからは、継続して必要な収益を稼ぐために必要な動画の配信数など、YouTuberとして必要な情報を教えてもらい、「最初は苦労しておこう」と編集を自ら行っていた。
3ヶ月でチャンネル登録者数は10万人を突破。しかし、動画制作には相当苦労したという。2ヶ月間は睡眠時間が1日2時間、栄養失調で倒れたこともあった。目標を達成した後は編集を外注して楽になったものの、今度は企画が浮かばなくなったため、作家をつけたという。
ねこあやさんの今の夢は「子どもを持つこと」。そして、その子どもへの責任を果たすために「お金」は必要だという。
自身が受けた虐待の原因は「お金」、そうねこあやさんは語る。お金がないから、親が狂い、やりたいことができず、ばかにされる。仮に結婚相手がいなくなったり、暴力をふるうような人であっても、自分で稼ぐ手段があれば生きていけるし、その人から離れられる。自分の幸せの責任は自分にしか取らせないと宣言するねこあやさんにとって「お金」は必要以上なものなのだ。
◇
他にもてんちむさんとのグラビアや、戦慄かなのさんとのスペシャル対談や話題の美脚トレーニング法なども収録。
修羅の世界を歩いてきた経験や、YouTuberとしての成功秘話に圧倒される本書は、この世が生きづらいと思っている人たちにとって救いの一言を見つけられる一冊だ。
(新刊JP編集部)
*本記事は「だれかに話したくなる本の話 新刊JP」にて12月5日に配信されました。
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