夜鳴猫

ーー夜な夜な言の葉を紡ぎ弦を奏でるーー 【活動】文筆・弾き語り・作詞作曲 【所属】月下水

夜鳴猫

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  • 夜鳴猫作品集

    夜鳴猫が執筆した詩・歌詞・随筆などの文芸作品集です。

  • 雨だれを聴きながら

    雨をテーマとした作品を集めた作品集です。

  • 夜鳴猫随筆集

    夜鳴猫が執筆した随筆作品のマガジンです。

最近の記事

【歌詞】凡夫哀経

Amen Amen 「隣人を愛せよ」なんて言われましても お隣の顔さえ 見たことない 一切 「全てを愛せよ」なんて言われましても 小さな愛さえ 凡夫には 負債 所詮下賤で愚かな人間 聖人君子にゃ成りゃしません 忍耐歓待 どっちも約四次元 左頬も右頬も出せません 色即是空 空即是色 色即是空 空即是色 色即是空 空即是色 परसंगते बोधि सवाहा(parasaṁgate bodhi savāhā) 「全てを捨てよ」なんて言われましても 小さな愛こそ 凡夫に

    • 【楽曲解題】凡夫哀経

       はじめに 新曲「凡夫哀経」について、歌詞に込められた意味や作曲上の工夫について書いていきます。  通常、僕は自分の楽曲の中に伝えるべき事柄は全て込めているので、後は好きに解釈して頂けたらいいと思っています。ただ今回は宗教用語や宗教音楽の理論を使っていたりするので、前提知識の補足説明として珍しく解題をしてみます。 歌詞本文 動画リンク  タイトル:「凡夫哀経」に込めた意味 まず、この曲のコンセプトとタイトルの説明です。「凡夫」とは仏教用語で、ざっくり言えば悟りに至れぬご

      • 【歌詞】ちょっとばかり

        色んなところに出かけたね 色んな冗談言い合って どこに行くにも何をするにも 笑いの絶えない二人だった 時には喧嘩もしたけれど 時には泣かせちゃったけど どんな涙もどこの傷も 癒やしてしまう二人だった それなのに嗚呼 水底に沈むように なんでかな嗚呼 光が遠ざかっていった 僕が君を笑わせるより 僕が君を泣かせることの方が ちょっとばかり多くなったから 僕の目を見ないでいいよ いつでもちゃんと話しあえたね いつでも真剣だったね どんな悩みもどんな夢も 語り合えてた二人だっ

        • 【実験詩】夢

          踏んだのは水 ハッとして溝を見る 眼下から見上げてくる ミニチュアの人魚 街灯は薄暗く ぼうっと夜道を照らす 眼前に膨れ上がる 美しき化け物 妖しき者は囁く 「あなた、もう終わりね」 寝耳に水が爆ぜる

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        • 夜鳴猫作品集
          10本
        • 雨だれを聴きながら
          2本
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        記事

          【散文詩】終わりと続き

          「終わり」はいつだってこの手中にある。 結局のところ、全てはいつか終わるのだから。 何かを「続ける」ことを辞めるかどうかの差でしかない。 伝統も、人ひとりの人生も。 血脈も、人ふたりの関係も。 最期の灯は、いつしか風前に消え失せる。 「終わりにしよう」と君が言ったとき、 僕はまだ物語の続きを紡ごうとした。 それは愛着ゆえのこと。 「終わりにしよう」と僕が言ったとき、 君はまた僕に物語を予感させてくれた。 それも愛着ゆえだろうか? ――否、僕はどうやら「今」に固執しすぎ

          【散文詩】終わりと続き

          【詩】飲水

          水を注ぐ それが一日の始まり 無色透明な液体も それでいて虹色に輝く 口に含む そして安らかな味わい 無味無臭な液体も それでいて虹色の味を持つ 喉に下す そこに僅かなる抗い 無毒無害な液体も それでいて外より来るもの 水を含む それは海洋の名残 無命無機な液体も それでいて紅い血の母となる 水を飲む それは生命の理

          【詩】飲水

          【歌詞】笑い皺ができるまで

          君と出かけるのは もう何度目だろう 君と出かける度に 僕は君を見つめる いつだって愛らしいその顔に 君は笑顔を浮かべてくれるね 君が笑うその顔を ずっと眺めていたい その愛らしい顔に 笑い皺ができるまで 君が笑うその顔を 眺め笑っていたい 僕ら二人の顔に 笑い皺ができるまで 君の手をとるのは もう何度目だろう 君の手をとる度に 僕は指を重ねる いつだって冷たい僕の手に 君はぬくもりを与えてくれるね 君の温かい手を ずっと握っていたい その愛おしい手に 多く皺ができる

          【歌詞】笑い皺ができるまで

          【歌詞】あまのじゃく/つくよみちゃん

          いつからだろう あなたのことを ちょっと特別に 想い始めたのは 夕闇に飲み込まれて 紫に染まる体育館で 友達と笑い合うあなたを つい目で追いかけちゃうの ねえ 気づいてよ まっすぐな私の視線 でも 気づきすぎないで まっすぐなこの想いには どうしてだろう あなたを想うと ちょっと嬉しいのに 胸が痛くなるのは 宵闇に呑み込まれて 真っ黒に染まる私の部屋で 私に笑いかけるあなたを つい思い描いちゃうの ねえ 届いてよ まっすぐな私の想い でも 届きすぎないで まっすぐに

          【歌詞】あまのじゃく/つくよみちゃん

          【詩】靴を脱いで

          今日もお疲れ様 どうしたのさ そんなに俯いて 肩を落として 「なんでもないよ」って 君は答えて 微笑みかけたけど 目は笑ってないよ ねえ話してごらん 背伸びしないで 靴を脱いだらほら おいで裸足のまま 頑張って なんてさ 言わないから 何でって? だってさ もう頑張ってるから うまくできないことも 言えないことも 君だけのことじゃない 責めることない ねえ預けてごらん 背負いこまないで 上着脱いだらほら おいで身軽なまま ダメだ なんてさ 言わないから 何でって?

          【詩】靴を脱いで

          【随筆】承認欲求の処方箋

          はじめにこの頃、「承認欲求」という単語が独り歩きしているように思えてならない。 元来心理学用語であり、人間の基本的な欲求として想定されていたはずの概念は、いつしか現代ネット社会に巣食う病理のように語られてしまっていないだろうか…? 目的と手段人に認められたいーー社会に生きる人類にとって、これはごく基本的な欲求であり、逆にこれを欠いてしまえば社会で生きることは難しくなる。人間が社会という環境で生きる生き物である以上、生命としての三大欲求とならび、是非を問うまでもない生存のため

          【随筆】承認欲求の処方箋

          【詩】未鳴未開

          私は不如帰 鳴かぬならば 殺してくれれば いっそ楽だろう 綺麗な声で 歌おうとしても むせぶ涙で うまく声が出ないの 喉を枯らして 叫ぼうとしても 咽る血反吐で 赤く口が染まるの もう辞めたい 帰りたい帰りたい でももうできない 帰るところもない 私は不如帰 鳴かぬならば 殺してくれれば いっそ楽だろう 綺麗な花を 開こうとしても 焦る想いで 無為に時を過ごすの 茎を絞って 咲かそうとしても 夏の暮れまで 無心に待つしかないの まだ咲かない 開きたい開きたい でもま

          【詩】未鳴未開

          【随筆】The Last Tune:現存在の遺作

          ーー明日世界が滅ぶなら、最期にどんな曲を遺したい?ーー  唐突にそんな問いかけがーー矛盾した問いかけが脳裏によぎる。自身の肉体の死であるならば、それは去りゆく世界へと手向けられた遺作と呼べよう。しかし、その世界ごと滅亡するというのなら、何も遺りはしないではないか。  ただ、取るに足らない、バカげた空想と自らを鼻で笑うには、僕は生真面目過ぎたのだろうか。それは何か重要な問いかけに思えてしまったのだ。僕はどんな曲を、何のために遺すのかをしばし考えてみたくなった。  僕にとって

          【随筆】The Last Tune:現存在の遺作

          【随筆】雨は雨、雪は雪

          いつからだろう 雨を鬱陶しく思うようになったのは いつからだろう 雪にはしゃがなくなったのは ―― 幼少期からインドアだった自分は、どちらかと言えば雨の好きな子供だった。いや、今だって別段嫌いなわけではない。雨だれの音は外界の騒音を掻き消し、自分の思索の世界へと沈潜させてくれる。雨には雨の良さがある。雪にしてもそうだ。子供の頃なら雪が降ればはしゃいで雪だるまを作ったり、そりすべりをして楽しんだものだった。雪には雪の楽しみ方がある。 ただ、大人になってからは朝雨や雪

          【随筆】雨は雨、雪は雪