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私の油絵制作~「古典回帰」
序
「あなたが描いた油絵作品の制作過程を披露してください」というお声をいただいたので、素人の私ですが、工夫したことや、今回の収穫なども含めて、制作過程を書いてみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1638513653481-I2KuNIvjBY.png?width=1200)
1.モチーフ
今回は石膏像の「ジュリアーノ・メディチ胸像(ミケランジェロ作)」を描くことにしました。
「石膏像の硬質の感じと布のやわらかい質感が対比して描けたらいいな」と思いながら、自宅の壁に石膏像を吊り、その周りに布をまきつけました。(写真1)
![](https://assets.st-note.com/img/1638513732019-swYFlCNa0I.jpg?width=1200)
2.色に関して
青系でやや現代風に描こうと思いました。
少しずつ描いていく途中で油絵の先生に尋ねると、「色は制作家の好みではあるが、それにしても少し青すぎるのではないか」とのお言葉・・確かにそうかも知れません。(写真2)
![](https://assets.st-note.com/img/1638513799326-8UURpDJB3C.jpg?width=1200)
そこから少しずつ青の鮮やかさを落としていき、そうすると今度は布のオレンジ色が気になりだし、その彩度も落としていきました。(写真3)
![](https://assets.st-note.com/img/1638513882984-5UDK7ZesfF.jpg?width=1200)
3.今回、特に勉強になったこと
描いていると、顔の各パーツの形や距離が私の中で曖昧であることに気づきました。構造的にどうなっているのかがわからないまま、表面だけを見て描くと、いつまでも「これでよいのか?」という気持ちが自分の中に残ると思いました。
そこから「美術解剖学の本」を購入し、頭部の骨格や筋肉がどのようになっているのか、目、鼻、耳などの骨の形がどうなのか、それらがどのように顔に埋め込まれているか、などを「詳しく読んでは→描く」を繰り返しました。
そうすることによってそれぞれのパーツがようやく「根拠のある形」になっていったように思います。
4.髪
顔の各パーツを描く段階で割とへとへとになってしまったので、残った髪の部分は適当に描けばいいや、と最初は思いました。なにせ髪の毛というものは「特にこの形でないといけない」というものはないのですから。
ところがそれは大きな間違いでした。適当に描けば昔のパンチパーマのような感じになります(笑)。泣く泣くひとつひとつを丁寧に見ては描くことを繰り返しました。
私としては並んだ「たこつぼ」をたくさん描いているような気分でした。
5.布
細かい「ひだ」まで描こうとしていたところ、途中で模様のように見えてきて、これではいけない、と修正したりしました。
6.時間
描いた作品を写真館で撮影してもらう予約をしていたのですが、その日時がせまってきました。
最後の日は、写真館に向かうギリギリまで描いていましたが、モチーフの後頭部(キャンバスの左の方)のオイルが乾いていなくて、ヌルヌル、ネトネト状態で、何ともなりません。
修正したくもできないまま時間が来てしまい、そのまま写真館へ急ぎました。
私:「すみません、表面はネトネトなので、触れないようにして、撮っていただけますか」
写真館の店長さん:「はい(ニコニコ)」
私:(あああ~毎回、同じようなやりとりをしているなあ)
7.感想
●やや現代風に描こうと思っていた初心は変更になり、かなり古典風になり、作品の名前も「古典回帰」とつけることに・・。素人の私はこの手の変更は、いまだにあるあるです・・。
●モチーフの後頭部は、本当はもっと後ろに回り込むように描きたいのにと思いつつ、時間が来てしまった・・時間がいつも足りなくなる始末。時間配分のバランスを読むのはまだまだうまくいきません。後頭部はいつか直そうと思っています。
●けれど今回、美術解剖学の本で身体の各パーツの構造を勉強したのはよい経験でした。これからもし身体のもっと広い領域を描くことがあるとしても、きちんと構造的な勉強をしてから描きたいと思います。